『カラーパープル』ブロードウェイ舞台版から主人公セリーを再び熱演、ファンテイジア・バリーノ「若い世代と繋がりたい」

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2024年01月13日 13:02  cinemacafe.net

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『カラーパープル』© 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
スティーヴン・スピルバーグ監督が手がけた名作が大胆なアレンジによってミュージカル映画としてスクリーンに蘇る『カラーパープル』。先日の第81回ゴールデン・グローブ賞にて映画初主演にして主演女優賞にノミネートされる快挙となったファンテイジア・バリーノに、いま世界中から注目が集まっている。

20世紀初めの米国南部を舞台に、14歳の少女セリーが最愛の妹との別れ、望まぬ結婚など不遇の日々を送る中で、型破りな女性たちとの出会いによって変わっていく姿を40年に渡って描いたヒューマンドラマ『カラーパープル』。

本作の主人公であるセリーは38年前公開のオリジナル版で初主演にしてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた、ウーピー・ゴールドバーグが演じた役柄。今回、ミュージカル映画となった本作で、セリー役を託されたのがR&Bシンガーで俳優のファンテイジア・バリーノだ。

音楽一家に育ったファンテイジアは2004年、オーディション番組「アメリカン・アイドル」3rdシーズンに出場。磨き上げられた抜群の歌唱力で、見事優勝をおさめ、デビューシングル「I Believe」はBillboard Hot 100で全米1位獲得の快挙を達成。

グラミー賞をはじめ、数多くのアワードでノミネートや受賞を果たし、スターへの階段を駆け上がった。2006年には自身の半生を綴った自伝小説「Life is not a fairytail」がドラマ化され、自ら主演&女優デビューを飾り高視聴率を叩き出した。

そして2007年、ファンテイジアは当時ブロードウェイで公演されていたミュージカル「カラーパープル」でセリー役を引き継ぐ。ヘビーな役柄だけに彼女の中で演技への挑戦は精神的に辛いものだったという。当時を振り返ったインタビューでは「ブロードウェイでセリーを演じたときには、舞台を降りるたびに少し悲しい気持ちになり、へこんでいました」と語っている。

複雑な思いを抱えながら演じていたファンテイジアだが、その歌声と演技は多くの人の心を掴み、当初2007年10月までと6か月限定の出演予定が翌年の1月までに延長。ミュージカルの大ヒットを受け、ファンテイジアは同年のシアター・ワールド賞とベスト・リプレイスメント・スター・ブロードウェイ・ドットコム賞を受賞している。

ブロードウェイの歴史に残る俳優となったファンテイジアが、今度はスクリーンでその輝きを放つ。本作のオファーを受けた当初は出演を断ることも考えたそうだが、ブリッツ・バザウーレ監督から主人公セリーの持つ想像力の表現や新たに加わった楽曲を聴き、即答でオファーを受けた。

オリジナル版の映画や舞台版では沈黙の多かったセリーが、豊かな想像力を表現し、自分たちの強さに気づいていく。ミュージカル映画として生まれ変わった『カラーパープル』だからこそ描ける囚われの身から解放される姿に心奪われたのだ。

ファンテイジアの起用についてバザウーレ監督は、「登場人物のエッセンスを体現できる人たちを探していました。彼女は生まれながらのファイターで、優れたアーティストで、彼女が生きる世界で真の巨匠になった人なのです。彼女の演技に、きっと誰もが圧倒されると私は確信しています」と賞賛している。

舞台版への出演から16年の時を経て再びセリーを演じることになったファンテイジアは、「ミュージカル出演から、私はずっと年をとって、賢くなって、結婚して、子どもも増えたから、セリーに対して異なる視点で臨むことができた」と自身の成長が新たなセリー像を生んだと明かす。

『カラーパープル』の魅力について、「私たちはオリジナル版を変えたい訳ではありません。あの映画のスピリットが素晴らしいからです。ただ、若い世代と繋がりたいと私たちは思っています。歌やダンス、衣装やストーリーにところどころひねりを加えて完成した映画は、今の世代にフィットする作品になっています」と、原作から映画、舞台へと受け継がれたスピリットを継承し、さらなる高みを目指したと力強く語る。

エモーショナルな演技と圧巻の歌唱力、ファンテイジアの心震わせる熱演は全米で大ヒットを巻き起こしている。

『カラーパープル』は2月9日(金)より全国にて公開。




(シネマカフェ編集部)
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