ポルシェ963、2024年シーズン途中にクランクシャフトをアップデートか。障壁は台数の多さ

1

2024年01月17日 17:30  AUTOSPORT web

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの5号車ポルシェ963 2023年WEC第5戦モンツァ6時間レース
 ポルシェLMDhファクトリー・ディレクターのウルス・クラトルによれば、ポルシェはポルシェ963に使用されているV8ツインターボエンジン向けのアップデート版クランクシャフトを、2024シーズン途中から導入する可能性があるという。

 2023年、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とWEC世界耐久選手権に新型LMDh車両をデビューさせたドイツのメーカーは、2024年シーズンに向けて車両のアップデートを模索してきた。

 しかしクラトルは1月15日、記者団に対し、同社が開発を進める新しいクランクシャフトが、来週フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで公式テストが始まるウェザーテック選手権を戦う最新型のポルシェ963には、現在搭載されていないことを認めた。

「我々は、それを搭載していない」とクラトル。

「実際のところ、IMSAとACOとの間で我々が交わした最新の議論のポイントは、今シーズン、つまり2024年中に導入できるかどうか、だ」

「我々は(現在)それを搭載していない。初めて搭載するタイミングについても、まだ確かなものはない」

「誰もが知っているように、クランクシャフトのようなものの変更には膨大な時間がかかり、これらすべてをクルマに搭載するまでには数カ月を要する」

「クルマに搭載する前に、最初のパーツを用意する必要がある。次に、耐久テストも必要だ」

「ル・マンより前のレースで、これを使わないことは間違いない。ル・マンで導入するのか、その後になるか。まだ分からない。我々は単純に、分からないんだ」

 LMDhとLMH(ル・マン・ハイパーカー)の各メーカーは、5年間のホモロゲーション期間中に最大5つのいわゆる『EVOジョーカー』を使用することが許されているが、ポルシェが現在アップデートされている963においてジョーカーをどれだけ採用しているのかは不明だ。

 Sportscar365の質問に対し、クラトルはすでに承認された再ホモロゲーションの詳細については、触れなかった。

「そこには多くのポイントがある」と彼は説明した。

「もっと小さなポイントがある センサーやケーブルのレイアウトなどが異なるだけの場合もあある。それらは非常に小さなものだ」

「クルマを外から見た際、目に見えるものは何もないだろう。したがって、マシンの外側のシェルでは何も気づかれないはずだ。空力特性などはすべて同じに見える」

「細かいものはたくさんある。たとえばアルミニウム製だった継手が、信頼性上の理由からスチールなどに変更された場合の材料変更がある」

「そういった些細なことがあるのだ。これは我々が変更したパーツの、比較的小さなリストだ」

 未公開のアップデートは、レギュレーションに従って、12月にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたIMSAの公認テストで、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツからエントリーした2台のGTPマシンに実装されている。

「我々の場合、IMSA開幕戦のデイトナがあるため、昨年のかなり早い時期、つまり夏に、すべての(アップデートする)ポイントのカタログを持ってIMSA/ACOにアプローチした」とクラトルは付け加えた。

「我々はこの件について話し合ったが、オープンで公平な、良い議論だった」

「すべてがうまくいったとは言わないが、それはすべて理解できることであり、オープンで公正な議論であった」

 すべてのポルシェ963が同じ構成で動作するようにアップデートする必要があるため、実際に競争している車両が2〜3台しかない他のブランドに比べて、ポルシェはより困難な立場にあるとクラトルは認めている。

 今年は、ウェザーテック・チャンピオンシップとWECに2台ずつ、計4台のファクトリー・エントリーと同時に、カスタマー車両もあることから、少なくとも9台の963がふたつのシリーズに参戦することになる。

「何か新しいものを導入する場合、その時点からすべてのクルマに導入する必要があるんだ」とクラトルは説明する。

「すぐに、より大きな部品を採用すると、すべてのクルマに対してそれを準備する際に、サプライチェーンの問題と戦わなければならない状況に陥る」

「また場合によっては、たとえばエンジンに何か問題がある場合、取り付けのためにエンジンをバイザッハに送り返さなければならないこともある」

「カスタマーに答えなければならない質問もたくさんある。我々はカスタマーにマシンを販売したが、彼らはそのクルマが最高のレベルでパフォーマンスし、動作することを期待しているものだ」

「再ホモロゲーションが必要な場合、実際のところ、カスタマーは必ずしもそれに対してお金を払いたいとは限らない。それは社内でも議論されている」

「現場により多くのクルマを展開している場合、それは間違いなく不利だが、それでもそのレベルのクルマをカスタマーに提供するというポルシェAGのアプローチは、依然として主なゴールであり、主なターゲットだ」

「それは、我々があらかじめ予想していた問題だ」

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定