残り2日で首位サインツとローブのギャップ縮まる。王者アル-アティヤは怒りの乗車拒否【ダカールラリー】

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2024年01月18日 07:10  AUTOSPORT web

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2022年、23年のウイナーであるナッサー・アル-アティヤ(プロドライブ・ハンター)は度重なるマシントラブルに不満を募らせ、ついにステージ10でスタートを切らず戦列を離れた
 1月17日、サウジアラビアで開催されている『第46回ダカールラリー』は、北西部のアル・ウラを中心に371kmのスペシャルステージを含む都合612kmとなる“ステージ10”が行われた。同ステージでは、オーバードライブ・レーシングのゲラン・シシェリ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)がトップタイムを刻み、元フリースキーの世界王者が今大会初めて、通算では9回目となるステージウインを果たした。

 2024年のダカールラリーを戦う選手たちは16日(火)、このラリーのスタート地点となったアル・ウラの地に戻ってきた。翌17日(水)に設定されたステージ10は、アル・ウラを発着点とするループステージで争われている。

 今季はトヨタのサテライトチームからの参戦となっているシシェリは序盤から速さを見せ、アクシデントで遅れを取った有力選手たちを尻目に3時間19分27秒というタイムでフィニッシュ。5分43秒差でステージ2番手となったセンチュリー・レーシング・ファクトリチームのブライアン・バラグワナ(センチュリーCR7-T)や、同3番手に入ったTOYOTA GAZOO Racingバルティカのベネディクタス・ヴァナガス(トヨタ・ハイラックス)を抑えて最速の称号を手にした。

 一方、後半戦に入って熱を帯びているカルロス・サインツSr.(アウディRS Q e-tron E2)とセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)によるWRC世界ラリー選手権のチャンピオン経験者同士の優勝争いは、チーム・アウディスポーツのドライバーがパンクした2本のタイヤを交換するために7〜8分のタイムロスしたことで、さらに激しさを増した。

“エル・マタドール”の異名を取る3度のダカール優勝経験者を追いかけるローブは、ステージ25番手に終わったサインツよりも速いペースで走行していたが、彼もまた2本のタイヤをパンクさせてしまった。初優勝を目指すフランス人は、クルマを持ち上げる油圧ジャッキが壊れたことで計15分のタイムロスを喫したが、最終的には61歳のベテランを上回るステージ17番手でフィニッシュし、総合のタイム差を前日から約7分縮め13分22秒としている。このふたりに総合3番手で続くTOYOTA GAZOO Racingのルーカス・モラエス(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U)とサインツのギャップは1時間02分44秒だ。

■繰り返すメカトラブルにアル-アティヤの不満が爆発

 ローブがスタート前に小さなトラブルを抱え、危うく早期の決着がつきかけた大会13日目には、同じプロドライブ・ハンターを駆るナッサー・アル-アティヤがスタートを切らず、自ら今大会から退くというドラマがあった。“48時間クロノ”でのトラブルに続き、ラリー後半戦でもエンジントラブルなど2日続けて技術的な問題に見舞われた2連覇王者は、プロドライブのマシンに不満を募らせついにステージ10で乗車を拒否。これにより2017年以来初めて、過去20回の出場のうち7度目となるリタイアが決まった。

 これは2024年もW2RCに参戦するディフェンディングチャンピオンのアル-アティヤが、まだ手にすることができたはずの選手権ポイントを放棄したことを意味する。また、“ステージ10”でマティアス・エクストロームとステファン・ペテランセル(ともにアウディRS Q e-tron E2)がサインツを助けたようなチームプレーを、ローブが残り2ステージで享受できる可能性を小さくしたことにもなる。

 四輪と同様に、いまだ熱いトップ争いが繰り広げられている二輪部門では、総合首位に立っているモンスターエナジー・ホンダ・チームのリッキー・ブラベック(ホンダCRF450ラリー)が今年初めてのトップタイムをマークした。対して総合2番手につけるヒーロー・モータースポーツ・チーム・ラリーのロス・ブランチ(ヒーロー450ラリー)は3分45秒差のステージ7番手にとどまった。このため両者のタイム差は10分54秒に拡がった。

 一方、総合3番手につけているモンスターエナジー・ホンダ・チームのエイドリアン・ファン・ベベレン(ホンダCRF450ラリー)は、ステージ10で3番手タイムを刻みブランチに肉薄。その差はわずか52秒だ。また、僚友ブラベックと2秒差のステージ2番手となり、ホンダ勢のワン・ツー・スリーの一翼を担ったホセ・イグナシオ・コルネホ(ホンダCRF450ラリー)もトップから13分48秒差の総合4番手と好位置につけている。

 日本勢はチームランドクルーザー・トヨタオートボデーの三浦昂(トヨタ・ランドクルーザーGRスポーツ)とロナルド・バソ(トヨタ・ランドクルーザーGRスポーツ)がステージ、クラス総合ともにワン・ツーでステージ10を走破。トラック部門に参戦している日野チームスガワラの菅原照仁(日野600シリーズ)は8番手タイムでステージを走り切り、総合では7番手に順位を上げている。

 18日(木)に行われる“ステージ11”はアル・ウラからヤンブーに至る527kmのコースだ。このうちスペシャルステージは420kmで、その大部分はダートトラックとなっている。

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