AJCCは極端な道悪馬場を想定 その適性を秘める「上がり馬」に一発の魅力

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2024年01月20日 07:51  webスポルティーバ

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ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――年が明けて、古馬の芝・中距離重賞がすでに3鞍(中山金杯、愛知杯、日経新春杯)行なわれました。そして今週も、春の大一番に向けて注目の一戦となる古馬の中距離重賞、GIIアメリカジョッキークラブC(1月21日/中山・芝2200m)が行なわれます。フルゲートに満たない出走頭数となりましたが、メンバーの顔ぶれをご覧になっての率直な印象を聞かせてください。

大西直宏(以下、大西)例年ですと、年末のGI有馬記念(中山・芝2500m)や、年明けのGIII中山金杯(中山・芝2000m)に出走した馬が参戦してくるケースが多いですが、今年は前者に加え、後者もレース間隔が短いこともあって、これらのパターンの臨戦馬はいませんでしたね。

 また、昨秋のGI菊花賞(10月22日/京都・芝3000m)で上位を争った馬たちは、そろって先週のGII日経新春杯(1月14日/京都・芝2400m)に出走。その分、メンバー的にはかなり小粒の印象が強いです。

――年明けの中山開催は、例年に比べて速い時計の決着が続いています。ただ、今週の天気は雨予報。雨になると、馬場傾向が急に変わる可能性がありますか。

大西 関東圏ではここしばらく、レース当日に本格的に雨が降っている状態で競馬が行なわれることがありませんでした。当日の雨によって、土曜日の開催で馬場が掘れるようだと、日曜日は一気に時計がかかる馬場になる可能性は大いにあり得ます。

 もともとこのレースは、時期的にタフな馬場状態でのスタミナ・持久力比べになりやすいのですが、雨量次第では一段とタフな競馬になりそうです。レースを占ううえでは、その辺りの適性もポイントになりそうですね。

 過去20年で、不良馬場で行なわれたのは2012年と2021年と2度ありますが、どちらも2分17秒台の決着。平均の走破タイムから5秒近く時計がかかっています。こうした決着になった場合は、やはり特殊な馬場での適性が求められると思います。

――渋化馬場の適性からして、有力視されるのはどういった馬たちになるでしょうか。

大西 過去に不良馬場での好走歴があるのは、ボッケリーニ(牡8歳)、マイネルウィルトス(牡8歳)、カラテ(牡8歳)。いずれも8歳馬ながら精神的に強い馬たちで、過酷な状況でも弱音を吐くことはありません。

 一般的にサラブレッドは、高齢になると筋肉の収縮が衰え、スピード勝負には限界が出てきますが、時計がかかる馬場であれば、パフォーマンスは落ちにくい傾向があります。ダートで高齢馬の活躍が目立つのも、そのためです。

 そして、これらの馬たちについても、厩舎サイドから「雨は歓迎」という話が聞こえてきます。純粋なスピード勝負より、適度に時計がかかる馬場を望んでいるのでしょう。

――これらの他、極端な道悪を経験していない馬たちのなかで、適性を感じる馬はいますか。

大西 6歳ながら、まだキャリアの浅いチャックネイト(せん6歳)には魅力を感じています。これまで14戦のキャリアで、一度も掲示板を外していない安定感は大きな武器です。

 6戦前からブリンカー着用を固定し、直近3走の前には去勢手術を行なっているように、もともと気性面に難しさがあったようですが、年を重ねて、その辺りもだいぶ改善されてきたようですしね。

 前々走でオープン入りを決めて、前走ではすぐに重賞のGIIアルゼンチン共和国杯(3着。11月5日/東京・芝2500m)に参戦。2着マイネルウィルトスとはクビ差の接戦を演じたように、ここでも上位組との力差はないと見ています。

 オープン入りを決めた2走前の3勝クラス・六社S(10月9日/東京・芝2400m)では重馬場での競馬を経験していますが、当時はまだ時計の速い馬場状態でした。そういう意味では、極端に時計のかかるタフな馬場での競馬は未知数ですが、精神的に強くなった今のチャックネイトなら、相当な道悪を理由にして大きく崩れることは考えにくいです。

 ということで、今回の「ヒモ穴馬」にチャックネイトを指名したいと思います。

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