ジムニーよりも本格派? スズキが軽トラで最強オフロード車を作ってしまう

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2024年01月25日 15:31  マイナビニュース

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スズキの商用軽トラックが最強のオフロード車に変身? 「東京オートサロン2024」で見かけたカスタムカー「スーパーキャリイ マウンテントレイル」は、軽トラの新たな可能性を感じさせる1台だ。どんな思いで開発したのかスズキの担当者に話を聞いた。


仕事でも遊びでも使えるカスタム軽トラ



「スーパーキャリイ マウンテントレイル」はスズキの軽トラ「スーパーキャリイ」がベースとなっている。スーパーキャリイは「キャリイ」の室内空間を大幅に拡大し、使い勝手を向上させたモデルだ。



マウンテントレイルはその名の通り、山や山林での使用に適したクルマに仕上がっている。どんなユーザーを思い浮かべて開発したのか、担当者の解説は以下の通りだ。



「仕事でも遊びでも、どちらでも使えるように開発しました。例えば仕事の場合であれば、樹木の伐採のために山間部の悪路を走行したり、農作業のために工具を運んだりといった使い方です。遊びの場合ならトレッキングや釣り、カヌーといったアウトドアのアクティビティで目的の場所に向かうのに適しています」



では、なぜ軽トラをベース車両に選んだのか。



「山間部には中・大型の車両だと走行できないような悪路がたくさんあります。軽トラがベースのマウンテントレイルであれば、そのような狭い道でも問題なく走り抜けることができるはずです。通常のスーパーキャリイには設定していないオフロードタイヤを装着しているので、悪路走破性も向上しています」


ドアがないけど大丈夫?



マウンテントレイルを見て驚いたのはドアが取り払われているところ。悪路を走る上でドアを取り払うメリットはどこにあるのだろうか。



「マウンテントレイルのコンセプトは仕事も遊びも全力で楽しむ大人たちです。そのため、走行性能に加えてファッション性も追求しました。ドアを取り払い、そのかわりにパイプ状のドアフレームを取り付けることで見た目のインパクトも大幅に上がったと思います」



マウンテントレイルはあくまでコンセプトモデルという位置づけ。デザインを優先させた趣味性の高い1台だ。ただ、ドアを取り払うことで視認性は向上しているとのこと。山道ではタイヤのすぐ脇が崖になっていることもあるが、ドアがないのでどこまで幅寄せできるかをしっかりと確認できる。


ドアがないので悪天候時には車内に雨や雪が吹き込んでくる。そんな場合は、例えばドアフレームに幌を張ったり、濡れないように乗員が雨具を装着するなどといった対策が必要になりそうだ。マウンテントレイルは、どちらかといえば冬山よりも夏山のほうが向いているクルマといえるだろう。

かなり実用的な仕上がりながら販売の予定はないというマウンテントレイル。ただスズキによれば、今後は目的や用途に応じてさまざまなボディタイプのキャリイが作れるはずだという。


例えば、大型消防車両では入っていけないような場所でも消火活動が実施できる小型消防車両「シティ レスキュー」や、樹木が乱立する奥深い森林地帯も走り抜けられる小型森林パトロールカー「パーク レンジャー」、スキー場での監視・警戒・負傷者救護を行う小型雪上パトロールカー「スノー パトロール」も制作できるというのがスズキの考え。「スーパーキャリイ Multipurpose Special Vehicle」と名付けたシリーズとして今後、幅広く展開していく可能性もあるという。


「ジムニー」ではダメなの?



ここまで話を聞いてみて思ったのは、「ジムニー」や「クロスビー」などを使って同じようなことができるのではないかということ。実際、高尾山では山岳救助隊の車両としてクロスビーが活躍している。この点についても担当者に聞いてみた。



「ジムニーとキャリイの違いは、荷室部分の自由度にあります。ジムニーは荷室部分を取り外すことはできません。しかしキャリイなら、荷室部分を自由に改装できます。例えばジムニーを消防車両として運用し、広報車や警防車として運用している事例はありますが、ジムニーに消火設備を搭載するとなるとかなり難しくなります。キャリイなら、荷台部分に消防設備を簡単に取り付けられます」


悪路走破性だけでいえばジムニーのほうが勝っているといえるが、用途に応じたカスタムのしやすさという意味ではキャリイのほうが勝手がいい。



マウンテントレイルは実用性が高いだけでなく、「遊び心」が随所に散りばめられており、デザイン性も高く秀逸な1台に仕上がっている。現時点で販売の予定がないのは残念なところだが、前述したように、用途に応じたスーパーキャリイのカスタムカーを検討しているというのはうれしい情報だ。


個人的に購入するかどうかは別としても、こうしたユニークで遊び心にあふれつつ、しっかりと実用性のあるクルマの開発はどんどん進めていってほしいと思った。


室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら(室井大和)

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