量子ドット採用、付属のスタイラスでペンタブのようにも使える EHOMEWEIの17型モバイルディスプレイ「E170DSR」を試す

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2024年01月31日 17:32  ITmedia PC USER

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「EHOMEWEI E170DSR」。ボディーサイズ(最厚部)は実測で約380(幅)×252(奥行き)×15(厚さ)mm

 中国EHOMEWEI(イーホームウェイ)の「E170DSR」は、量子ドット方式を採用した17型のモバイルディスプレイだ。DCI-P3カバー率100%を実現していることに加え、付属のスタイラスタッチペンを用いたペン入力にも対応するなど、付加価値も多い。メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。


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●スタンド背面が大きく空いた独特のデザイン


 まずは基本的な仕様をざっと押さえておこう。画面サイズは17型、量子ドットを採用しており、DCI-P3カバー率100%の広色域を実現している。解像度は2560×1600ピクセルと、やや縦方向に長い16:10というアスペクト比が特徴だ。


 応答速度は1ms、明るさは400ニト、コントラスト比は1500:1、リフレッシュレートは60Hz、視野角は水平垂直ともに178度となっている。


 タッチ操作にも対応しており、指先でのタッチはもちろん、付属のスタイラスタッチペン(後述)でペン操作も行える。ちなみに製品ページなどには記載はないが、画面はグレア調でかなりの映り込みがある。この他にスピーカーも内蔵している。


 なお製品ページに記載されている本製品のサイズ(最厚部)は正しくなく、実測では約380(幅)×252(奥行き)×15(厚さ)mmだった。アスペクト比の関係で、一般的な17型モバイルディスプレイと比べて縦方向に長い。


 スタンドは本体と一体化しており、背面に折りたたむ構造になっている。USB Type-CおよびHDMIポートや、OSDメニューを表示するためのボタン類は、本体ではなくこのスタンドに搭載されているのが特徴だ。


 特にポート類は、スタンドの中央付近に空いた穴の内側に配置されるという珍しい構造になっている。そのためノートPCを真横に並べた場合も、ケーブルのコネクターが干渉せず、ケーブルを横方向に配線できる。リコーのモバイルディスプレイに似た設計だが、本製品はこのポートが本体ではなくスタンドに配置されているので、配線時の融通はより効きやすい印象だ。


 続いて、付属品などをチェックしていこう。


 もう1つ、製品の特徴として最薄部が5mm(実測)というボディーの薄さが挙げられる。単に薄いだけの製品ならば他にもあるが、本製品はCNCメタルの採用によりスマートフォンを思わせる丈夫さで、実際に手に取っても、ひ弱さは全く感じない。


 その一方で、重量はズシリと重い。17型というビッグサイズゆえ、一定の重さがあるのは当然だが、実測では1015gと大台を超えている。持ち歩きに使えるかは、この重量が許容できるか次第だ。本製品は縦向きでも使えるのが1つの売りだが、この重さのため安定性は決して高くないので、設置時には気をつけたい。


 付属品はUSB Type-Cケーブル×2本、HDMIケーブル、USB Standard A→USB Type-Cケーブルの他、USB Power Deliver(PD)対応の充電器、スタイラスタッチペン、保護フィルム、さらにキャリングケースと充実している。特に保護フィルムが付属するのは、モバイルディスプレイとしては非常に珍しい。


●USB Type-CもしくはHDMIで接続。タッチ操作にも対応


 では実際に使ってみよう。接続方式はUSB Type-CもしくはHDMIの2択となる。本体のUSB Type-Cは2基あるが、デバイスとの接続に使うのは上側のポートで、下側のポートは給電専用だ。HDMI接続でタッチ操作も行いたい場合は、補助のUSBケーブルをデバイスに接続する必要がある。


 本製品には、電力が不足した時のために最大30WのUSB PD充電器も付属する。今回の試用環境では、USB Type-C接続で輝度を100%にしても補助給電は必要なかった。出番は多くはなさそうだが、充電器としてはスマホの急速充電にも対応しうるスペックなので、例え本製品の利用時に出番がなくとも単体で使い道があるだろう。


 いずれにしても、補助給電のために充電器まで付属している製品はASUS JAPANなど一部のメーカーしかなく、またその充電器がUSB PDの急速給電にも対応しているケースは非常にレアだ。


 使っていて若干気になったのが、ケーブルを接続する順序だ。一般的なモバイルディスプレイでは、ノートPCとモバイルディスプレイ、どちらに先にケーブルをつないでも問題なく画面が表示されるが、本製品はまずノートPCに先にケーブルをつなぎ、その後にディスプレイ本体につなぐという順序でなければ、信号なしという画面表示のままになることが多いようだ。


 これは接続ポートを自動判別にしていた場合の話で、100パーセント再現できるかというとそうではなく、筆者が把握できていない挙動の癖もあるようなのだが、いずれにせよ一発で接続できないケースは他製品に比べて多いように感じられる。何かしらうまく表示されないトラブルがあった場合は、ケーブルをいったん抜き差ししてみることをお勧めする。


●OSDメニューはタッチで操作


 続いてOSDメニューもチェックしておこう。OSDメニューは、側面の物理ボタンを使って表示させた後に、タッチスクリーン上で操作を行う。全てのメニューがアイコンで表示されており、テキストラベルがほとんどない。一部分かりにくい項目があるが、操作性自体は悪くない。


 ただし、このOSDメニューを表示するためのボタンは本体ではなくスタンドにあり、しかもそれが正面から見て左側の奥ということで、手を大きく回して操作しなくてはならず、少々使いづらい。せめて左側ではなく右側にあった方が、ボタンを押した後すぐに同じ手でタッチ操作ができて便利だったのではと思う。


●ペンタブのように使えるスタイラスタッチペンが付属


 さて、本製品にはスタイラスタッチペンが標準添付されており、本製品をペンタブレットのように利用できる。タッチに対応したモバイルディスプレイは多数あるが、本製品のようにスタイラスが付属し、タッチでもスタイラスでも、どちらでも利用できるのは珍しい。


 スタイラスタッチペンは4096段階の筆圧検知と、45度の傾き検知に対応している(macOSおよびAndroidは筆圧検知に非対応)。バッテリーを内蔵しており、給電は側面にあるUSB Type-Cポートから行う。また本体後部には導電繊維のキャップも取り付けられており、指先を使わずにタッチ操作が行える。


 ざっと使ってみたが、Surfaceなどでも採用されているMPP2.0規格に準拠したスタイラスタッチペンということで、非常に安定している。利用にあたってペアリングは不要なので、接続元のPCでも同じMPP2.0対応のタッチスクリーンを採用している場合、このスタイラスタッチペン1本で両方をまとめて操作できるのも、使い方によっては便利かもしれない。


●実売4万6980円はリーズナブルと感じる内容


 以上のように、モバイルディスプレイとしての機能はほぼ全部入りで、さらにスタイラスタッチペンのような付加価値もある。それでいて3年保証まで付属しているなど、実売4万6980円(税込み)という価格はむしろ安く感じる。Amazonでは定期的に割引クーポンも出ているようなので、それらを併用すれば、お買い得感はさらに増す(記事掲載時点では、5000円クーポンが適用され実売4万1980円になっている)。


 そんな本製品であえて弱点を挙げるとするならば、設置方法のバリエーションの少なさだろう。本製品のスタンドは横置きと縦置きの両方に対応できるが、VESAマウントや三脚に取り付けられるようなギミックはない。


 できるのはせいぜい、タブレット用のアームを使っての設置くらいだろうが、画面サイズが大きいため適合するタブレットアームは多くなく、また背面スタンドの段差があるため、必ず取り付けられるとは限らない。17型という大画面ゆえ据え置きでの利用も視野に入る本製品だが、設置方法が限られている点は、考慮しておいた方がよさそうだ。


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