「主人公の母親が…」セクシー田中さん・原作者の訃報と重なる、過去作品の主人公に落とした影

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2024年01月31日 18:00  週刊女性PRIME

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『セクシー田中さん』実写ドラマ化で主演を演じた木南晴夏

 1月29日、日本テレビ系で実写ドラマ化された『セクシー田中さん』の原作漫画家として知られる芦原妃名子(あしはら・ひなこ)さんが亡くなったと報じられた。

原作漫画家の突然の訃報に悲しみの声

「1月28日午後4時ごろに行方不明届が出され、捜索が行われていました。その後、栃木県内のダムで遺体が発見され、芦原さんだと確認されたようです。遺書も見つかっていることから、自殺を図ったと見られています」(全国紙記者)

 突然の訃報に衝撃が走り、悲しみの声が広がっている。

 芦原さんは自身のブログとXで、2023年10月期に放送されたドラマ『セクシー田中さん』の脚本を巡るトラブルを説明していたばかりだった。

「発端は、ドラマの最終話が放送された2023年12月24日のこと。ドラマの脚本を担当していたベテラン脚本家が、自身のインスタグラムに《最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました》と投稿したのです」(スポーツ紙記者)

 それから4日後の12月28日に、脚本家は再びインスタグラムを更新。

《私が脚本を書いたのは1〜8話で、最終的に9・10話を書いたのは原作者です。誤解なきようお願いします》

 と前置きをして、

《今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした。この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています》

 と続けた。そして、具体的に何が起きたのかは示していないが、

《どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように》

 と締めくくっている。

「この投稿が一部で波紋を呼び、それからおよそ1か月後の1月26日に、芦原さんが経緯を説明するに至ったのです。

 芦原さんは、ドラマ化を許諾するにあたって“原作マンガに忠実にドラマ化すること。守られない場合は脚本に加筆・修正を行う”“未完の物語なので、ドラマオリジナルとなる終盤の展開は、あらすじからセリフまで原作者が用意する”という条件を出したそう。

 しかし、それが守られておらず、加筆・修正の繰り返しとなってしまった。その結果、制作のタイムリミットなどもあり、芦原さんが9・10話の脚本を担当することになったというのです。

 また、ドラマの制作スタッフと芦原さんサイドをつなぐ窓口は《プロデューサーの方々のみ》だったそうで、こうした条件がどのように伝わっているのかわからないとのことでした」(前出・スポーツ紙記者、以下同)

 芦原さんは、原作マンガの出版社である小学館とも内容を確認したうえで、このブログを公開したという。

「ブログが公開されると、ネット上で瞬く間に拡散されました。そして、『セクシー田中さん』の脚本家への批判の声が相次いだのです」

 そして、芦原さんはブログを閉鎖し、Xの投稿を削除。1月28日に、

《攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい》

 とXに書き残して、この世を去ってしまった。

過去の作品で描かれていたこと

「芦原さんの訃報を受けて日本テレビからのコメントが発表されましたが、具体的な経緯の説明などはありませんでした。そのため、脚本家だけでなく、テレビ局やドラマ関係者への批判も相次いでいます」(前出・スポーツ紙記者)

 芦原さんは、『セクシー田中さん』のほかにも、『Piece』や『Bread & Butter』などの人気マンガ作品の作者として知られている。単行本の発行部数が累計700万部を超えた大ヒット作『砂時計』は実写ドラマ化、2008年には夏帆と松下奈緒が同一人物の主演として映画化もされた。

「『砂時計』は2003年から連載が始まった作品です。完結して20年近くがたっていますが、作中に登場する『仁摩サンドミュージアム』には、今でもファンが足を運んでいるそうです」(マンガ編集者、以下同)

 12歳の主人公の両親が離婚して、母親の実家である島根県で暮らすようになり、物語が始まる。

「島根に越してから少しして、主人公の母親が自ら命を絶ってしまうのです。それから、大切な人を失った主人公の心情が、繊細に描かれています。芦原さんも自ら命を絶ったと報じられていたので、どうしても思い出してしまって……」

 主人公の恋の物語だが、母親の死は人生に大きく影を落としてしまう。

「亡くなる前にかけた言葉に責任を感じてしまうこと、周囲からは昔のことに見えても家族はずっと時が止まったように感じてしまうことや、他の出来事に亡くなった母を重ねてしまうこと……。残された家族の心の機微を丁寧に描くことができる芦原さんが、こんな結末を迎えてしまうなんて、残念でなりません」

 芦原さんの“砂時計”は、もう流れることはない──。

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