990Sの後継モデルは? マツダ「ロードスター」の大幅改良モデルに試乗!

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2024年02月01日 11:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
マツダが現行型(ND型)「ロードスター」を大幅改良すると聞いて、どうしても確かめたいことがあった。軽量化を極めた特別仕様車「990S」の後継になりうるモデルが、はたして用意されるのか否かということである。改良モデルの出来栄えも含め、試乗会で確かめてきた。


ロードスター大幅改良の注目点は?



ロードスター大幅改良の直接のきっかけは、最新のサイバーセキュリティ対策に適合させる必要が出てきたこと。これまでのプラットフォームでは対応できないため、電子・電気系の多くを変更する必要があったそうだ。



せっかくプラットフォームに手を入れるなら、走りの部分で気になっていたところにもしっかりと改良を加え、さらにブラッシュアップした「人馬一体」のロードスターに仕上げよう。そんな経緯で誕生したのが、今回試乗した大幅改良版だ。


走りの改良で注目すべき具体的な項目は「アシンメトリックLSDの採用」「電動パワーステアリングの進化」「エンジンパフォーマンスの向上」の3つ。それともうひとつ、個人的に最も気になっていたのは、「990S」の後継モデルは存在するのかどうかということだった。



軽さを極めた特別仕様車「990S」には2年前の登場時に試乗してとても気に入っていただけに、惜しまれながらラインアップから消えてしまったことに一抹の寂しさを感じていた。改良型ロードスターには990Sに代わる何かがあるのかも含め、伊豆スカイラインを舞台とする試乗会に参加して探ってきた。

「Sスペシャルパッケージ」は990Sの代わりになりうる?



「スポーツカーは軽さが命」とばかりにスタビライザーやブレースを廃し、「1トン切り」の車重990kgを実現したのが990Sというモデルだった。柔らかめのサスペンションと「KPC」(キネマティック・ポスチャー・コントロール)によるヒラヒラ感のある走りが今でも深く印象に残っている。



いきなり核心に迫ってしまい申し訳ないが、990Sの後継といえるのが新型ロードスターの「Sスペシャルパッケージ」という6MTモデルだ。



Sスペシャルパッケージのボディは1,020kgで990S比30kg増。比較的軽いボディのリアアクスルに新型ロードスター最大の売りである「アシンメトリックLSD」を採用している点が特徴だ。


開発を担当した操安性能開発本部主席エンジニアの梅津大輔氏によると、「搭載した円錐クラッチ型LSDに、減速時と加速時で異なるカム角を設定したことで、それぞれに最適な差動制限力を実現しています。特に減速側を強めることで、後輪の接地荷重が減り、クルマの挙動が不安定になりやすいターンインでの減速旋回時の安定性が向上しています」とのこと。マツダの技術者の言葉をあえて通訳するとすれば、カーブの際の安定感が増し、さらに曲がって楽しいクルマに進化した、ということになる。


「旧型のスーパーLSDからの変更によって、メンテナンスや耐久性、燃費などについてのデメリットは全くありません」と梅津氏。従来からある「KPC」(片側のタイヤのブレーキを軽くつまむ)の効果と相まって、伊豆スカイラインの特に下り、ゼブラがひかれたコーナーにシフトダウンと軽いブレーキングで進入するような場面では、ちょっと落ち着きをなくすようだった990Sの挙動に対し、新型はリアが安定していて、思い切って入っていけることがはっきりと体験できた。


電動パワステの進化も明確だ。従来型にあった「ラックエンドブッシュ」を廃止して構造を変えたことで、荒れた路面を通過するような場面でステアリングに伝わるブレが低減したほか、モーターの制御を内製化したことにより、ステアリングを戻す時の切れ感が増している。さらに、トルクセンサの容量アップによりアシスト量が一定していて、車速に関わらず、ステアリングを切ったり戻したりした量と車体の向きが正比例するような、スッキリ感が味わえるのだ。


もうひとつ、1.5Lエンジンのパフォーマンスがアップしていることも体感できた。新型は国内ハイオクガソリン(オクタン値99〜100)に合わせた専用セッティングのおかげで(従来型はグローバルのオクタン値96に合わせていた)出力が3kW(4PS)アップしただけでなく、7,000回転のレッドゾーン近くまでよどみなく上がっていく気持ちのいい加速が楽しめた。アクセルオフでの回転の下がり具合も、従来型の「ギュオーーン」から「ギュオン」という感じ(擬音ですみません)に変わっていて、このあたりもスッキリ感の向上に寄与している。


どこが変わった? ロードスターの見た目を確認



試乗車の新色「エアログレーメタリック」はロードスターによく似合っていた。エクステリアではデイタイムランニングライトを変更したヘッドライトやLED化で立体的になったテールランプが特徴となる。フロントグリル左側に装着したレーダーセンサー(欧州モデルではナンバープレートが幅広のため装着できなかった)や、中央から周囲にまっすぐのびたデザインのホイールなども新しい。


インテリアではシンプルなデザインになった3眼メーターや8.8インチまで幅を広げたセンターディスプレイ、中央部に毛足の長いレガーヌを採用したことで肌触りがよくサポート製が向上したシートなど、細かな改良がなされている。


価格はスタンダードな「S」が289.85万円、下から2番目の「Sスペシャルパッケージ」が308.77万円。試乗車はレーダークルーズコントロールなどの「ツーリングパッケージ」を装着していて319.77万円だった。このお値段でこの性能が楽しめるのなら、数あるグレードの中で1番人気になっても全くおかしくない。

速さの「RS」と豪華版「RF VS」にも乗ってみた!



伊豆スカイラインのように中低速コーナーが連続するような一般道ならそれほど差はないけれども、サーキット走行を楽しむ方など、絶対的なスピードを求めたい向きには「RS」グレードがある。ビルシュタイン製ダンパーやトンネルブレースバー、フロントサスタワーバーなどでボディと足回りを固めたRSの試乗車は、さらにフロントブレーキにブレンボ製ベンチレーテッド&対向4ピストンキャリパー、ホイールは16×7JのRAYS製軽量鍛造ホイールをオプション装着してあった。


RSの価格は374.5万円。33万円相当のオプションを装着した試乗車は407.55万円とかなりの価格になっていた。



一般路では足回りの硬さを感じる場面が多いかもしれないが、コーナリングスピードは明らかに高まっている。そのGに耐えるべく標準装備したレカロシートのホールド感も心地いい。MT車には、スピンに陥った場合にのみ制御が介入する「DSC-TRACK」モードボタンが新たに装着されたが、もちろん今回の試乗会でそれを確かめるわけにはいかなかった。


ロングドライブなど、GT的なイメージで乗りたいなら電動ハードトップの「RF」がある。試乗したのは6ATの最上位モデルとなる「VS」グレードで、ブラックに近いマシーングレープレミアムメタリックのボディに美しいタン内装の組み合わせ。新型ではセンターコンソールの全域がレザーで覆われ、より上質なイメージになった。ルーフを閉じれば静かな車内がキープされ、423.72万円という価格なりの上品な走りが楽しめる。


ロードスターの試乗会に参加すると、どのドライバーたちも降車時に笑顔になっているのに気がつく。それは軽量な2シーターオープンモデルという基本的な出自だけでなく、絶えず商品改良を行ってブラッシュアップを続けているからだ。ロードスターはもう、日本の宝になりつつある。



原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)

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  • 街中をダルく動く(走るのではない)には電気自動車でよいかもしれないが、休日の早朝に有料道路をぶっ飛ばずのはガソリン車ではなければならない事が良くわかる記事だ。
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