【書店ルポ】川越駅、地域密着から大型チェーンまで本好きを魅了する書店が充実

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2024年02月03日 07:01  リアルサウンド

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リアルサウンド

鯖江駅中心街にある老舗書店のひとつ「藤田書店」。教科書や事務機器を取り扱う旨を記したレトロな看板は、どこの地方都市に必ずあった地域一番の老舗書店の風格が感じられる。
■3つの似た名前の駅が存在する川越

 川越は“埼玉の小京都”といわれる蔵造りの街並みで有名な、埼玉県内屈指の観光都市である。江戸時代には城下町として繁栄し、前出の蔵造りの街並みや川越城本丸御殿などの文化財が豊富に残る。その一方で、約35万人の人口を有する経済の中心でもあり、都心に直通する列車も発着することから東京のベッドタウンとしての役割も担っている。


 観光客が川越を訪れる場合、似た駅名がたくさんあるので混乱することが多い。JRと東武の「川越」駅、東武の「川越市」駅、そして西武の「本川越」駅があり、いずれも重要な駅である。いわゆる蔵造りの街並みは、新宿から特急が出ている本川越駅がもっとも近い。しかし、規模としてはJRの川越駅がもっとも大きい。


 そんな川越の書店事情をリサーチしてみた。まず、JR川越駅の駅ビルのルミネには、なんと新刊書店が2店舗も入っている。「ブックファースト ルミネ川越店」と「ヴィレッジヴァンガード ルミネ川越店」だ。両店とも平日午後の訪問だったが、とにかく学生の姿が多かったのが印象的だった。調べてみると川越市内には高校がたくさんあり、学生の需要のおかげで駅に書店が2店も残っているのかもしれない。


 また、駅の西口には地元の書店「精文堂」もある。店の雰囲気は若干レトロであるが、規模が比較的大きく、1階が書店と文具店、2階がプラモデル、ミニ四駆、トレーディングカードなどを扱うかなりマニアックな店である。漫画の取り扱いも約2万5000冊と、専門店並みの在庫を持っている。カードゲームのイベントも開催されているそうで、地元の子どもや若者が集まるコミュニティの場となっているようだ。


■地方都市では稀有な書店の充実度

   川越駅から本川越駅に向かう間には、全長約1200mのクレアモールという商店街がある。この商店街の特徴は昔からある小売店や職人の店と大手チェーンが共存し、常に人通りがあることだ。日本屈指の活気ある商店街といわれることもあるというが、納得である。活気がある要因は様々だが、本川越駅から川越駅に乗り換える人が利用するし、川越駅から蔵造りの街並みへと徒歩で向かう観光客の需要もあるためだろう。


 クレアモールには川越最大級の書店、「紀伊國屋書店 川越店」がある。同店のホームページを見ると、コミック売場と学習参考書コーナーが充実の品ぞろえで、“「あそび」も「まなび」も強力にサポートしたい”という思いが込められているといい、学参コーナーは学校帰りの学生が多数立ち寄っていた。これまで多くの書店を訪問してきたが、活気のある書店の特徴はとにかく学生の姿が多いことである。そして、若者が気軽に入りやすい店づくりをしているかどうか。これはあらゆる業種で大切なポイントではないだろうか。


 なお、同じビルには「星乃珈琲店」があり、「紀伊國屋書店」で買い求めた本を読む人の姿が見られた。書店が町の中に溶け込んでいると感じられた。ちなみに、クレアモールにはアニメや漫画の専門店「アニメイト川越店」があり、同じビルには中古漫画本やグッズを扱う「らしんばん川越店」もある。


 川越は埼玉県内の都市では総じて活気のあるエリアと思うが、コロナ騒動の影響か、やはりシャッターを閉めた店舗や廃墟となったビルも目に付く。また、かつてはもっとあったであろう、個人経営の中小規模の書店が少なくなったのが気がかりである。それでも、あらゆる本の需要に応える店が駅周辺に集結しており、読書家が住む地方都市としては最強レベルと言っていいだろう。


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  • 本川越駅のリブロが入ってない。あと何故鯖江市の書店の写真?
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