TGR WRCチャレンジプログラム2期生ふたりがラリー2デビュー。ラップランド・ラリーをGRヤリスで走破

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2024年02月06日 19:21  AUTOSPORT web

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小暮ひかる/トピ・ルフティネン(トヨタGRヤリス・ラリー2) 2024アークティック・ラップランド・ラリー
 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかると山本雄紀は、2月2〜3日に開催されたフィンランド・ラリー選手権第2戦『アークティック・ラップランド・ラリー』に参戦。ラリー2車両で争われるSM1クラスをデビューしたてのトヨタGRヤリス・ラリー2で戦い、小暮がクラス8位、山本が同9位で完走した。

 これまで小暮と山本は、TGRの育成ドライバーとして最初の2年間を二輪駆動のラリー4車両で戦い、ヨーロッパのラリーで実戦経験を積んできた。そして3年目となる2024年は、よりハイスピードかつパワフルな四輪駆動車両であるラリー2マシンへとステップアップを果たす。

 ラリー2マシンは、WRCの最高峰であるラリー1に次ぐパフォーマンスを備えたラリーカーだ。小暮と山本がドライブするクルマは、今年1月に開催されたWRC世界ラリー選手権第1戦『ラリー・モンテカルロ』で実戦デビューを果たしたばかりのGRヤリス・ラリー2。このカテゴリーでのプログラムは彼らにとっては新たな、そして大きなチャレンジとなる。

 ふたりにとって四輪駆動車での初陣となったアークティック・ラップランド・ラリーは、多くの強豪選手が出場するフィンランド・ラリー選手権の第2戦であり、北極圏の入口であるロヴァニエミを拠点に合計199.95km、都合12本のスペシャルステージ(SS)で争われた。

 サーフェス(路面)はすべて積雪および凍結路で、非常にハイスピードなスノーラリーとしても知られる。また、一日の終わりには暗闇のなかを走行するナイトステージも用意されている。

 小暮と山本は一年前、このラリーにルノー・クリオ・ラリー4で出場したが、ラリー2カーでの出場となる今年は走行スピード域が大幅に上がるため、すべてのステージを走りきり、できる限り多くの経験を積むことを目標にラリーをスタート。

 昨年に続きコドライバーのトピ・ルフティネンとコンビを組んで出場した小暮は、ラリー初日の金曜日から速さを示しSS3ではクラス6番手タイムを記録し、クラス9番手で初日の走行をを終えた。土曜日の午前中にはクルマのトラブルでタイムを失ったもののサービスで問題が解決した後は順調に走行。柔らかい新雪に覆われた難しいステージや、全長32.65kmのロングステージを走破し、クラス8位でフィニッシュした。

 一方の山本は、2023年をもってWRCチャレンジプログラムを“卒業”した勝田貴元とも以前にペアを組んでいた、マルコ・サルミネンを新たにコドライバーとして迎え今シーズンをスタートした。土曜日午前中のステージではオーバーシュートによりタイムを失ったが、その後は良い走りを続けて挽回しSS10ではクラス4番手タイムを記録。最終的に小暮と1.7秒差のクラス9位でラリー2デビュー戦を終えている。

 小暮と山本の次戦は、2月15日から18日にかけて、スウェーデンで開催されるWRC第2戦『ラリー・スウェーデン』だ。今回と同じように雪と氷に覆われた森林地帯の未舗装路となるこのスノーラリーは、スウェーデン北部のウメオを中心に行われる。両名は昨年の同大会にもラリー4マシンで出場したが、今回はよりハイパフォーマンスなラリー2マシンでの出場となり、WRCのサポートカテゴリーである『WRC2』に初めて挑むことになる。

■「彼らは多くの新しいことに直面した」と講師のヒルボネン

 元WRCドライバーでTGR WRCチャレンジプログラムのチーフインストラクターを務めるミッコ・ヒルボネンは、2期生のラリー2マシンでの初陣を見届け、「いいスタートを切ったことにとても満足している」とふたりの挑戦を評した。

「(小暮)ひかると(山本)雄紀にとって、エキサイティングな一週間となった。彼らは多くの新しいことに直面したし、新しいトヨタGRヤリス・ラリー2をドライブすることにもプレッシャーを感じていたはずだ」

「ステージはグラベル(砂利)が多く出ているコンディションだったため、タイヤを少しセーブすることも考えなければならず、難しいラリーだった。それでも、ふたりともプッシュできる時にはプッシュし、本当に堅実でスマートなドライブをしたよ」

「今回の一番の目標は、新しいクルマでできるだけ多くの距離を走ることだったが、ふたりとも非常にうまくやってくれた。タイヤマネジメントや、競技レベルのスピードでこのクルマを走らせる方法など、今回のラリーで多くの経験を積むことができ、次戦のラリー・スウェーデンに向けて素晴らしい準備になった思う」

●小暮ひかる(SM1クラス8位/トヨタGRヤリス・ラリー2)
「まず何よりも、このラリーを完走することができて嬉しいです。始まる前は少しナーバスになっていましたが、すべてがうまくいきました」

「トヨタGRヤリス・ラリー2のフィーリングはとても良く、結果にも満足しています。運転のリズムとクルマのフィーリングを掴むことに集中していたので、自分のスピードに関してはそれほど意識していませんでしたが、結果的に速さもあったので良かったです」

「ラリー2に乗り換えてスピード域は上がりましたが、落ち着いてスムーズに走ることができたので満足しています。路面が荒れていたり、滑りやすいコンディションでは少し苦戦し、とくに金曜日のスーパーSSは手を焼きました。それでもシーズン最初のラリーでしたし、次のラリー・スウェーデンに向けて改善に集中したいと思います」

●山本雄紀(SM1クラス9位/トヨタGRヤリス・ラリー2)
「とてもいい経験になりました。トヨタGRヤリス・ラリー2で出場した初めてのラリーで、何もかもが新しくワクワクしていました。ラリーを完走し、すべてのステージを走り切ることが今回の目標でしたし、絶対にやり遂げなければならないことだったので、達成することができて本当に良かったです」

「ラリー前のプレイベントテストでは非常にいいフィーリングが得られていたので、ラリー本番でも同じリズムをキープすることを心がけていました。もちろん、さまざまなコンディションに直面したため簡単には行かず、序盤は少し慎重になり過ぎました」

「しかし、ステージを重ねるごとに自信がつき、フィーリングもどんどん良くなって行きました。今回、いくつか異なるタイプのステージを走れたことは、ラリー・スウェーデンに向けていい予行演習になりましたし、次のチャレンジに向けて心の準備もできました」

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