若月佑美、俳優として“引っかかりのない作品づくり”目指す「視聴者ファーストでありたい」【連載PERSON】

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2024年02月17日 07:11  TVerプラス

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若月佑美さんが主演を務めるABC×DLEによる連動プロジェクト『セレブ男子は手に負えません』(テレビ朝日、毎週土曜26:30〜/ABCテレビ、毎週日曜23:55〜)が現在放送中&民放公式テレビ配信サービス「TVer」で配信中です。

本作は、世界的有名ブランドの次期社長・西園寺シオン(鈴木康介)、ピアニストの天羽律(本田響矢)、ファッションモデルのルカ(井手上漠)、小児科医の神崎彰人(中尾暢樹)がシェアする高級ペントハウスの管理人になった百瀬ひかる(若月)が主人公の物語です。

第3話で衝撃的だったキスシーン……今後どうなる? 気になるひかると4人の関係は? これからの『セレブ男子』をより楽しむため、若月さんにインタビューをしました!

※以下、ネタバレが含まれますのでご注意ください。

あえて表情を作りすぎない演技を

――すでにクランクアップされているそうですね。地上波連ドラ初主演を演じ切ってみていかがでしたか?

とっても濃密な時間を過ごさせていただきました。主演という位置をいただいてはいるんですが、役柄的にも周りの男子に振り回される役でしたし、そこはあえて考えないようにしていました。ただただ役として生きていたら、周りの方が真ん中にしてくれるのかなって。

真面目で器用なキャストの方々ばかりで、「いるだけでいいのかもしれない」と思って過ごしていましたし、皆さんに助けていただきながら、良いドラマができたと思います。

――本作の世界観について、どんな印象を持ちましたか?

ストーリー自体は王道なんですが、そういった作品がなくなってきているなと思っていて。ドラマでも、最近は、刑事ものや医療もの、伏線を張ってどんでん返しがある作品も増えていますよね。

私は、それがすごく大好きな作品なので、いち視聴者として「面白いな」と見つつも、自分がテレビっ子だった青春時代は、『花より男子』『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』など、いわゆる学園モノのラブコメが流行っていたので、自分が出させていただくドラマでも「いつかやれたらな」と思っていたんです。今回は結構がっつり王道な内容なので、若い方にも見ていただけたら嬉しいです。

――撮影中に印象的だった出来事は?

皆さん年齢が若くて、特に(撮影当時)20歳の井手上漠ちゃんからは、今の流行りを教えてもらいました。ドラマはオフショットが必要じゃないですか。やっぱり(井手上は)SNS世代なので、カメラの撮り方もすごくて。まず「カメラはインカメじゃダメです」とか「ズームを〇〇にして、フラッシュをたいて他の照明を消して……」とか、とても詳しくて、すっごく勉強になりました。載せる写真にもこだわることがクリエイティブにもつながるんだなと思って、学ばせていただきました。

――若月さんが演じるひかるについて教えてください。

すごくいい人ですよね(笑)。若干、セレブ男子たちの事情に足を踏み入れすぎるところもあるんですが、でも、踏み入れちゃうのは「助けたい」「力になりたい」という理由からなんです。そこで空回りして、怒られたり、傷つけたりしてしまうこともあるけど、大元は、人助けをするのが好きな子。お給料がいいから選んだ仕事ではありますが、管理人という職業を選んでいる時点で、きっといい子なんだろうなと思います。

ヒロインは守られがちなんですが、(ひかるは)そこもありつつ、セレブ男子たちの心も守っていく存在でいたいと思って演じていました。

――ひかるを演じていて難しかったことはありますか?

お料理シーンもそうですが、彼女の「天真爛漫さ」ですかね。皆さんキャラクターがしっかりしている中、ひかるちゃんが担う部分は何かなと思ったときに、やっぱり「天真爛漫だからこそ憎めない」なのかなと。

私は普段、嬉しいことがあっても、手を挙げて「イェーイ!」みたいな感じではなく(笑)、心の中で喜ぶタイプなんです。一方で、ひかるちゃんは分かりやすく感情を出す子だったので、1個ギアを上げていかなきゃな、と思っていました。そこは、苦労しながらも、楽しかった点ではありますね。

――セレブ男子に翻弄されるため、ひかるのモノローグ(心の声)やリアクションをするシーンが多いかと思います。いわゆる受けの演技をする際、気をつけていることはありますか?

昔はコミカルにやる方が伝わりやすいと思って、台詞に合わせてコロコロ表情を変えていたんですが、時が経って、いろいろなお芝居をやらせていただいたり、現実世界でも人をよく見るようになったりする中で「人って、心の中で何かを考えているときほど真顔だな」という結論に至りました(笑)。

「マジか!」「ヤバッ!」と思っても、相手に悟られないように顔は平然を装っている……とか。時折、あまり表情を作りすぎないことも意識していました。

――3話までの物語を見ると、シオンが少しずつひかるに心を開いているようにも思います。当時の彼女の心情についてどう感じていますか?

最初に「(シオンに)認められたい」があって、その感情が少しずつ変わっていくのが3、4話あたりかなと思います。最初は「管理人として認められたい」。でも、3、4話あたりから「人として認められたい」や「仲間として認めてもらいたい」に変わっていく。この時点では、多分自分が作ったものに満足してもらうより先の「自分を求めてもらいたい」というところに来ているのかなと思うんです。

――シオンにマフラーを選んでもらう描写もありましたし、おにサンドも食べてくれるし、少しずつ「認めてもらえている」という感覚を得られているんですかね。

そうですね。雇い主というよりも、一緒に住んでいる人として「プレゼントしてあげたい」と思ってくれたのかな、という喜びもあるし、なにも飾っていないおにサンドを食べてもらえたことも嬉しかっただろうな、とは思いますね。

――3話は、律にキスをされる場面で終わります。あのシーンについては、どんな印象を持ちましたか?

これが後々効いてくるなとは思っています。これから、それぞれにスポットライトを当てていくことになるんですが、あの時、律がどう思っていたのか、なぜあそこでキスをしたのか、なぜひかるちゃんにあんなことを言うのか、いろいろ思いながら見ていただくと、後々「じつは、そういう思いがあったんだ」と分かると思います。

視聴者に寄り添う「リアリティ」を大切に

――ここからは、若月さんとテレビとの関わりを教えていただきたいです。芸能活動をする中で、ご自身の支えになったと思うテレビ番組を教えてください。

スケジュールや体調面で「大変だな」と思うときに励みにしているのは、小栗旬さんが出られていた『情熱大陸』です。

(当時番組で紹介されていた)スケジュールがえぐすぎて!「前線のすごく忙しい方はこんなスケジュールなんだ!……私なんてまだまだ序の口だ」と思っていました。

――TVerや配信コンテンツをご覧になることはありますか?

TVerでは、ドラマを見ることが多いです。今やっているドラマはもちろん、昔のドラマも配信されていると「懐かしい!」と思って見たり、名前で検索すると出てくるので、共演する方の作品を見たりすることが多いですね。『セレブ男子』のひとつ前に同じ枠でやっていた『18歳、新妻、不倫します。』もTVerで見ていました。

あと、もうひとつ前にやっていた『around 1/4(アラウンドクォーター)』は、友達の工藤遥ちゃんも出ていたので、見ていました。友達が出ているので見たかったですし、感想も伝えたかったので、配信があってありがたいなと思いましたね。ただ、なかなかセンシティブな内容だったので、ひとりの時間に見ていました(笑)。テレビは、家族や友人と共有するのも楽しいですが、ひとりの時間で楽しむ選択もありですよね。

――若月さんが、役者として大切にしている軸を教えてください。

私は視聴者ファーストでありたいと思っています。見ている方の疑問やひっかかりが起きると、そこで止まってしまうものだと思っていて。もちろん、分かりやすさや、作品の流れも大事にしていくべきではあるんですが、ただ「視聴者の方を置いていってはいけない」というのは軸に置いています。難しいところではありつつ、なるべく、引っかかりのない作品づくりをしていきたいと思ってます。

例えば、以前『アンラッキーガール!』というドラマに出演した際に、急いで喫茶店を出ていかなければいけないシーンがあったんですが、そこで“お金を支払う”という行動は「絶対に入れたいね」と話していました。

――確かに、未払いだと引っかかりますね。

たとえば、刑事ドラマで、喫茶店にいて外で事件が起きたとき、慌てて出て行ってしまうけど、「お金は?」と思いますよね。もちろんそこはフィクションなので、支払うシーンを省いてはいるんですが、少し引っかかってしまう。

特に今は現実とリンクさせて、感情移入して見てくださる方が多いので、それならば時代に合わせてそういったことも大事にしていきたい。急いでいても、とりあえず「お釣りはいらないです!」でお金を置いていくとか……。細かい気遣いはしていきたいです。

――本作でも、そういったところは気にされていたんですか?

話の流れや、撮影の都合など諸々あるので、視聴者の方に表現しきれない部分を埋めてもらうことも多々あるんですが、自分ができる範囲ではやっています。味噌汁を出すときに、絶対に(お椀の)縁に触れないとか、役者さんが左利きだったら左に物を置いてあげるとか、小さいことですし自己満足なんですが、そういうものも大事にしたいんです。

――それがあるのとないのとでは全然違いますよね。そういった気遣いは、ひかるもやりそうですし。

そうですね。いろいろなことに気づく人という設定なら、より一層意識したいです。

取材・文:浜瀬将樹 
撮影:松本理加
ヘアメイク:永田紫織[nous]
スタイリング:蔵之下由衣
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