iPhone 15/15 Proの「USB Type-C接続」を20以上の周辺機器で総点検 どこまで拡張性が上がるのか

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2024年02月20日 16:41  ITmedia Mobile

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iPhone 15シリーズはUSB Type-C端子を搭載したことで、接続できる周辺機器の自由度が高まった

 iPhone 15シリーズはUSB Type-C端子を搭載したことで、AndroidやPC、iPad向けに販売されている周辺機器の多くを直接接続して利用できるようになった。


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 もちろん利用できる機器に制限はあるが、これまでのiPhoneと違って高価なLightning端子向けのアダプターは必要なくなり、自由度がかなり増した。さらに、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro MaxではUSB3.2 Gen2(10Gbps)の高速データ転送にも対応。iPhoneをクリエイティブな用途に使っている人にとっては魅力的な仕様変更となっている。


 そこでこの記事では、iPhone 15シリーズのUSB Type-Cに接続できる周辺機器20以上を実際に利用できるのか試してみた。余ったLightning端子の有効活用や、気になるiPhone 15 ProのUSB3.2 Gen2(10Gbps)の高速データ転送に関して、対応するSSDのデータ速度比較も実行している。


●有線イヤフォンやオーディオ機器、外部マイクをより簡単に接続できる


 USB Type-C化で特に恩恵が大きいのは、有線イヤフォンをUSB Type-Cアダプターで利用でき、iPadやPC、Androidスマホとも使いまわせる点だ。Lightning端子だとアダプターの付け替えに手間がかかる上に、アダプターを入手しづらい。また、USB Type-Cになったことで高音質重視や充電対応などさまざまなアダプターを選びやすくなった。


 なお、有線イヤフォンは同価格帯のワイヤレスイヤフォンと比べて音質や通話品質が良好な傾向がある他、ゲームや動画再生で気になる遅延がほぼない。また、USB Type-Cアダプターによっては高音質なロスレスやハイレゾ音源の楽曲データをより忠実に再生できる。ただし、ノイズキャンセリングや外音取り込みなど、近年のワイヤレスイヤフォンの利点は基本受けられないといった欠点もある。


 オーディオインタフェースやMIDI機器、外付けマイクも、以前からiPhoneに対応していた機器はUSB Type-C端子に接続できればほぼ利用できる。いわゆる「USB Type-C - USB Type-A 3.1 Gen1メスの変換アダプター」があれば多くの機器の接続に便利だろう。


●ディスプレイやPC向け多機能ハブ、入力機器を接続する


 ディスプレイ接続はUSB Type-C端子の安価なHDMIアダプターを利用できる他、USB Type-C接続対応ディスプレイにも接続できる。なお、USB Type-C接続対応ディスプレイを利用する場合は、iPhone 15の場合でも「USB3.2以上対応のUSB Type-C - USB Type-Cケーブル」が必要なので注意しよう。


 4Kディスプレイにつないだところ、4K60Pのモードで接続できた。遅延は目視では確認できないレベルだ。画面の向きはiPhone側で縦向きだと縦向きの画面が描画され(左右に大きい黒帯ができる)、画面を横向きにすると上下に黒帯ができるが横向きに表示される。発色はHDR対応ディスプレイだと実際のiPhone 15シリーズの表示に近くなる。なお、動画配信サービスやプレゼンテーションなど、AirPlayでの外部出力に対応した16:9の表示内容は全画面表示が可能だった。


 LANアダプターも、iPadやPC向けの安価な製品を直接接続できるようになった。多機能なUSB Type-Cハブがあると、USB PDで充電しつつHDMIやLAN、USB端子を増やせて便利だ。


 また、キーボードやマウス、ゲームパッドも接続できる。ノートPCなしでの長文入力や、タッチパネルの故障時、クラウドゲームサービスの利用時に役立つだろう。マウスを利用する場合は「設定」→「アクセシビリティ」→「AssistiveTouch」の設定をオンにする必要がある。


 個人で利用することは少ないだろうが、セキュリティキーも利用できる。NFCでの接続は安定せず、USB Type-Cの方が確実に動作するという印象だ。X(旧Twitter)の2段階認証や、近年対応サイトが増えているパスキーの外部保存に利用できる。ただし、iPhoneでパスキーを利用できても、セキュリティキーの利用を想定していないサービスも多い。


●余ったUSB Type-C - LightningでAirPodsを充電しよう


 近年のiPhoneに付属している「USB Type-C - Lightningケーブル」は、USB Type-C端子に接続するとLightning端子のAirPodsや、iPhoneの充電に使える。また、USB Type-C端子のApple Watch充電器も利用できる。Appleでも案内している正規の利用方法だ。最大で4.5Wの電力供給に対応している。


 なお、iPhone 15シリーズをUSB Type-C端子が充電と給電の両方に対応しているモバイルバッテリーや機器に接続した場合、充電と給電のどちらが有効なのか不明な場合がある。この場合、iPhone 15側が充電を受けたい場合は、相手の機器の電源を入れてからiPhone 15を接続すると充電できることが多い。念のため、iPhone 15のバッテリーアイコンが充電を示しているも確認しよう。


●iPhone 15 Proの特権! USB3.2 Gen2(10Gbps)は動画書き出しに最適


 最後に、USBストレージとの接続だ。iPhone 15シリーズはUSBメモリやSSD/HDD、SDカードリーダー、USBマスストレージ接続対応のデジタルカメラなどを接続できる


 また、iPhone 15シリーズのデータ転送速度は基本USB2.0(480Mbps)だが、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxに限り、対応ケーブルと対応機器を接続すると最大でUSB3.2 Gen2(10Gbps)の高速データ転送を利用できる。「カメラ」やBlackmagic Designの「Blackmagic Camera」アプリなどは、最大4K/60fpsのProRes映像を外付けストレージへの直接記録も可能だ。


 基本的な使い方だが、「ファイル」アプリのブラウズの項目や、各アプリのファイル管理画面からUSBストレージを利用できる。「写真」アプリの場合は、接続すると右下に「読み込み」の項目が追加される他、選択した写真や動画の書き出しも可能だ。


 ただ、デジカメのSDメモリカードから写真や動画を読み込む場合、「写真」アプリはカード内のデータを全部サムネイル表示するので時間がかかる。最新の写真数点を取り込む場合は、「ファイル」アプリで目的のフォルダから探すか、USB接続を諦めてデジカメの各メーカーが用意するアプリでWi-Fi転送を使った方が速いだろう。何かしらの改善を願いたい。


 利用できるUSBストレージだが、USBメモリやSDカードリーダー、デジカメのUSBマスストレージモードなどを接続できる。ただし、電源供給のないSSDは消費電力によって動作する機器が限られる。HDDはドライブ側に電源があれば動作する。


 まず、USB接続対応のポータブルSSDは動作を確認できた。PC向けパーツのSSDだが、SATA SSDをUSBケースに入れたものは動作した。だが、NVMe SSDをUSBケースに入れたものは利用できなかった。電源供給可能なNVMe SSDのUSBケースの場合は認識したので、供給電力が足りなかったものとみられる。


 以下に、各社USBストレージをiPhone 15 Proに接続したときのベンチマーク結果を掲載する。


 結果、USB3.2 Gen2対応のサムスンとトランセンドのポータブルSSDが高速な結果となった。両製品ともPCのUSB3.2 Gen2と接続した場合は1000MB/sに近い速度を計測できるので、iPhone 15 Proのテストだとやや遅い結果になっている。クレーシャルのSATA SSDはPC接続時の速度がもともと500MB/s前後なので、iPhone 15 Proでの動作ということを考えると妥当なところだ。


 USBメモリはアイ・オー・データに限らず、リードが速くてライトが遅い製品が一般的なのでテスト結果に問題はない。USB2.0だと45 MB/sあたりで速度が頭打ちになるので、リードの91.52MB/sという速度はiPhone 15 Proならではの高速転送の恩恵を受けている。


 次に、iPhone 15 Proで撮った動画を、ポータブルSSDやPCに転送する際の速度のテスト結果を掲載する。「サムスン T7 Shield 1TB」へのコピーはiPhone 15 Pro内での書き出しを利用し、PCへのコピーはWindows 11のエクスプローラー上で行っている。iPhoneの「MACまたはPCに転送」の設定は「元のフォーマットのまま」だ。


 結果、ポータブルSSDへの直接転送が高速なことを確認できた。iPhone 15 Proで撮った大容量の動画ファイルをPCで利用する場合は、まずiPhone 15 ProからポータブルSSDに動画を直接転送し、ポータブルSSDをPCにつないで編集を開始するというフローが効率的ではないだろうか。


●USB Type-Cで拡張性アップ! 音楽鑑賞や映像制作に活用しよう


 iPhone 15シリーズはUSB Type-C端子になったことで、より利用できる周辺機器の範囲が広がった。特に、「Apple Musicのロスレス配信を開始したものの、ハイレゾ品質の有線イヤフォン変換アダプターを接続しにくい」「映像撮影機能を強化したものの、撮った動画を外部ストレージへ高速転送する手段がない」といった矛盾点がようやく改善され、利用範囲が大きく広がった。既にPCやAndroid、iPad向けのUSB Type-C機器を多く所持している人は、iPhone 15 Proでも活用してみてはいかがだろうか。


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