今回は、厚生年金に入ることで、将来もらえる年金が不利になることがあるのかについてです。
Q:厚生年金に入ることで、将来もらえる年金は不利になりますか?
「28年間地方公務員(教師)をしたがリタイアしました。来月から派遣社員として就職します。月収13万円くらいのため、厚生年金に入ることになります。厚生年金に入ることで、将来もらえる年金は不利になりますか?」(タンポポさん)A:収入が上がった場合、在職老齢年金制度で、老齢厚生年金額が減額されることはあります
月収13万円で派遣社員として働くのであれば、将来もらえる年金が不利になることはないでしょう。ただし、収入が上がり、かつ、60歳以降にも老齢厚生年金を受給しながら働く場合は、以下の在職老齢年金制度の仕組みによって、老齢厚生年金額が減額されることはあります。
働きながら老齢年金を受け取る場合の在職老齢年金制度
60歳以降70歳未満の人が会社に就職し厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上で厚生年金保険の適用事業所で働いた場合は、老齢厚生年金の基本月額と、給与や賞与などの額(総報酬月額相当額)を足した金額が、支給停止額(48万円)を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となることがあります。これを在職老齢年金制度といいます。
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・総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
在職老齢年金制度の支給停止額:48万円による年金支給月額の計算式
・基本月額と総報酬月額相当額との合計が48万円以下の場合:全額支給・基本月額と総報酬月額相当額との合計が48万円を超える場合:基本月額−(基本月額+総報酬月額相当額−48万円)÷2
相談者は、月額13万円で働くとのことですので、老齢厚生年金が月額35万円を超えない限り、在職老齢年金制度で年金が減額となりません。まず老齢厚生年金額が支給停止になることはないと思いますが、今後、収入が多くなる場合に備えて、在職老齢年金制度は覚えておきましょう。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)