怪奇作家シャーリイ・ジャクスンの伝記映画『Shirley シャーリイ』日本公開決定

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2024年02月27日 12:00  ORICON NEWS

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映画『Shirley シャーリイ』2024年夏公開決定 (C)2018 LAMF Shirley Inc. All Rights Reserved
 マーティン・スコセッシが製作総指揮に名乗りをあげ、2020年の「サンダンス映画祭」でUSドラマ部門審査員特別賞を受賞した映画『Shirley(原題)』(19年)が、『Shirley シャーリイ』の邦題で今夏、劇場公開されることが決定した。

【画像】監督として映画をつくり続けているマーティン・スコセッシ

 本作は、スティーブン・キングも影響も受けたと言われる稀代の怪奇作家シャーリイ・ジャクスンの伝記に、現代的で斬新な解釈を加えて練り上げられた、想像力とダイナミズムに満ちた心理サスペンス。彼女の小説だけでなく、配偶者で文芸評論家でもあったスタンリーとの数百通の手紙をもとに制作されている。

 作家自身のキャラクターを描きながら、まるでジャクスンの小説世界に迷い込んだかのような、幻惑的な映像を作り上げたのは、ジョセフィン・デッカー監督。世界各国の映画祭で高く評価された『Madeline’s Madeline(原題)』(18年)やA24とApple TV+が共同制作した『空はどこにでも』(22年)などで注目を集めている。彼女の初長編『Butter on the Latch』(13年)にスコセッシが惚れ込み、長編4作目となる本作につながった。

 1948年、『ニューヨーカー』誌上に発表した短編「くじ」が一大センセーションを巻き起こした後、新しい長編小説に取り組んでいたシャーリイ(エリザベス・モス)だったが、なかなかスランプから抜け出せずにいた。小説の題材にしたのは、ベニントン大学に通う18歳の少女・ポーラが突如として消息を絶った未解決の失踪事件。

 同じくベニントン大学教授である夫のスタンリー・ハイマン(マイケル・スタールバーグ)は、引きこもって寝てばかりいるシャーリイの機嫌をとって執筆へ向かわせようとするもうまくいかない。そんな2人のもとへ1組の夫妻が居候としてやってくる。

 文学部でハイマンの補佐として職を得たフレッド(ローガン・ラーマン)は、妻のローズ(オデッサ・ヤング)と共にバーモント州の学園都市へ移住を計画していた。新居が見つかるまでの間、無料で部屋と食事を提供する代わりに家事や妻の世話をしてほしい。スタンリーに半ば強引に言いくるめられた夫妻は、何も知らずにシャーリイとスタンリーと共同生活を送ることに。

 当初は他人が家に上がり込むことを毛嫌いしていたシャーリイだったが、ひどい扱いを受けても懲りずに自分の世話を焼くローズを通じて、次第に執筆のインスピレーションを得るようになる。一方、ローズはシャーリイの魔女的なカリスマ性に魅入られ、いつしか2人の間には奇妙な絆が芽生えていく。しかし、この風変わりな家に深入りしてしまった若々しい夫妻は、やがて自分たちの愛の限界を試されることになるのだった…。

 デッカー監督は、シャーリイ・ジャクスンについて「ある批評家か伝記作家が<シャーリイは政治的な作家ではない>と指摘していたが、しかしシャーリイは私的なレベルにとどまりつつ政治を意識していたと思っている」と語る。そして「だからこそ彼女の作品は今でも響き続けるのだ。彼女の作品は非常に人間的だから時代を超えて読まれている。シャーリイは非日常的な設定、心理描写、あるいは潜在意識に訴える巧みなリズムを使って人種差別、階級差別、性差別と闘っていたのだ」とその魅力についてコメント。

 脚本を手がけたサラ・ガビンズは長年、文学とかけ離れたホラー作家として扱われてきたシャーリイ・ジャクスンについて異議を唱える。「彼女は数多くの短編や長編を残したが、ホラー作品によくある吸血鬼やゾンビや幽霊や神話上の怪物は登場しない。その代わり日常のありふれた風景の中に恐怖を見出すのがシャーリイの小説の特徴でもある。<人間こそ恐ろしい怪物であり、私たち自身の精神が血に飢えた悪魔的な妖怪であり、私たちの社会はのどかなパーティーを楽しみつつ石打ちの刑にも加われる気まぐれな人々の集まりである>」と述べている。

 解禁されたシーン写真は、シャーリイがタバコをふかしながら、不穏な笑みを浮かべる様子を切り取ったもの。知的さの中に闇が垣間見える、印象的なカットとなっている。

 シャーリイを演じたのは、『透明人間』『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』などで知られるエリザベス・モス。ほか、『シェイプ・オブ・ウォーター』『君の名前で僕を呼んで』などに出演、名バイブレーヤーとしても評価の高いマイケル・スタールバーグ、オデッサ・ヤング(『グッバイ!リチャード』)、ローガン・ラーマン(『ウォールフラワー』『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』)ら、一流のキャストが集結している。
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