普段の仕事に“AI副操縦士” Windowsで「Copilot」はどう使えばよい? 5つの基本用途をチェック

0

2024年02月29日 17:01  ITmedia NEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia NEWS

写真

 ビジネスパーソンがPCを活用するうえで、“作業の能率化”は欠かすことのできない視点だ。そのうえで、最近はさまざまな生成AIが登場しており、業務能率アップのためいかに生成AIツールを活用するか、も考える必要が高まっている。


【詳細はこちら】Windows 11に「ChatGPT」のようなAI機能が搭載された。一体何に使えるのか?(画像15枚)


 こうした文脈のなかで、昨今のWindowsには生成AIを活用したアシスタント機能「Copilot(コパイロット)」が実装されている。2023年秋にリリースされた「Windows 11 2023 Update(バージョン23H2)」ではデフォルトでCopilotが有効になっているし、一部Windows 10向けにもプレビュー機能が提供されている。つまり、私たちは「ビジネスパーソンはCopilotを上手く扱えなければならない」と言われる時代に、すでに片足を踏み入れているわけだ。


 一方、企業としての方針や機器の制限によって、OSを対応バージョンにアップデートできなかったり、プレビュー機能を有効化できなかったり、とCopilotをまだ十分に使えていない方も少なくないことだろう。本稿では「Copilot」でできる5つの基本操作をチェックしたうえで、エンドユーザーとなるビジネスパーソンがどのようにCopilotを活用すべきかを考えていきたい。


 なお、本稿の手順説明画面では「Windows 11 Home(バージョン23H2、ビルド22631.2861)」を用いた。OSバージョンや使用時期などが異なる場合、同様の挙動にならない可能性もあるので、ご了承いただきたい。


●1.PCの設定を変更してもらう


 大前提として、Copilotにはさまざまな画面からアクセスできる。具体的には、(1)「Windows」(=OS)(2)「Edge」(=ブラウザアプリ)(3)「Webサービス」(=検索エンジン、公式サイト)(4)「Microsoft 365」(=オフィスソフト)(5)「モバイルアプリ」──などだ。


 このなかで、特にWindows PCから利用する文脈で知っておきたいのが、(1)のOSと連動した機能だ。これには、ほかの提供形態と分けるために「Copilot in Windows」という名称が付けられている。


 Copilotを利用するには、具体的に、デスクトップ下部に表示されるタスクバーから「Copilot」のアプリアイコンをクリックするか、「Windows」+「C」キーを同時に押下するなどしよう。デスクトップ画面の右端にCopilotを扱うためのサイドバー(サイドパネル)が表示される。このサイドバー下部にあるチャットボックスに「プロンプト」(指示や質問のテキスト)を入力すればよい。


 例えば、「ダークモードを有効にして」などとCopilot in Windowsに指示することで、Windowsの設定をダークモードに変更できる。このようにOSの一部の設定操作に紐づいたコントロールが行えるのが、ほかの生成AIツールと異なるユニークなポイントだ。


 ほかにも、「音量を10にして」のような指示が利用可能だ。一方で、「デスクトップにある『photo』を壁紙に適用して」などと指示をしても、Copilot in Windowsが勝手に設定を変更することはなく、該当する設定画面を起動するに留まる。つまり、Copilot in Windowsに指示すれば何でも設定を変更できるわけではないが、設定項目が存在する場所が分からないような場面でなら、幅広く役立つと思われる。


●2.メールや書類の雛型を整えてもらう


 続いて、生成AIらしい使い方として、メールの雛型や書類の骨子を生成したり、企画のアイデアを練ってもらったりといった使い方が考えられる。なお、こちらの使い方は先述した設定の話とは異なり、Copilot in Windowsに限った話ではない。


 例えば、「メールチェックと返信を効率化するためのテクニックを10個教えて」のようにアイデアをだしてもらえる。また、「そのアイデアを企画書の体裁でまとめて」と指示を出せば、Copilotがチャットの文脈を反映したうえで出力してくれる。


 ここで一応、Copilotで使われる言語モデルについて補足しておこう。おそらく生成AIツールとして知名度の高いツールに米OpenAIの「ChatGPT」があるのは、多くの方がご存知のことだろう。米Microsoftは、米OpenAIに投資をしており、CopilotにもChatGPTと同様の大規模言語モデルが使われている。例えば、ChatGPTでは無料版で「GPT-3.5」、有料版で「GPT-4」が使われているが、Copilotでは無料で「GPT-4」が利用できる。


 つまり、すでにChatGPTを使ったことがある方ならば、基本的にはCopilotでも同等のクオリティで出力が期待できると思って差し支えない。


●3.効率的な情報検索を行う


 Copilotに質問をすると、ブラウザでの検索結果をもとに、関連するWebサイトを引用しながら情報をピックアップしてくれる。検索データを活用するようなプロンプトは、例えばChatGPTでは有料プランを契約したうえで、場合によってはプラグインなどを上手く活用しないと難しいものだった。しかし、Copilotならば無料版でも検索データを活用する指示が扱える。


 例えば、「現在の日本の人口をもとに、10年後の生産年齢人口を求め、具体的な数値を出しながら解説してください」といった質問をした場合、現在の人口などのデータを参照しつつ、計算について解説してくれる。さらに引用した情報源がどこかも提示してくれるので、簡単な企画やプレゼンテーションの根拠を固めるための数字を捻り出すには便利だ。


 ほかにも、例えば外国語のフレーズの正誤をチェックしたり、ビジネスシーンで使って問題ないかなどのニュアンスをチェックすることもできる。


 例えば、「"I'm sorry to have you kept waiting."はビジネスメールにも適した表現ですか? もし修正するならどのように書き直すのが良い?」のように聞けるわけだ。


●4.必要な画像を生成してもらう


 画像生成機能も、ChatGPTならば、有料のChatGPT Plusを契約しないと利用できない。一方で、Copilotでは、無料でもそれと同じ画像生成モデル「DALL・E3」を使った画像生成機能(DesignerのImage Creator)を利用できる。


 使い方はシンプルで、プロンプトとして「〜の画像を出力して」など入力すればOKだ。チャット画面上で生成された4つの画像が提示されるので、気に入ったものを選択しよう。これでブラウザが起動し、画像をダウンロードできる画面が開く。遷移先の画面にて、ダウンロードや共有操作などが行える。


 ただし、DesignerのImage Creatorで出力した画像は、「商用利用」には適さないことを理解しておこう。例えば、出力した画像をデザインに使ってTシャツを作成し、販売するような運用はすべきではない。


 というのも、DesignerのImage Creatorの前進である「Bing Image Creator」では商用利用が禁止されていた。現在、MicrosoftのサイトにはBing Image CreatorとDesignerのImage Creatorに加え、複数の表記が確認でき、現バージョンでもこの利用規約が適用されるかは定かではない。そのため、商用利用にあたってはリスクがある状態といえる。


●5.一番の本命? 「Officeソフト」と連動して使う


 Copilotは、WordやExcel、PowerPoint、Teamsなど、Microsoft 365のアプリ群に統合された状態で使えることも強みだ。例えば「WordでのCopilot」ならば、書きかけの雑記テキストを元に文章を整えてもらうような使い方ができるし、「PowerPointでのCopilot」ならば、プレゼンテーションの下書きを作成してもらえるといった具合だ。


 ただし、各アプリに統合されたCopilotを利用するアプローチは限られている。例えば法人向けでは、一般法人・大企業向けMicrosoft 365のアドオンとして提供されている「Copilot for Microsoft 365」を使う必要があるし、個人向けアカウントならばCopilotの有料版プランである「Copilot Pro」(月額3200円)の契約が必要になる。


 もちろん、別途Microsoft 365を使うためのサブスクリプション購読も必要だ。なお、「Office Home & Business 2021」のライセンスでは、Microsoft 365と統合したCopilotは使えない。


 ちなみに、Office Home & Business 2021が既に使えるPCでセッティングをしたところ、Microsoft 365を購読してインストールを進めても、ライセンスが重複して存在している状態になり、そのままでは“Office 2021としてのWord”が起動してしまった。この状態では「WordでのCopilot」は使えない。この場合、Word等のアプリを起動し、アプリ内にある「ファイル」タブをクリックして、続けて「アカウント」をクリック。「ライセンスの切り替え」から使用ライセンスを「Microsoft 365」へ切り替える操作が必要だ。


 なお、特にCopilot Proについてはリリースされてから日も浅く、アプリによっては、まだ英語でしかプロンプトを入力できない状態であったり、カバーできる用途が限られていたり、ということも多々起こりうるだろう。この辺りについては、各々で試用を重ねつつ、日々のアップデートをチェックしていく必要がある。


●Copilotの恩恵を受けるコツ


 前提として、生成AIツールを使ううえで意識したいことは少なくとも3つある。1つ目はプロンプトを工夫すること(プロンプティング)。2つ目は1度の生成で答えを導き出すのではなく、指示と回答を何度も繰り返す「壁打ち式」の使い方を意識すること。3つ目は、機密情報や生成画像に対する扱い方など、運用ルールを徹底すること──だ。


 例えば、テキストに関するプロンプティングとしては、「Zero-Shotプロンプティング」と呼ばれる「いきなり指示・質問をする」方法では、幅広い用途に対応しづらい。先回りして解答例を記したうえで、類似の回答出力を求める「Few-Shotプロンプティング」というアプローチや、計算や思考の流れ事態を回答例として見せておき、より意図した論理性を出力に求める「Chain-of-Thoughtプロンプティング」などの手法を取り入れることを勧めたい。


 同様に壁打ち式の使い方は、要するに「日本で2024年4月に予定されている重要な記念日やイベントを10個あげて」→「SNSマーケティングでヒットする企画にはどのようなものがあると思う?」→「◯◯の企画を考えて」→「この企画の問題点は何だと思う?」──のように質問を重ねて議論を深めていくアプローチだ。


 もし、あなたが社用PCを管理する責任者の場合、機密情報の扱いについては、入力データが学習に使われなくなるようなオプトアウトの設定を検討すること、そして、エンドユーザーに対してプロンプトの欄に機密情報を入力しないことが重要だと認識してもらうことなどが重要になるはずだ。生成画像の扱いについては、先述の通りである。


 そして、Copilotに特有のこととしては、まだ登場から日が浅く、続々と日々のアップデートが重ねられていることがある。既に使い方についての情報は整理されつつあるものの、情報自体の総量が少なかったり、インターネット上で公開されている記事・動画等の情報が最新事情に追いついていないことも多々ある。エンタープライズであれば、情報システム部門の社員が挙動の検証を重ねているかもしれないが、中小企業や個人事業主だと、ITツールの扱いになれたスタッフや事業主自身が先行投資的に、Copilotを試していく必要があるだろう。


●Copilotに作業を自動化してもらう新機能も搭載へ


 執筆時点で試すことはできなかったが、2月28日に公開されたばかりの「Windows 11 Insider Preview Build 26058」には、Copilotにプロンプトで作業を命じると、その手順をユーザーに代わってCopilotが考え、組み立てた手順をRPA機能である「Power Automate Desktop」を通じてWindowsデスクトップ上で実行してくれるようになる「Power Automate via Copilot in Windows」が搭載された。


・フォルダの中にある全部のPDFファイルをリネームして、ファイル名の最後にfinalと付けてください。


・全部のwordファイルを別のフォルダに移動してください。


・PDFを最初のページで分割したいのですが、どうすればいいですか


・世界中の最も標高の高い山を5つ、Excelシートに書いてください


・チームのメンバーに、よい週末を! というメールを書いてください


 Microsoftは、例として上記のシーンを挙げているが、RPA機能を使った作業の自動化により、Copilotを使った業務効率化はより一層加速すると考えられる。


 本稿で紹介したような基本操作さえ分かっておけば、その後はある種「習うより慣れろ」という側面も大きい。あくまで企業・組織としての運用方針を順守したうえではあるが、積極的に「自身の業務に対して何が便利か」を研究していく姿勢を取っておきたい。


    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定