日本映画の仕組みに一石を投じる新映画レーベル「New Counter Films」設立、作家性と収益性の両立目指す

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2024年03月04日 15:24  ORICON NEWS

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『New Counter Films』の設立発表会見に出席した(左から)鈴木徳至氏、二ノ宮隆太郎監督、関友彦氏 (C)ORICON NewS inc.
 邦画業界における新しいビジネスモデルの構築により、作品性・作家性を重視した良質な邦画を国内外に発表することを目的とした新映画レーベル「New Counter Films(ニューカウンターフィルム※以下、NCF)」の設立発表会見が4日、都内で開催された。制作プロダクションのコギトワークス・関友彦氏、鈴木徳至氏、同レーベルの第1弾作品『若武者』の二ノ宮隆太郎監督が出席した。

【写真】新レーベル設立に意気込みを語った二ノ宮隆太郎監督

 同レーベルでは、「誰もが観たい映画でなく、誰かが観たい映画をつくる」をミッションに掲げ、作家性と収益性を両立する良質な映画製作を目指す、としている。レーベル名について関氏は「メジャーがあってこそのカウンターカルチャー、メジャーがあるから飛び抜けたものをつくれる、それにニューを付けた」と説明し、「ヒットを義務づけられた映画か、極私的な自主映画か、二者択一の現状に別ルートを拓きたい」と意気込む。

製作した映画はコギトワークス独自の配給網を活用した国内のミニシアターへ配給するほか、セールスカンパニーを介さずに海外のアートハウスへも直接配給。さらに、映画館のない地域でも同時期に楽しめるように、動画配信サービス「U-NEXT」を運営するU-NEXTがサポート企業として参加し、U-NEXTでの配信も公開と同時に並行して行う。リアル(劇場)とオンライン(配信)の垣根を超えて、共存する道を模索する。

 また、同レーベルでは、製作委員会方式ではなく、単独製作方式を採用。加えて、独自の配給システム・海外セールスにより配給手数料を撤廃し、利益の配分構造を抜本的に見直すことで、作り手に還元される報酬システム(総事業費回収後の全体利益の50%を作り手に還元)を実現する。作り手ファーストの体制を築き、創作における健全なモチベーションを喚起することで、良質な作品が生み出される環境を整えていく。将来的には独自のファンドスキームの組成を予定しており、邦画業界における新しいビジネスモデルの恒常的な運用を目指す。

 第1弾作品『若武者』は、義父に対する深い憎しみを秘める渉、他人の負の感情に悦を覚える英治、介護職員として真面目に働きながらも周囲を鈍い視線で見つめている光則という、三者三様の若者が、人生への疑問を問いながら未来に抵抗する物語。坂東龍太、高橋里恩(※高=はしごだか)、清水尚弥、木野花、豊原功補、岩松了らが出演している。二ノ宮監督は「いま37歳なんですけど、10代だった時の約20年前に構想した物語。これから生きていく若者たちに元気、影響を与える作品をつくれたら」と長年温めてきた企画を実現させた。5月25日より日本、ロンドン、ニューヨークなど世界同時公開。U-NEXTで都度課金(TVOD)制の同時配信を行う。

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