GEEKOMのミニPC「NUC MINI IT13」でゲームやクリエイター向けアプリは快適に使えるのか? 試してみた結果

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2024年03月05日 12:41  ITmedia PC USER

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GEEKOM NUC MINI IT13で、ゲームやクリエイター向けアプリを快適に使えるのだろうか?

 近年、PC市場の中でも人気を集めているのが「ミニPC」だ。従来のデスクトップPCと比べるとはるかに小さいボディーが特徴だが、そのコンパクトさゆえにCPUのパワーが控え目であることも多かった。


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 しかし最近は、ミニPCでもパワフルなCPUを搭載した製品も続々と登場している。「小さいながらも結構使える」と一部で評判を集めている……のだが、「本当に?」と疑問に思っている人もいるだろう。


 そこで今回は、Core i9-13900Hを搭載する中国GEEKOMのミニPC「NUC MINI IT13」でゲームやクリエイター向けアプリがどのくらい“実用的”に使えるのかチェックしていく。本機のおおまかな特徴は、以前に別記事で紹介しているので、合わせて参照してほしい。


●ミニPCとしてはハイスペックな「NUC MINI IT13」


 今回レビューするNUC MINI IT13について、まずスペックを再確認していこう。


 CPUはIntelの「Core i9-13900H」だ。第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake)のモバイル向け製品としては上位の製品で、ゲーミングノートPCでも採用されている。


 6基12スレッド構成のパフォーマンスコア(Pコア)は最大5.4GHzで駆動する。電力効率重視のEコアも8基8スレッド搭載しており、最大4.1GHzでの動作となる。合計で14コア20スレッド構成なので、マルチコア/マルチスレッド処理も有利だ。内蔵GPUは「Iris Xe Graphics」で、実行ユニット(EU)は96基を備える。


 メモリモジュールはノートPC向けのDDR4-3200規格のSO-DIMMを利用している。レビュー機には32GB(16GB×2)が搭載されているが、最大で64GB(32GB×2)まで増設可能だ。


 ストレージはM.2スロットに装着するようになっており、Type 2280(22×80mmサイズ)のNVMe規格モジュールと、Type 2242(22×42mmサイズ)のSerial ATA規格のモジュールを1枚ずつ搭載できる。また、2.5インチのSerial ATAストレージ(HDD/SSD)も内蔵可能だ。レビュー機には、2TBのNVMe SSDがプリセットされている。


 この通り、NUC MINI IT13はミニPCとしてはかなり性能を“詰め込んだ”作りとなっている。性能にも期待したくなる内容の1台だ。果たして、期待通りのパフォーマンスを見せてくれるのだろうか……?


●NUC MINI IT13でゲームは快適?


 NUC MINI IT13への期待が高まる所だが、ここからはゲームがどれだけ“実用的”に遊べるのか、テストしてみよう。


 最初からゲーム目的でPCを購入するのであれば、デスクトップでもノートでも、ゲーミングPCを選ぶべきだろう。しかし、ゲーミングが最優先でない場合、普段使いのPCがそこそこ強いパフォーマンスを備えていれば、ゲーミングに特化した装備がなくても何とかなる可能性もある。


 本機のCPUは、モバイル向けとしてはそこそこに強い。唯一、懸念材料があるとするならば外部GPUを備えていないことだが、CPU内蔵のIris Xe Graphics、しかもEUが96基ある構成ならゲームタイトルによっては意外と遊べる。


 ということで、今回は「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(以下AC6)」「パルワールド」「Apex Legends」、そして重量級の「Cyberpunk 2077」の4本を本機で遊び、2分間の平均フレームレートを計測してみた。


 今回は解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)とし、フルスクリーンで「軽量」品質で遊んでみる。ゲーム自身に計測機能があるCyberpunk 2077を除き、フレームレートは「CapFrameX」で計測している。結果は以下の通りだ。


・AC6:31.0fps


・パルワールド:18.5fps


・Apex Legends:31.3fps


・Cyberpunk 2077:26.77fps


 ゲーミングの“玄人”目線からすると、いずれのタイトルも快適には見えないかもしれない。しかし、タイトル次第ではあるものの平均フレームレートが30fps(一般的なTV番組に相当)を超えれば問題なくプレイできることが多い。


 そういう観点に立つと、AC6やApex Legendsは結構しっかりと遊べる。高画質や高フレームレートにこだわりがないなら、何とか“イケる”レベルだ。


 それに対して、平均30fpsを切るパルワールドやCyberpunk 2077は軽量品質でもプレイは厳しい。フレームレートの履歴を取ると、プレイ中のフレームレートが1桁か10台前半になることもあるので、これはさすがに厳しい。素早いキー入力を求められるシーンでは思うように操作ができない。


 もしも本機で「重たい」とされるゲームをプレイしたい場合は、USB4端子に「GPD G1」のような外付けGPUボックスを取り付けるといいのかもしれない。


 では、クリエイター向けアプリは快適に使えるのだろうか。続けてチェックしていこう。


●クリエイター向けアプリは快適か?


 続いて、ゲームと並んで負荷の重い処理を多用する傾向にあるクリエイター向けアプリのパフォーマンスをチェックしてみよう。


 私事だが、最近は写真の現像や動画の編集をする機会が多い。そこで今回はアドビの「Lightroom Classic」によるRAWファイルの現像と、「Premiere Pro」による4K動画の書き出しをテストしていく。


Lightroom Classic(RAW現像)


 Lightroom Classicでは、レンズ交換式カメラ「Nikon Z 7II」で撮影したRAWファイルを300枚取り込み、それらを長辺1920ピクセルのJPEGデータとして現像(書き出し)を終えるまでの時間を計測した。


 現像にかかった時間は2分38秒で、1枚当たり1.58秒で書き出せた計算だ。高性能なデスクトップ向けCPUを搭載するPCとほぼ同じ時間で書き出せている。


Premiere Pro(4K動画書き出し)


 Premier Proでは「GoPro HERO 10」で撮影した4K(3840×2160ピクセル)解像度の動画を複数読み込ませ、約30分のHEVC(H.265)形式の1本の動画として書き出す時間を計測した。


 結果は13分40秒だった。高性能なエンコーダーを備える外部GPUを搭載するPCと比べると、時間は掛かっている。しかし、動画の再生時間よりも短い時間で書き出せていることは確かなので、十分に高速ではある。


 実際に作業してみると、思ったよりもサクサクと進む。色味を大きく変える時など、かなりヘビーな作業をすると引っかかりが出ることもあったが、少し重い程度のエフェクトであればスッと適用できる。良い意味で思わぬ誤算だった。


 もちろん重たいデータの編集を行っているため、NUC MINI IT13の冷却ファンは常にフル回転となった。それなりに騒音は大きいが、サーマルスロットリング(熱によるパフォーマンス抑制)と見られる挙動は一切ない。これだけ小さなPCなのに、大したものだと感心する。


●ミニPCでもクリエイティブは作業いける 拡張すればゲームもOK


 NUC MINI IT13を“素の”状態で使うと、ゲームの動作には少々難がある。しかし、写真の現像/加工や動画の編集といったクリエイティブ向けのアプリは結構いい感じに使えることが分かった。


 もちろん搭載されているCPU次第ではあるが、NUC MINI IT13のようにゲーミングノートPCと同クラスのCPUを搭載したモデルであれば、外部GPUが必要なシーン(ゲームのプレイ)であれば快適に利用できると考えていいだろう。


 本機の場合、USB4端子が付いているため、理論上はUSB4(Thunderbolt 3)対応の外部GPUボックスを付ければ、ゲームも快適になるものと思われる。また、「Ryzen 7040シリーズ」のようにCPU内蔵のGPUが高性能であれば、本機よりも快適にゲームを楽しめるはずだ。


 ともあれ、現在のミニPCはそのサイズからは想像できないくらいにパワーがあることは間違いなく、以前からの認識は改めた方がよい。


 タワー型デスクトップPCのように“存在感のある”ものは部屋に置きたくない、スマートに自宅に設置できるPCが欲しい――そんな人には、今どきのミニPCはお勧めだ。


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