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映画「カフェ・オ・レ」(1993年)「アメリ」(2001年)への出演で知られる仏俳優/監督のマチュー・カソヴィッツが、3月4日にトーク番組「Les Grandes Gueules」に出演。番組内で若いころ受けた性的暴力の被害について語り、自衛の大切さを訴えました。
●ハリウッドから数歩遅れて「#MeToo」運動が活発化しているフランス
性暴力について声をあげ、連帯することを呼びかける「#MeToo」運動。ハリウッドでは大物プロデューサーのハーベイ・ワインスタインが過去に多くの若手俳優を食い物にしていたことが詳らかにされ、被害者の団結力と勇気により2017年ごろから徐々にその輪が広がっていきました。
しかしフランス映画界ではハリウッドほど大きく広がらなかったのが実情。2020年、同国の映画賞で最も権威あるとされるセザール賞では、米国で10代前半の少女への性的虐待で有罪となり多くの性的暴行被害を訴えられているロマン・ポランスキー監督が最優秀監督賞を受賞。かねて10代前半で受けたクリストフ・リュジア監督からの性的暴行を告発していたアデル・エネル(現在は仏映画界を引退)は怒りを抑え切れず、「恥だ!」と何度も叫びながら会場を出ていきました。
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最近では、フランスにおける「#MeToo」運動を根絶やしにすることがないよう、多くの女優たちが自身の受けた性的暴力を加害者の実名とともに告発しています。そして2月には、俳優オーレリアン・ウィークが10代から20代で受けてきた性的暴力を明かし、男性も女性たちと同じように告発し加害者を葬り去ろうと呼びかける「#MeTooギャルソン」を拡散。今度こそ仏映画界で権力を盾にした性的暴力を徹底してなくそうという強い意志とともに広がりつつあります。
●「僕みたいなかわいい男の子が」 自身の経験を告白
番組内で女性が自衛することの大切さについて議論していたマチューは「女性は振り返って誰かが守ってくれるのか尋ねてはだめだ。僕は娘たちにそう教えている。誰かにケツをつかまれたらたたけって。たたき返されることもあるかもしれないけど、それはあとで考えればいい」と主張。
そして自身についても「僕はね、ケツをつかまれたことがある」と告白。「僕みたいなかわいい男の子が、若いころずっとケツをつかまれなかったと思う?」と軽い口調を装いながら、「僕は引っぱたき、口論になった」とし、「みんな僕がやったように、言ったようにやるべきだ。僕が“ノン”と言ったあと、加害者はもうやらなかった」と自身の経験を回想しつつ述べました。
その後マチューは、映画界に入ったのは17歳のころだったと振り返り、その加害者は有名なのかと聞かれると「ええ、すごく有名ですよ」と答え、現役で今でも脚光を浴びている人物であると明言。しかし実名は明かしませんでした。
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●「ケツをつかまれたらたたけ」発言の賛否は
この番組内でのマチューによる発言を見た人からは、賛否両論となっています。マチューに同調する人は「その場その場でやめろと言わなければいけないのは当然。もし加害者が毎回平手打ちや罵声を浴びせられれば二度とやらないだろう」とマチューの意見に賛同。拒絶の意思を示す重要性を強調しています。
一方で男性と女性では事情が異なるとし、「あなたは男たちの暴力、それをのんきに見ている男たちの臆病さを理解してないみたい」「女性が自衛手段を学ぶのはいいこと。でもそれは論理をねじまげている。加害者が加害をやめる方がもっといい。映画界でもその他の場所でも、加害者は弱者を攻撃するんだ。責任を転嫁させないでね」とマチューが現実を甘く見ていると指摘する声もみられました。
また、「偽善を語り、誰がケツをつかんだのかは語ろうとしない。教訓と勇気にブラボー、マチュー。映画界で働けなくなるのが怖いんだろう?」「度胸のある人が好きと説きつつ、性的暴行加害者の名前は口をつぐむわけだ」と多くの被害者が実名とともに告発している現在、加害者の名前を伏せたことを批判する声も多数寄せられています。
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