スライドキーボード搭載「AYANEO SLIDE」をデスクトップPCとして使う その実力を試してみた

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2024年03月08日 12:31  ITmedia PC USER

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入力しやすい外付けキーボードを接続する

 VAIO Type Uのような製品をほうふつとさせるスライドキーボード搭載のポータブルゲーミングPC「AYANEO SLIDE」──前回は、届いたばかりのAYANEO SLIDEを開封し、日常的な用途で使えるようにセットアップしたところまで紹介した。


【その他の画像】


 筆者はAYANEO SLIDEを外付けディスプレイなどにつないで仕事でも実用的に使うことをもくろんでいる。そこで今回は、デスクトップPCとして使う場合のセットアップ方法を紹介するとともに、ベンチマークテストのスコアや実際に仕事で使えるのかどうかといった部分をレビューしていく。


●デスクトップPCとしてのセットアップ


 AYANEO SLIDEは物理キーボードを搭載している。単体で利用する場合はキーボードがUS配列であることや、親指でポチポチと入力スタイルになることから、キーレイアウトを「英語キーボード(101/102キー)」のまま、入力方式はデフォルトのローマ字入力でセットアップすることになるだろう。


 しかし、デスクトップPCとして使うなら外付けキーボードを接続することになる。今回はJIS配列の外付けキーボードを接続するため、キーレイアウトと入力方式の変更が必要だ。手順は以下の通りである。


 AYANEO SLIDEは本体の上下に1基ずつ、USB4(USB Type-C)端子を備えている。片方の端子をドックに、もう片方をUSB Type-C接続の映像入力を受け付ける外部ディスプレイに接続すれば、トリプルディスプレイ環境が実現する。


 ただ、実際にデスクで仕事を行うときには、どちらのUSB4(USB Type-C)端子にもハブを接続してトリプルディスプレイ環境を構築した。キーボードやマウス、SDメモリーカードリーダーの他、WebカメラやスピーカーマイクなどもUSBで接続したいので、端子の数を増やしたいという意図がある。


 ここまでセットアップすれば、後はこれまで通りの作業を行える。なんといってもこれまで筆者が似たような環境で使っていたのは「GPD Pocket 3」だ。Intel Core i7-1195G7プロセッサに16GBメモリ(LPDDR4X)というスペックで、悪くはないが、現時点では古さが否めない印象のUMPCだ。AMD Ryzen 7 7840Uに32GBメモリ(LPDDR5X)というスペックのAYANEO SLIDEなら、1.5倍の速度で仕事ができるかもしれない。


 PCのリプレース後には、あれやこれやアプリのインストールや設定、単語登録などがつきもので、そのための時間を除けば、ほぼ快適である。


 PhotoScape X(無料版)で画像編集も行ってみた。32GBもメモリがあるので、別記事で「AYANEO Retro Mini PC AM01」にかけた以上の負荷を与えたい。そこで、1枚が3.5MBから3.9MB程度ある写真を使って画像編集を行ってみた。まずは9枚をPhotoScape Xで連結した。


 30MB超のデータ容量を持つ画像ファイルにテキストや図形などを編集で挿入してみたが、待ち時間は生じず、もたつくこともなかった。実際、CPUの使用率も10〜15%程度、メモリは50〜60%、GPUも「仕事していないのかな?」と思うほど低い使用率で推移していた。


●ベンチマークテストの結果は


 体感としても、タスクマネージャーの数値からも、まだまだ処理に余裕のあることが分かる結果になったが、ベンチマークテストも実行してみたい。


 計測ツールは「CrystalDiscMark 8.0.4×64」(ひよひよ氏作)を使用した。「設定」でNVMe SSDを選択した。テストは5回行い、その平均値を取った。その結果、読み出し速度の平均は毎秒3474.07MB、書き込み速度では平均毎秒2255.68MBと高速であった。なお、それぞれMAXは読み出し速度が毎秒3512.36MB、書き込み速度が毎秒3082.72MBであった。


 続いてCPU処理性能を測る「Cinebench R23.200」で、マルチコア、シングルコアのスコアを計測した。こちらはマルチコアの平均スコアが10306、シングルコアの平均が1103であり、シングルコアの値が低いのが気になった。


 ポータブルゲーミングPCなので、ゲームを快適にプレイできるかもテストした。まずは「ドラゴンクエストX ベンチマークテストver.1.6.1」の測定結果だ。


 標準品質でのスコアが「6963」と「快適」だったので、最高品質でもテストしてみたところスコアは「6478」で、同じく「快適」だった。前回にテストしたAYANEO Retro Mini PC AM01より低い評価となったのが気になるところだ。


 続けて、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」でもテストを実施してみる。こちらはAAA級のタイトルだがどうなるか。


 デフォルトの「高品質(デスクトップPC)」でのスコアが「5955」で「普通」という評価だったので、試しに「最高品質」にしてみたところ、なぜか「6511」の「やや快適」であった。この点は不自然であるため、あくまで参考にとどめていただきたい。また別の機会に検証したいところだ。


 そして、品質を落とした「標準品質(デスクトップPC)」では「7229」で「やや快適」。これなら実際のプレイに投入できそうだ。


●AYA Spaceで細かく制御


 AYANEOブランドのPCには「AYA Space」という専用ユーティリティーがプリインストールされている。デフォルトでは、PCの起動と同時に立ち上がり、プラットフォームに関係なく、自分が持つゲームのタイトルを表示してくれる。これは、SteamDeckの起動直後に似ている、といえば通じるだろうか。ここからゲームを起動できるので、本来の用途であるゲーミングマシンとして使うには便利だろう。


 ジョイスティックの感度の設定やLEDの設定、キーボードバックライトの設定なども、ここから行える。これはAYA Spaceが全画面に表示されていない状態、つまりWindowsのデスクトップが表示されている状態からかんたんに行える。というのも、AYANEO SLIDEにはAYAキーが搭載されており、このキー(というかボタン)を短押しすることで、「AYA Quick」がディスプレイ3分の1ほどのスペースで立ち上がり、ここから設定を行えるからだ。


 本来のポータブルゲーミングPCとしても、また仕事用デスクトップPCの代わりとしても使い倒せるAYANEO SLIDE。もう少し長く使って、不具合などが見られないかどうかチェックする必要はあるが、今のところ「大満足」な端末である。


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