“脚本に生成AI利用”の声優の朗読劇が中止に 「関係者に多大なる迷惑が掛かる危険がある」

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2024年03月11日 15:31  ITmedia NEWS

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 舞台公演の企画などを手掛けるLol(東京都渋谷区)は3月9日、13日から上演予定だった朗読劇「〜AI朗読劇〜AIラブコメ」の公演を中止すると発表した。生成AIを使って脚本を作り、それを声優が朗読するという企画だったが、同社は「関係者たちに多大なる迷惑が掛かる危険がある」との理由から、公演中止の判断を下した。


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 同公演は、13〜20日に上演を予定していた。生成AIが作った3本の恋愛ドラマを声優が朗読するという内容で、脚本以外にも、キービジュアルなどのデザインにも生成AIを利用していた。同社は「(生成AIは)一部利用しているにすぎず、生成AIアプリに複数のキーワードを入力し、導き出した成果物に、クリエイターが手を加えて仕上げている」と説明していた。


 同社は企画について「AIを使って、人間が紡ぎ出す作品に、固定概念にとらわれない要素が入る、新しいクリエイティブへの挑戦であり、今までにない世界を楽しめる作品を目指す」と言及。また、文化庁の「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に対して、日本俳優連盟(原文ママ)が提出した意見書にある「AIは、人間のクリエイターに取って代わるものではなく、人間のクリエイターに力を与え、補強するために使われるツール」という記述にも「同じ考え」と述べ、この考えに基づいて制作しているとも説明していた。


 一方、同社の企画説明に対して、X上では「無断学習・搾取問題を抱えるツールの使用をアピールする時点で、搾取の片棒を担いでいる」など、生成AIの利用を非難する声が上がっていた。


 その後、同社は「皆さまよりさまざまなご意見を頂くことは予想していたが、一部の方々には、意図せず不信感・不安感を与えてしまう結果となった」とし、9日に中止を発表。「関係者や出演者、事務所の皆さまに多大なる迷惑が掛かる危険があるとの理由から、断腸の思いではあるが、中止という判断を下した」と理由を説明している。


 公演が中止になったことを受け、X上では「合法に経済活動している団体に対して、業務に影響が出る形で批判を送るのは威力業務妨害とかにはならないのか」など中止対応に疑問を呈する声も見られた。


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