市川紗椰が銀座で見つけたディープな路地裏「一番のお気に入りは、『金春小路』」

0

2024年03月15日 06:50  週プレNEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週プレNEWS

銀座で路地さんぽ


『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は市川紗椰が銀座で見つけたディープな路地裏について語る。

 * * *

久々の路地さんぽ。今回の舞台は高級感あふれる大人の街、中央区銀座。世界的な高級ブランドや風格ある老舗飲食店など、日本の「贅(ぜい)」が集結したイメージの街ですが、実はディープな路地裏がたくさんあります。私と同じく、路地があったら吸い込まれてしまうあなたも、ぜひ。ビルの裏にひっそり張り巡らされた路地の迷路へ行きましょう。

銀座+路地の定番といえば、豊岩稲荷の路地。こちらは銀座七丁目の交差点からすぐ。資生堂パーラーの周辺を注意して見ると「豊岩稲荷神社」と書いてある小さな石碑がビルの前にサラッとあります。その奥には、人がひとり通れるくらいの路地が。

道なりに進んでいくと、やがて釣り灯籠が朱色の壁をぼんやり照らしている一角にたどり着きます。こちらが豊岩稲荷。お狐さまが2匹見守るお賽銭(さいせん)箱と小さなちょうず鉢があり、コンパクトだけどちゃんとしたお稲荷さんです。暗い路地から突如浮かんでくるので、まるで異界のよう。歴史は古く、江戸時代初期からここにあるので、周りのビルたちよりだいぶ先輩。再開発の波を乗り越えてきた、銀座らしいお稲荷さんです。

豊岩稲荷を抜けて表通りに出てもいいし、さらに路地の奥をくねくね進んでから抜けるのもオススメ。数年前までは、路地の一部の扱いだったカフェに抜ける自動ドアがありましたが、今は閉鎖。狭い道をそのまま進むと、七丁目に戻ります。

同じく銀座らしさ満載の裏路地は、ティファニー横の路地。こちらは中央通り沿いに入り口があり、ティファニー銀座本店とKOMEHYOの間の路地。真っすぐ抜けるシンプルな路地ですが、幅の狭さと上部の開放感のバランスが面白い道です。「水玉路地」とも呼ばれており、防犯対策として夜は地面が水玉模様に照らされています。

一番のお気に入りは、金春(こんぱる)通りの雑居ビルに隠れている「金春小路」。見落とすほど狭いけど、「こんぱるこうじ」という小さすぎる看板が目印。怪しげだけど、味わい深い看板やレトロなタイルの壁が並んでます(「立ちションやめて......」とけなげに書かれた張り紙も趣があります)。L字形の路地を進んでいくと、まるでタイムスリップしたような光景。花街の名残が感じられます。

見番(けんばん)通りから並木通りへ抜ける「出世街道」も面白いです。一見ビルとビルの隙間にしか見えませんが、れっきとした"街道"。なんと、路地を抜けてそのまま街を真っすぐ進むと、やがて国会議事堂にたどり着きます。田中角栄氏が銀座から国会議事堂に向かうときにここを通っていたことから、この名で呼ばれるようになったそうです。

新しくできた路地があるのも銀座の面白さです。レンガ通りを少し進むと、片腕を伸ばしている小さなお猿さんのオブジェが。お猿さんが指しているのは小さな路地。実は、この先には宝童(ほうどう)稲荷があります。江戸時代からある稲荷神社ですが、2016年に建物が建て替えられる際、この参道が新設されたそうです。

ほかにも、おしゃれなお店が並ぶルパンの路地や、ノスタルジックな三原小路近くの袋小路など、異世界に迷い込んだような路地がたくさん。散歩せねば。

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。銀座さんぽの締めは焼き肉「東京園」で決まり。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

    ニュース設定