「AIに仕事が奪われるかも」時代をどう生き抜く 記者歴20年の45歳が考える

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2024年03月18日 12:51  ITmedia NEWS

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チャットAI「Claude 3」

  ITmedia NEWS Weekly AccessTop10(3月9〜15日)


【その他の画像】


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 ITmedia NEWSにおける1週間の記事アクセス数を集計し、上位10記事を紹介する「ITmedia NEWS Weekly Top10」。今回は3月9〜15日までの7日間について集計し、まとめた。


●「何度もやって成功するんや」


 宇宙事業を手掛ける日本の民間企業スペースワンが、小型ロケット「カイロス」初号機の打ち上げに挑戦した先週。発射後に何らかの異常が発生し、機体はリフトオフの約5秒後に空中で爆発した。


 当日は、打ち上げを見ていた人のインタビューがテレビのニュースで流れていた。「残念」という声が多かったが、児童を連れて見ていた小学校の校長が、「こういう挑戦は何度もやって成功するんや! 次も応援しよう!」と子どもたちに力強く話していたことが印象深かった。


●記者の仕事がAIに置き換えられる時代?


 アクセス2位には、AIベンチャーの米Anthropic(アンスロピック)が開発したチャットAI「Claude 3」(クロード・スリー)を試した、吉川大貴記者の記事が入った。


 Claude 3を使い、ニュースリリースを基にした記事の執筆(業界では「リリース起こし」を呼ばれる)を試した結果、「そこそこいけるな……少なくともGPT-4よりはイケる」と所感を述べている。


 筆者はフリーライターで、リリース起こしの仕事が重要な収入源だ。この記事を見て「自分の仕事がAIに取って代わられるのでは」と不安になり、Claude 3を試してみたが、確かにリリース起こしの能力はGPT-4より高く、「AIが人間の記者にまた迫ってきたな」と脅威に感じた。


●「仕事なくなるかも」と何度も思った20年


 一方で「この不安感、過去に何度も経験しているな」とも思った。筆者は2003年からネット記者業を続けているのだが、新たな事態に直面して「専業記者は不要になる」と不安になることがたびたびあったからだ。


 そもそも03年は、紙の新聞や雑誌が元気だった。当時ネット専業記者はほとんどおらず、新聞や雑誌の記者がまぶしく見えた。無料の媒体で記事を書くことが職業として成り立つこと自体が不思議だったし「ネットメディアはもうからない」と当たり前のように言われていた。


 そのころブームになり始めたのがブログだ。個人が記者と同様に発信できる素地が整った。ニュースサイトと同じような記事を公開するブログメディアも次々に登場。一般の「市民記者」が記事を書くメディアも現れるなど「ブログがあれば、企業が運営する商用メディアは成り立たなくなるのでは」と不安になった。


 09年ごろからのTwitterブームも情報流通を激変させた。一次情報がメディアではなくTwitterから発信されることが増え、記者の仕事が置き換えられる脅威を感じた。「メディアごとにトップページから見る」という旧来のニュースサイト閲覧スタイルは、SNSに投稿されたURLから閲覧するという形態に変化した。


 10年ごろから本格的に普及したクラウドソーシングにも驚いた。企業は数千文字の記事を、1本数百円から1000円程度でクラウドワーカーに発注できるようになった。筆者も、クラウドソーシングで記事を集める企業に一時期在籍していたのだが、自分が安くない給料をもらって数時間かけて書いていた記事と同等の納品物が、数百円で手に入ってしまうこともあって戦慄(せんりつ)した。


 こうしたことが起きるたびに「私の仕事、ヤバいな」と思ったし、仕事のやり方も変化してきた。だが「読者が知りたいことを取材し、分かりやすく正確に発信する」という記者業の基本は変わっていない。減るかと思った仕事だが、少しずつ形を変えながらもむしろ、増えている。


●理想の仕事って何だろう?


 20年たち、ネットメディアが普及した裏で新聞が不況にあえいでいる。ネット記者は健在だが、今後、AIである程度置き換えることができるようになるのかもしれない。こうした時代に「自分の仕事はこれからどうなるんだろう」と不安になる人は多いと思う。


 そんなとき、この20年間を振り返る。ここまで筆者の仕事を支えてきたのは、伝統的な新聞記者のスキルだ。記者の基本をたたき込んでくれた最初の上司も元新聞記者だった。ネット時代以前のスキルを持って、目の前の仕事を精いっぱい頑張り続けた結果、その先はつながっていった。


 今求められている仕事を精いっぱいやる延長線上に、より良い未来は続いている。自分のキャリアを振り返って実感しているし、悲観的になりそうなときは自分にもそう言い聞かせている。


 とはいえ「AIに奪われないスキルを身に付け、労働で稼ぎ続ける」のは本末転倒ではないだろうか。AIと追いかけっこして、人間が疲れていくのはなんだか変だ。理想は、AIに全ての労働をやってもらって人間が仕事から解放され、のんびり暮らすこと……なのかもしれないなあ。


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