世界フィギュアで日本勢は表彰台を独占できるか 坂本花織は絶対優位、千葉百音、吉田陽菜も可能性は十分

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2024年03月18日 17:40  webスポルティーバ

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世界フィギュア2024プレビュー・女子シングル編(全2回)

【坂本花織の3連覇が濃厚】

 カナダ・モントリオールで開幕するフィギュアスケートの世界選手権。3月20日にショートプログラム(SP)、22日にフリーが行なわれる女子シングルは、グランプリ(GP)ファイナルで圧勝した坂本花織(シスメックス)が大会3連覇を濃厚にしている。

 シーズン前から「全日本選手権と世界選手権3連覇が目標」と公言していた坂本は今季、プログラムを変更して新しい世界観の表現を目指しながら、充実のシーズンを送っている。国内2戦とチャレンジャーシリーズ1戦を経て臨んだGPシリーズ初戦のスケートカナダはSP、フリーともノーミスの226.13点で優勝。いい滑り出しを見せた。

 体調不良もあったが、着実に結果を出し続け、自分のジャンプや演技への信頼を高めている。昨年12月の全日本選手権で3連覇達成後も、今年1月には国体に出場して優勝。2月はチャレンジカップで優勝と、試合を重ねてプログラムを磨き上げていく彼女らしい取り組みを続けている。

 精神的に昨季より充実した状態で臨めるだけに、2022年北京五輪や世界選手権と同じく230点台に乗せられる可能性は高い。現時点で、その得点に迫れる選手は他にいないと思われる。

【可能性を秘めるイ・ヘイン】

 ただ、ミスが出て220点台の優勝争いになると勝負はもつれるかもしれない。シーズン前には坂本の強力な対抗馬になると予想されていたのがイ・ヘイン(韓国)。昨季の世界選手権2位で、世界国別対抗戦では自己最高の225.47点を出している。今季のGPシリーズは、2試合とも4位でGPファイナルには進出できなかった。

 イは昨季のGPシリーズでは2試合とも4位ながら、四大陸選手権で優勝して勢いをつけ、世界選手権は2位まで駆け上がっている。だが、今季は四大陸選手権でも勢いは戻せず、SPは3回転ジャンプ2本を失敗して出遅れ、フリーでも巻き返せないままだった。それでも、持ち味のスケーティングは伸びがあって安定しているだけに、一気に復調する可能性は秘めていて侮れない。

 さらに、世界選手権では2大会連続でメダルを獲得中のルナ・ヘンドリックス(ベルギー)がいる。GPシリーズ初戦のスケートアメリカでは、自己最高の221.28点を出して優勝と、いいシーズンインだった。

 その後の中国杯とGPファイナルではジャンプのミスが出て、ともに表彰台に上がったものの200点台の得点にとどまっている。今年1月のヨーロッパ選手権は213.25点で優勝していて、世界選手権でどこまで調子を上げてくるか。

【日本勢の表彰台独占は?】

 イとヘンドリックスが実力を出しきれないような状況なら、坂本に続く表彰台争いはし烈になりそうだ。そこで浮上してくるのが、四大陸選手権を自己最高の214.98点で初制覇した千葉百音(木下アカデミー)だ。

 千葉は、今シーズン序盤は低迷した。しかし、運動誘発性喘息を治療したことで、全日本選手権から一気に結果を出し始めた。ジュニアの頃から伸びのある滑りに定評はあったが、シニア初シーズンにもかかわらず、四大陸選手権のフリーの演技構成点では全体のトップスコアを出すほどジャッジの評価は高い。体調さえ整えば、210点台をコンスタントに出せる実力はある。

 また、GPファイナルは203.16点で3位になった吉田陽菜(木下アカデミー)も飛躍の可能性がある。昨季の世界選手権で4位になったイザボー・レヴィト(アメリカ)は、自己最高得点が215.74点と力はあるが、今季はジャンプが安定せず勢いを失っている。

 昨季の四大陸選手権では1位、2位、4位となり、世界選手権でも2位と6位に入っていた韓国勢は今季、イの不調に影響されたのか、全体的に伸び悩んでいる状況。四大陸選手権は、昨年の世界選手権6位のキム・チェヨンが204.68点で健闘したが、まだ細かいミスもある。

 坂本が絶対優位の状況で、ライバルたちの状態も不透明な今回の世界選手権。日本勢が何人表彰台に上がれるかも注目にひとつになりそうだ。

男子シングル編<世界フィギュアの男子展望 宇野昌磨、鍵山優真はマニリン「一強時代」の到来を阻止できるか>を読む

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