現在69歳です。60代前半で年金の手続きをしましたが、老齢厚生年金が全額支給停止に。繰下げ受給したことになる?

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2024年03月20日 20:31  All About

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年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、年金が全額支給停止になっていた場合について、専門家が回答します。
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。

そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、年金が全額支給停止になっていた場合についてです。

Q:年金の手続きは60代前半で行いましたが、全額支給停止に。この場合は繰下げ受給になるのでしょうか?

「現在69歳の男性です。年金の手続きを60代前半で行いましたが、働いていたので、年金は全額支給停止に。この場合は繰下げ受給の扱いになるのでしょうか?」(匿名希望)

A:60代前半でもらえる「特別支給の老齢厚生年金」が、「在職老齢年金」の仕組みにより、全額支給停止になってしまったということです。繰下げ受給したということにはなりません

相談者は69歳とのこと。昭和29年(1954年)生まれの男性であれば61歳から、「特別支給の老齢厚生年金」をもらえる世代です。ところが、60代前半で会社員として厚生年金に加入しながら働いている場合は、「在職老齢年金」制度によって、年金が一部または全額支給停止される可能性があります。

「在職老齢年金」制度とは、毎月の給与収入等(月収など・賞与等の12分の1)と老齢厚生年金の基本月額(年額の老齢厚生年金の12分の1)を足した金額が基準額(50万円・令和6年度)を超えると、老齢厚生年金が一部または全額支給停止になってしまうものです。令和4年3月まではこの基準額が28万円でしたので、65歳前の「特別支給の老齢厚生年金」が「在職老齢年金」の対象となり、全額支給停止になったのでしょう。

相談者のように、「在職老齢年金」制度により、全額支給停止になっていた年金は残念ながら、後から受給することはできません。そもそも、60代前半で支給される「特別支給の老齢厚生年金」は、繰下げ受給することができないのです。

働いていた人は65歳以降に、老齢基礎年金と本来支給の老齢厚生年金が支給されます。65歳以降に厚生年金に加入して会社員で働く場合、どんなに年収等が高くても、老齢基礎年金は全額支給されます。

一方で老齢厚生年金は、「在職老齢年金」制度によって60代前半の「特別支給の老齢厚生年金」同様に、支給停止になることがあります。支給停止された老齢厚生年金については、「特別支給の老齢厚生年金」同様に、繰下げ増額の対象となりません。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
(文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士))

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