新興スマホメーカー、米Orbicが日本でスマホ製造へ 2024年は“イエデンワ”風電話機から“ガラスマ”、5G対応電動自転車まで盛りだくさん

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2024年03月22日 06:11  ITmedia Mobile

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Japan Orbicのトップ、ダニー・アダモポウロス社長。説明会はMWCの同社ブースで、一般の来場者も見られるオープンな形で開催された

 2023年6月に日本市場への参入を表明した新興スマートフォンメーカーの米Orbic(オルビック)は、発売を予告していた4Gスマートフォン「Orbic FUN+ 4G」の発売が遅れるなど、順風満帆なスタートとはならなかった。しかし、参入から2年目を迎える2024年は、大きなチャレンジを計画しているようだ。


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 2024年2月26日〜29日にスペインのバルセロナで開催された世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2024」では、日本法人Japan Orbicのダニー・アダモポウロス社長が登壇し、Orbicのこれまでの実績と今後の展開を説明した。


●日本でスマートフォン製造をスタート


 2024年の取り組みを説明する中で明らかになったのが、同社スマホの製造拠点に日本が加わることだ。製造を行うのは兵庫県加東市にある「Japan E.M. Solutions」(以下、JEMS)という拠点で、もともとは富士通の工場としてスタートし、2023年までFCNT製のスマホも製造していた。まずは今夏から米国向け製品の製造を始めるという。


 日本で製造することを提言したのは、Japan Orbicの島田日登美氏(ビジネス・ディベロップメント・マネージャー)だ。「日本で物づくりをしたいという気持ちはずっとあり、Orbicが新しい製造拠点を探している時期と重なった。円安ということもあり、価格競争力の面でも問題はなかった」という。


 島田氏は「まずは米国で日本製の品質を評価していただいて、その後、日本国内に出荷する製品も製造したい」と話す。


●日本市場には新たに“スマートフィーチャーフォン”を投入


 続いて、2024年に日本で発売する新製品として「JOURNEY Pro 4G」が発表された。KaiOS(LinuxベースのOS)を採用した4Gフィーチャーフォンで、「Google マップ」「YouTube」「Gmail」などのアプリをプリインストールしている。アダモポウロス社長は、この製品を「スマートフィーチャーフォン」と呼ぶ。日本風には「ガラホ」「ガラスマ」と言ったところだろう。具体的な発売時期や価格は未定だ。


 現地ではJOURNEY Pro 4Gの試作品が展示されていた。折りたたみ式で、閉じた状態では1.77型のサブディスプレイで時刻や通知が見られる。開くと3.2型のディスプレイが現れ、物理式ダイヤルキーパッドで操作できる。1850mAhのバッテリーを搭載し、Wi-FiやBluetooth、microSDメモリーカードにも対応している。


 島田氏によると、メインタートゲットは「通話がメインの人」だが、スマホではなく、あえてシンプルなケータイを使いたいと考える人も狙っているという。


 「米国では、通話とメールしかできない “dumb phone” を使う人が増えている。実際にJOURNEYの前モデルも米国ではよく売れた。日本でも同じような需要があると考えている」(島田氏)


●“イエデンワ”風? 受話器を取り付けられる5Gデバイス


 グローバルでは「OFFICE 5G」という製品を投入予定だ。10.1型の大型ディスプレイと昔ながらの受話器を組み合わせて使う固定電話スタイルだが、ケーブルレスで使用できる。日本で2012年に「イエデンワ」という固定電話スタイルのケータイが発売されたのを思い出す。


 ディスプレイはAndroidタブレットと同じように操作できる。1200万画素のフロントカメラを搭載し、ビデオ通話にも対応している。通話中にマルチタスクでアプリからドキュメントを共有するといった使い方もできるという。


 拡張性もある。受話器の代わりにクレジットカードの読み取り機を取り付けて、POS端末として利用するような用途も考えられる。なお、日本での発売は未定だ。


●世界初の5G対応の電動バイクも発表


 今回のMWCで、新たに発表されたのが、5Gに対応した電動自転車「eBIKE 5G」だ。eBIKE 5Gは3つのカメラを搭載しており、後方に搭載されたカメラで背後から近づく車両などの警告やAIによる衝突回避など、物体検出を活用した数々の機能を搭載している。ハンドル部分に取り付けられたディスプレイはデジタルミラーにようにも使える。


 前方には外向きとライダー向きにカメラを搭載している。外向きのカメラで撮った映像を5Gでライブストリーミングができ、自分向きのカメラは停車時にビデオ通話ができる。GPSを搭載しているので、走行中の位置情報などをディスプレイに表示することもできる。万が一、盗まれた場合は位置情報をもとに追跡することもできるという。


  eBIKE 5Gは2024年の第3四半期に米国で発売予定で、アダモポウロス氏は「日本でも発売したい」と意欲を見せる。最高速度などの安全仕様は、販売される国の法令にあわせた仕様にカスタマイズされるという。


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