“海賊”が高校サッカーを席巻!強豪校へと変貌を遂げた近江高校の監督が大事にしていること

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2024年03月24日 08:11  TVerプラス

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3月23日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25〜)は、近江高校サッカー部監督の前田高孝がゲスト出演し、MCの勝村政信や解説の北澤豪らに自身のサッカー哲学を語った。

2023年度の全国高校サッカー選手権大会で準優勝を果たした滋賀県の近江高校サッカー部。無名だった同校を3度目の出場で決勝の舞台に導いた前田は「日本一というものを遠く感じたような、近いような。なんとも言えない距離感のものだというのは改めて思いました」と振り返った。

近江高校のサッカーはショートパスをつなぎながら、一気にゴールへと襲いかかる攻撃的なスタイルで、選手権では持ち味を活かしながら、強豪校を次々と撃破。近江旋風を巻き起こした。現在は3年生が引退して、新たなチームづくりがはじまったばかり。前田は「球への執着を持ちながら、攻守においてやるというのがベースにあるんですけど、その中で新チームの色も出したいと思っています」と展望を明かした。

もともと滋賀県の出身の前田は、滋賀県立草津東高校を卒業後、清水エスパルスに入団。2年後には退団し、シンガポールやドイツ5部でのプレーを経て、22歳のときに怪我の影響もあって現役を引退している。再就職を目指して関西学院大学に進学すると、今度はバックパッカーとして、アジアや南米を中心に30か国を放浪した。

そして、この頃から指導者としての活動もスタートする。2012年には関西学院大学サッカー部のコーチに、大学卒業後の2013年にはヘッドコーチに就任。また、学生時代には、ホームレスW杯に出場するサッカー日本代表のコーチも経験した。ホームレスW杯とは、路上生活者によるストリートサッカーの世界大会で、前田はイタリアの大会で日本代表を指揮している。

そんな異色の経歴を持つ前田が、近江高校サッカー部の監督に就任したのは2015年のこと。しかし、当初は部員が4名しかおらず、就任した1年目は部員集めに奔走することになる。全国を巡って、「これは!」と思う中学生をスカウト。次の年には70名の新入部員が入り、前田の指導のもと、2017年に夏のインターハイ出場を果たすなど、高校サッカー界で無名だった近江高校は、わずかな期間で強豪校へと変貌を遂げる。

その裏には、前田の掲げた「Be Pirates(海賊になれ!)」というスローガンの存在があった。近江高校の攻撃的なサッカーの源泉にもなっているこのスローガンには、「どんな相手にも海賊のように立ち向かう、勇敢でたくましい人になってほしい」という前田の願いが込められていた。北澤はドレッドヘアーだった前田のバックパッカー時代を引き合いに出し、スローガンの“海賊”と絡めながら、「あのドレッドは完全にジャック・スパロウですね」と指摘した。

前田は自身も海賊のように選手たちを厳しく指導し、練習ではピッチ脇からゲキを飛ばすことも多いが、プレーはあくまで選手自身に考えさせることを徹底。前田が「ボールが来る前から勝負をつけておかないといけない」と主張する通り、ボールを受ける前の動きは選手自ら答えを出させるようにしているという。選手の自主性を重んじ、それぞれが考えて動く近江高校のスタイルに、北澤は「サッカー自体はある意味ぐちゃぐちゃですよ。いい意味で」と評し、前田も「こう動けとか、こうしろっていうことは一切言わないんです。それを言っちゃうとロボットになっちゃうんで」と強調した。

選手たちもレベルアップを肌で感じているようで、選手権にも出場したGKの2年生は「小さい頃から選手権っていうのが憧れであって、中学時代は正直、近江高校の名前も全然知らなくて。ここに来たのは自分的には結構賭けだったんですけど、その賭けが大成功した感じです」と話し、「海賊のように今年も全国の舞台で暴れられたらって思っています」と意気込んだ。

厳しい練習の中でも、平日週4回のトレーニングは毎回メニューを変更するのが前田流。人数やボールタッチの制限など、チームの仕上がり状態によって内容を変えることで、刺激を与え、試合でも最適なプレーを引き出せる選手に育て上げていた。また、部員は分析係や用具係、審判などの中から、いずれかの役職に就くことになっており、サッカーに関係する様々な役割を学ぶことで、選手としてだけでなく、人としての幅も広げている。

さらに、経営者など各分野のプロフェッショナルを学校に呼んで、講演をしてもらう取り組みも実施。高校サッカーだけに留まらない、将来を見据えた指導が近江高校サッカー部の特徴の一つだった。前田の根底には「カッコよく生きろ!」という思いがあり、選手権でも「負けるなら負けるで、去り際は派手に行こうや」と、選手たちに伝えていたことを告白。前田は「美意識の問題ですよね。何がカッコよくて、なにがダサいか、みたいなことはよく話します」と明かした。

プロを経験し、挫折し、様々な経験をしてきたからこそ、選手たちに伝えられる生き方がある。勝村は「サッカーしかやってこなかったじゃもう通用しないじゃないですか」と、選手の人間力を上げることが世界における指導の主流になっているとし、「先生のやっていることは、本当にすごいことだと思いますよ」と前田の指導法を絶賛した。

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