『ドラゴンボール』サウジアラビアにテーマパーク誕生の衝撃 日本のIP戦略は国内に目を向けるべきなのか?

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2024年03月25日 07:10  リアルサウンド

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■『ドラゴンボール』のテーマパーク誕生の衝撃


  サウジアラビアに『ドラゴンボール』のテーマパークが誕生すると発表された。言うまでもなく『ドラゴンボール』の世界初のテーマパークとなり、作中に登場するカメハウスやカプセルコーポレーションなどの建築が再現され、中央にはシンボルとして全高約70mの“神龍”が置かれるのだという。


(参考:【写真】鳥山明が描き下ろした悟空、クリリンや、ミスターサタン、チチなど新作主要キャラ


  このニュースが報じられた途端、ネットは大盛り上がりになった。「行ってみたい」「夢がある」という肯定的な声が圧倒的に多かったが、一部のファンの間からは「なぜ日本にできないのか…」という落胆の声が上がった。「日本はもうテーマパークを建設する余力がないのかもしれない」という分析も見られた。


   余力がないというのは間違いである。日本ではカジノを建設しようという動きがあるのだから、結局のところ、予算はどうにでもなるのである。だが、筆者はカジノを造ったところで他国の真似事に過ぎないし、それほどヒットしないのではないかと考える。昨今の日本の政治家や財界人は失敗を恐れる傾向にあり、オリジナリティのあるものを造ろうという発想に至らない。そういう人たちがひねり出したアイディアが、他国で成功例があり、わかりやすいカジノなのだろうと思った。


  もし、日本に『ドラゴンボール』のテーマパークができたら、富裕層の娯楽であるカジノとは異なり、子どもも大人も世代を超えて誰もが心から楽しめる施設になるだろう。日本のコンテンツのパワーを最大限に発揮できる施設になり、世界中から観光客を呼ぶことができそうだ。「東京ディズニーリゾート」に比肩する集客力をもつ、テーマパークになり得る可能性を秘めている。周辺の施設への経済効果も計り知れないものになるに違いない。


■日本人が日本の文化をしっかり評価すべき


  昨年、大手古書店「まんだらけ」の古川益蔵会長にインタビューを行った。ここ数年で、鳥山の原画や色紙が数百万円で取引されているほど高騰しているが、古川会長はその要因を「鳥山明のファンは世界中に満遍なくいる」ためだと語っていた。海外の富裕層の間でも鳥山の人気は非常に高いという証拠である。古川会長は「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士として出演していた頃から一貫して、日本の漫画は世界に誇れると主張を続けているのだが、耳を傾けた人はどれだけいただろうか。


  日本の政治家や財界人は、日本のコンテンツは凄い、クールジャパンだなどと言い出している。その割には、日本の漫画の人気の高さをまったくと言っていいほど理解していないようだ。実際、今回の『ドラゴンボール』のテーマパークが発表されるまで、同様のアイディアをこれまで口にした政治家や財界人は誰もいなかった。ひょっとすると、ファンの間にもほとんどいなかったかもしれない。


  外国に評価されて、ようやく日本人が日本のコンテンツの魅力に気づく――。これは明治時代の頃から繰り返されてきた日本の伝統のようなものだが、同じ場面が令和の世でも再現されているようである。筆者は、鳥山明は浮世絵師の葛飾北斎などと並ぶか、それ以上の日本芸術史上最高のクリエイターだと思っている。しかし、その業績に対する評価はまだまだ低いと感じることが多い。日本はいつになったら、自国の文化を正当に評価できるようになるのだろうか。


(文=キットゥン希美)


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  • 日本だと大阪のテーマパークの1アトラクションで終わるから、海外展開なんだろうなと思ったニュース_φ(・_・
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