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つい先日、筆者の姉が使っていた「iPhone 13 mini」が突如故障してしまいました。「朝起きたら、黒い画面のままうんともすんともいわなくなった」そうで、充電しても治らず、右側にあるサイドボタンと音量下ボタン長押しによる強制再起動を試みても効果がありません。いわゆる文鎮状態というものです。
まさにお手上げ状態ということで、すぐにApple StoreのGenius Barを予約して診断してもらったところ、基板がダメになっており、要修理とのこと。
実は姉のiPhone 13 miniは過去にディスプレイの自然故障も起こしており、ちょうど修理してから3カ月を過ぎたばかり。修理後90日以内の保証も受けられず、当然AppleCare+も未加入なので、修理費用の見積もりは満額の5万9400円となりました。
なお、端末価格の高騰に伴い、「iPhone 14/15」の修理費用は8万7800円、「iPhone 15 Pro」の場合はなんと11万4800円(!)もします。
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修理してもデータは戻らないだろうとのことだったので、データの復旧は諦めるのはともかくとして、故障で6万円近くの出費は非常に痛いものです。そこで今回は、通信キャリアなどのキャンペーンなどを駆使して、どうにか高額の出費を回避したエピソードを紹介します。
同様のキャンペーンが各通信キャリアなどで常に行われているわけではなく、適用できる条件なども変動している可能性があります。あくまで経験談としてご覧ください。
●NTTドコモ「いつでもカエドキプログラム」の故障利用で早期返却する
姉のiPhone 13 miniはNTTドコモの「いつでもカエドキプログラム」で1円×23カ月の分割を組んでいました。契約してから2年後にスマホ本体をNTTドコモに返却することで、以降に請求される残価を払わなくて済む、いわゆる“1円レンタル”で借りていた端末です。ただし、これは本体に不具合が発生していない状態での話。
1円レンタルで借りているスマホが「画面割れ、本体破損、バッテリー劣化、故障、SIMトレイ欠品、『iPhoneを探す』がオンのまま」といった不具合がある状態で返却する必要がある場合、「故障時利用料」を支払うことで、いつでもカエドキプログラムによる返却を成立させることができます。これによって残価の支払いを免れることができます。
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この故障時利用料の設定は「1円レンタル施策のワナである」といわれてしまうこともありますが、今回はあえてこれを利用することで、故障時利用料の2万2000円でiPhone 13 miniをNTTドコモに返却することにしました。
修理費用や保険、補償は端末価格に比例するのに対して、返却プログラムの故障時利用料が端末価格に比例していないのを利用した小技です。
手続きは筆者が持っていたサブ端末で行いました。姉のSIMに差し替え、回線認証を済ませてドコモオンライン手続きに進み、いつでもカエドキプログラムの利用を申請します。
その後、1週間程度で送付パックが本人限定受取郵便で届き、梱包材に故障したiPhone 13 miniを入れて送り返しました。これにて故障したiPhoneの処理は完了です。
※現行のいつでもカエドキプログラム+はdocomoの端末補償であるsmartあんしん補償への加入が必須となっているため、そもそもこの小技を利用する必要がないようになっています。
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●MNPで最新のiPhone 15を確保する
さて、次は新たな端末を入手する必要があります。故障が判明したときにそのままApple Storeで購入することも検討しましたが、最新のiPhone15は12万4800円からと高額です。これでは修理よりも手痛い出費になります。
そこで選んだのは、最新のiPhone 15のいわゆる“レンタル”施策です。2024年に入り、ソフトバンクで新トクするサポート(バリュー)を用いた1円“レンタル”施策が実施されており、今使っているNTTドコモ回線からMNPをして利用することにしました。
オンラインでahamoのMNP予約番号を発行し、すぐさまソフトバンクオンラインショップでMNPの手続きに入ります。火曜日深夜に手続きをし、木曜日午前中には手元にiPhoneが届くスピード感で、新しい端末を調達できました。Amazon.co.jpで注文していたケースとフィルムとほぼ同着です。
通信回線はもともとahamoを利用していましたが、ソフトバンクにMNPしてからすぐにLINEMOの「20GBプラン+5分通話無料オプション」に切り替えることで、ほぼ出費無しで同じ契約状態に移行できました。
もともとNTTドコモの通信品質に不満があったので、ちょうどよい乗り換えの機会になりました。
当初の予定は「6万円の修理費用を出してiPhone 13 miniを使い続け、2年契約が終了する10カ月後に返却する」はずだったのに対し、うまく工夫することで「2万2000円の故障時利用料で故障したiPhoneを早期返却し、最新のiPhone 15を12カ月後に返却する」ことになりました。切り替え月に二重請求が発生しますが、月額通信料もほぼ変わらずです。
●モバイルPASMOとeSIMの移行に苦戦
代替機と新しい回線を入手し、最後にデータ移行ができれば完了です。もちろんバックアップをとっていなかったため、一つ一つのアプリをインストールしてなんとかデータ移行を済ませました。
なお、バックアップをとっていない場合は写真などクラウドに保存していないデータはどうしようもありません。
データ移行で一番困ったのがモバイルPASMOです。通常、交通系ICは複数端末で共存できないため、旧端末で削除してから新端末に移行させる必要があります。今回のように旧端末が完全に故障した場合は直接削除できません。
この問題はAppleに依頼することで解決します。ただし、定期券機能は即時移行可能なものの、残高の移行には1日かかりました。
※iCloudを利用したPASMOの移行方法は、PASMOのサポートページで確認できます。
もう1点困ったのがeSIMの移行です。物理SIMは差し替えるだけでいいものの、eSIMはそうはいきません。iPhone同士の場合、eSIMのクイック転送機能によりキャリアでの手続き無しでeSIMの移行が可能ですが、モバイルPASMO同様に完全に故障した場合は利用不可です。
よって、届いた端末にpovoアプリを入れ、本人確認後にeSIMの再発行をすることで翌日にようやくeSIMが再度ダンロードできるようになりました。
私の姉の場合、SMS認証に全てpovoの電話番号を利用していたため、LINEもスマホ決済アプリもログインできず、1日ほぼ行動不可能な時間が生まれてしまい、完全に復旧したのは故障してから3日後となりました。
●スマホ故障のリスクに備えてやるべきことは
スマホの故障はいつ、誰にでも起こりうるリスクです。スマホに全てを集約している分、スマホ使えなくなったときは連絡が取れないだけでなく定期券が使えない、スマホ決済ができないなどかなり不便を被ります。
スマホでいちばん重要なのはハードではなくその中のデータです。日常的にバックアップを取る習慣は身につけるべきでしょう。必要であればiCloudやGoogle Cloudなどを契約することも検討すべきです。前者は200GBで月400円、後者は100GBで月250円と、保険よりは安く、Amazonプライム会員ならAmazon Photosが無制限でバックアップに利用可能です。
また、スマホ向けの保険も有効です。AppleCare+の場合は月額580円〜1740円、NTTドコモのsmartあんしん保証の場合は月額330円〜1100円に加えて、利用時の免責金額がそれぞれ平均1万円かかります。2年間使うと、おおよそ3万円以上かかるため個人的にはナシと判断していましたが、端末の高額化に伴う修理費用の高騰や、トータルサポートを受けられることを踏まえると検討の余地はあります。
負担を軽減したい場合はクレジットカードやMVNO回線付帯の端末保証なども検討してもいいかもしれません。
データを分散化させるのも有効です。例えば、バックアップ用にサブ端末を持つ、CellularモデルのiPadを持つといった対策も有効ですし、モバイルPASMOはApple Watchに入れておけばiPhone故障時にも利用可能でした。
複数の端末を使う人は自然とデータ保管にクラウドを利用するようになり、突然の故障でもダメージが軽減されるはずです。
今回はキャリアの返却プログラムを利用した小技を紹介しましたが、こういった普段から突然の故障に備えた対策も必要なのだと、強く感じました。
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