Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる

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2024年03月27日 12:41  ITmedia PC USER

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ITmedia PC USER

試用した「BeeStation」(BST150-4T)

 皆さんはクラウドストレージを活用しているだろうか。一昔前まではPCで作成したデータに複数のデバイスからアクセスしたい場合、NASやファイルサーバなどを自宅やオフィスに設置し、そこに保存するといった手法が定番だった。


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 しかし、最近は各社が競ってクラウドストレージサービスを提供するようになった。手元のPCとクラウドストレージを同期させておけば、NASやファイルサーバなどを介さずともデータを簡単に共有ができる。非常に便利で手放せないサービスだ。


 ただ、このクラウドストレージサービスには1つデメリットがある。それは、多くがサブスクリプション契約(月払いまたは年払い)を前提としているところだ。


 クラウド上のストレージを使わせてもらうという仕組みの性質上、サブスクリプション契約が必要なのは仕方ないことだ──そう納得はしているのだが、可能であれば買い切り型で利用したい、という本音もある。


 そんな中、NAS製品で定評のあるSynologyが2月1日にパーソナルクラウドストレージをうたう新製品「BeeStation」を発売した。なんとこれ、まさにサブスクリプション契約が不要な買い切り型のクラウドストレージを実現できるという。


 今回はBeeStationの実機を用いて、本当にパーソナルクラウドストレージを簡単に構築できるのか、利便性はどうかをチェックしてみた。


●BeeStationの主なスペックをチェック


 BeeStationは記事執筆時点で「BST150-4T」という4TBストレージの1モデル展開となっている。


 搭載しているHDDは4TBが1台のみだ。RAIDの利用を想定しているNASと違って、ディスク障害が起きるとデータが失われてしまう点には注意が必要だ。


 しかし、BeeStationにはUSB 3.2 Gen1ポートが搭載されており、外付けHDDを接続すればBeeStation上のデータをバックアップすることも可能だ。BeeStation本体の故障に備えて、バックアップ用の外付けHDD(4TB)を一緒に購入すると良いだろう。


 さらにPCとのファイル同期だけでなく、スマートフォン用のアプリ「BeeFiles」を使えばスマホからBeeStation内のデータにアクセスしたり、写真管理用アプリである「BeePhotos」で写真管理もできたりするため、パーソナルクラウドストレージとしては必要な機能を十分に備えている。


●ネットワークに関する知識は不要、電源とLANケーブルをつなぐだけ


 個人向けクラウドストレージのようなシステムは、OSS(オープンソースソフトウェア)を利用して構築することもできる。しかし、Linuxやネットワークに関するエンジニア的な知識が必要で、あまりPCに詳しくない人にとってはあまりにハードルの高いものだ。


 しかしBeeStationはそんな専門知識も必要なく、非常に簡単にセットアップできるのが大きな特徴だ、


 PCを使ってBeeStationをセットアップする場合、アプリ「BeeStation for Desktop」をダウンロードして、Synologアカウントを使ってセットアップしていくことになる。その中でケーブルをどうつなげばいいかなど、全てが分かりやすいアニメーションが表示されるので、画面の指示に従うだけで済む。


 最後にBeeStationのシリアル番号を入力して、「マイBeeStationを検索」から、購入したBeeStationを自動で探してもらうだけだ。PCに詳しくない人でも分かりやすいように、セットアップ時のUI/UXが徹底的に作り込まれていると感じる。


●データを置くのではなく、“同期”する


 BeeStationは、Synologyが発売しているNAS製品と比べて大きな違いがある。それはデータ保存方法だ。NASはあくまでデータを保存する場所(HDD)をネットワーク経由で提供するものなので、ファイルをのコピーが要るし、データ同期するのであれば別途アプリやスクリプトを用意しなければならない。


 それに比べてBeeStationは、PC上にあるデータとBeeStationを同期(コピー)する形を採用している。あらかじめBeeStation for Desktopで指定したフォルダの中にデータが作成されると、BeeStation側にも自動的に同期される。


 また、データを編集したり保存したりすると、データを作成したときと同じく同期が取られて、BeeStation内に同じファイルが出来上がる。


 試しにBeeStation for Desktopで作成された「BeeStation」フォルダ内にデータを保存してみると、状態欄にリサイクルマークのようなアイコンが表示される。これは、保存されたデータをBeeStationに同期中であることを意味している。


 BeeStation for Desktopを開いてみると、先ほど「BeeStation」フォルダ内に作成されたデータがBeeStation上にアップロードされている。


 この動作が終わらなければデータがBeeStation上に同期されないため、例えば外出前などに同期を開始し、この同期が終了する前にPCをシャットダウンするとデータは手元のPCに残ったままとなるので注意が必要だ。


●外出先でも自分のデータにアクセス可能


 今回、自宅のある埼玉から大阪に移動する機会があったため、埼玉の自宅でBeeStationにデータを同期した上で、大阪に移動、大阪で利用している検証環境にBeeStation for Desktopをインストールして自宅で作業していたデータにアクセスできるか試してみた。


 大阪のeo光回線(eo光 10Gbps)からでも、埼玉の自宅(ドコモ光 1Gbps)にあるBeeStation上に同期したデータ一覧が表示されていることが分かる。状態欄を見てみると、雲のアイコンが表示されているが、これは同期先のBeeStation上にデータはあるが、手元のPCには同期(ダウンロード)されていない状態を示している。


 BeeStation上にあるデータを大阪からダウンロードしてみたが、平均して200Mbps程度の速度でダウンロードされたため、BeeStation上のHDDから読み込んだデータをインターネット経由で同期していることを考えると、十分な速度であることが分かる。


 BeeStationのすごいところは、ネットワーク機器などに特別な設定をしていないにもかかわらず、インターネット経由でデータの同期ができるのは驚きだ。しかも十分実用的な速度が出る。


 自宅にある機器に保存しているデータを、インターネット経由で安全に同期するには思っている以上に専門的な知識や、機器の準備が必要となるが、ここまで簡単にできてしまうと、自分だけのクラウドストレージを構築するのにBeeStationは非常に強力で魅力的な製品だと評価できる。


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