ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現

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2024年03月28日 12:51  ITmedia PC USER

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中国Aqaraの「スマート人感センサーFP2」

 スマートホーム製品はだいぶ普及してきたが、すると今度は日常のタスクを自動化したくなってくる。「時間になったら照明を点ける」「外出したらロボット掃除機を動かす」など、実現すれば便利な場面は多いだろう。


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 そんな自動化を手軽に行える方法の1つとして人感センサーがある。玄関やトイレなどで人感センサー付きのLED電球を使っている人もいるだろう。高度なスマートホームと言わないまでも、生活が便利になるのは確かだ。


 ただ、人感センサーの多くは赤外線を使っており、センサーの範囲に人がいる、いないということしか検知できないものがほとんどだ。夜間照明として足元に設置した場合、ペットやロボット掃除機に反応してしまうということもある。


 こうした問題を解決した「スマート人感センサーFP2」を、スマートホーム向けのIoT機器を手掛ける中国Aqaraが国内で発売した。価格は1万2980円(税込み)だ。今回はメーカーから借用した製品を使って、実際に何ができるのか紹介しよう。


●Aqaraとは?


 Aqaraというメーカーは国内ではあまりなじみがない。しかし、グローバルではそれなりに名の知れたメーカーとなっている。IoT関連のニュースに注目しているなら、2024年のCESで発表された「Aqara Hub M3」(Matter対応)の話題を目にした人もいるはずだ。


 同社は30以上のカテゴリーで1100以上のスマートデバイスを販売しており、日本では2024年2月からAmazon.co.jpを通じて一部製品の公式直販を開始している。


 いずれもHomeKit対応のデバイスを数多く手掛けており、英国やオーストラリアなど16カ国ではApple Storeでも購入可能となっているという。


●ミリ波レーダーを使う人感センサー


 スマート人感センサーFP2(以下、FP2)は、名前の通り、人を検知するセンサーだ。似たような製品は山のようにあるのだが、FP2は日本市場では初めてミリ波レーダーを使用しているのが特徴になっている。


 これにより、1台だけで最大40m2の部屋を監視し、最大5人を同時に検知できるとしている(ただし、最大3人までが最良の結果が得られるという)。単に人を検知するだけでなく、転倒の検出や、(テスト版として)睡眠モニタリングも行える。


 本体サイズは約64(幅)×64(奥行き)×29.5(高さ)mmとコンパクトだ。底面がマグネットになっており、磁石が付く壁面であればそのまま取り付けられる。両面テープの付いた金属プレートが付属する他、そのまま壁にねじ止めも可能だ。石こうボード用にアンカーも付属している。


 2軸のヒンジにより若干の角度調整が可能となっている。基本的には壁面に垂直に取り付けるのが推奨されているが、高い位置にしか取り付けられない場合には若干下を向けるなどの微調整が可能だ。


 なお、ヒンジ部分にはAppleのHomeKit向けのQRコードが記載されている。QRコードを読み取れば簡単にセットアップが終了する。


 FP2は専用アプリの他、Google HomeやApple HomeKit、Amazon Alexaからも利用できる。Google Homeで利用する場合は手動登録が必要だ。この手の製品はネットワークや他社システムに接続するために専用のハブが必要なものも多いが、FP2はハブが不要で単独でも利用できる。


 なお、残念ながらFP2はMatterに対応はしてない。これはMatterが人感センサーを規格化していないためだ。今後、Matterに人感センサーのサポートが追加された際には、FP2もMatter対応をするという。


●動作は3つのモードから選択


 ここからは実際の動作を見ていこう。先にも書いたが、FP2には人物の検出の他、転倒検出と睡眠モニタリングという3つの機能がある。ただし、この3つを同時に利用できるわけではなく、一度に利用できるのは1機能のみ。アプリからインストールして、機能を切り替える必要がある。


 今回は、3つのうち「ゾーン検出」と「睡眠モニタリング」を試してみた。


ゾーン検出


 ゾーン検出は、FP2を使う上での基本的な機能だ。壁面に設置することで、最大40m2の範囲で検出が可能になる。


 また、設置後に検出エリアの設定(領域管理)を行うのだが、これによって検出可能な範囲内であっても、設定したエリア以外では検出しないということも可能だ。


 検出の通知はFP2の全エリアで行える他、エリア毎にも行える。例えば「バーカウンターに人はいるが、調理エリアにはいない」といったことを検知可能だ。なお、最大5人の動きを検出できるとのことだが、3人までの利用が推奨されている。


 このエリア毎の検出により、1台のセンサーだけで「リビングに人はいるがキッチンには誰もいないのでキッチンの照明を消す」「リビングのソファエリアには人がいるが、ダイニングテーブルには誰もいないのでこの部分だけ照明を消す」といったことを自動で行えるようになる。


 ただし、このエリア毎の検出を使って自動化できるのは専用アプリ「Aqara Home」からのみだ。FP2自体は、Google HomeやApple HomeKitなどで利用できるが、検出できるのはエリア全体のみで、人の有無しか判断できなかった。


●呼吸数も検知できる睡眠モニタリング


 睡眠モニタリングは、FP2をベッドのヘッドボードなど頭側の壁に設置して利用することで、ベッドで寝ている人の睡眠時間や眠りの深さ、心拍数や呼吸数などを計測できるというもの。スマートディスプレイのGoogle Nest Hub(第2世代)にも同様に「Soliレーダー」を利用した睡眠モニターがあるが、ほぼ同様の機能と考えて良さそうだ。


→・新型「Google Nest Hub」の睡眠モニター機能を1カ月使って分かったこと


 今のところテスト版としての提供として無料で利用できるが、将来的にはサブスクリプションとして有料化されるようだ。


 計測データはアプリから確認できる。睡眠時間の他、睡眠の深さや覚醒時間、心拍数なども確認できる。ここだけを見ると、よくあるヘルスケアアプリのようだ。


 なお、残念ながらこのデータをApple HealthやGoogle Fitなど、他のアプリとは連携できない。レポート内にある「画像生成」ボタンをタップすることで、画像としては保存できる。


 計測精度が気になるところだが、せっかくなのでPixel Watch 2とOura Ringの計測データと比較してみた。なお、断っておくが、どれが正確だということを言うつもりはない。あくまでも、FP2の計測データが、他のウェアラブル製品と比べて相対的にどうなのかということを確認するだけだ。


 こうして並べてみると、3つとも数値の差はあるものの、おおむね同じような傾向になっている。REM睡眠や浅い睡眠、深い睡眠の時間も似たような数値だ。睡眠中の平均心拍数は、Aqaraが「69bpm」、Pixel Watch 2(Fitbitアプリ)が「61bpm」、Ouraが「57bps」となっていた。これについてはAqaraが若干高めに出ているようだ。


 睡眠モニタリングならではとして、他の使い方もある。起床や就寝を自動化のトリガーとして使える。「眠りについたらエアコンを止める、照明を消す」「起きたらカーテンを開ける」といった用途が想定できる。


●転倒検知


 今回は試していないが、FP2は転倒検知機能も搭載している。天井に設置し、エリア内での転倒を検知するというものだ。当然ながら天井への設置が必須となる。設置だけなら問題ないが、USBでの電源供給も必要となるので導入のハードルは高い。


 ただ、一般向けに安価に購入できる転倒検知センサーは珍しいので、万が一に備えて離れて暮らす両親の家に設置するなどの用途には向いていそうだ。


●今後の製品展開に期待


 センサー1つだけで広い範囲をカバーできるFP2は、壁のない広いリビングなどでは便利だろう。切り替え式にはなるが睡眠モニターとしても利用できるのも面白い。


 ただ、Aqaraスマート人感センサーFP2のフル機能を利用するには、現状ではAqara Homeアプリを使用する必要がある。可能であれば、スマートホーム製品をAqara Homeアプリで操作できるAqaraブランドで統一するのがいいだろう。


 海外ではAqara製品は多数販売されており、Aqaraブランドのみで家中をスマートホーム化することも可能だ。ただし、冒頭で書いた通り日本ではまだ一部製品の販売が始まったばかりという状況で、Aqara製品だけでのスマートホーム化はまだ難しい。Aqaraの今後の日本でのラインアップ拡充に期待したいところだ。


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