「ハピプリ」10周年 名作映画「人形の国のバレリーナ」の挿入歌「勇気が生まれる場所」からのラストバトルをどうしても見てほしい

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2024年03月28日 18:08  ねとらぼ

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ねとらぼ

映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ(出典:Amazon.co.jp)

 みんな!!


【画像】「映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ」本編カット


 「主題歌とか挿入歌が流れて戦うアツいラストバトル」がある映画、大好きですよね!


 あるのですよ! とっておきのが!!


 「映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ」。わずか71分の間に凝縮された濃厚なプリキュアイズム、そしてプリキュア映画史、いやアニメ映画史に残るかもしれない「アツい挿入歌からのラストバトル」たくさんの人に知ってもらいたいのです。


●「ハピネスチャージプリキュア!」10周年


 2024年は「ハピネスチャージプリキュア!」10周年です。


 「ハピネスチャージプリキュア!」は、おそらく「大人のプリキュアファン」の間では、賛否両論を巻き起こし、当時のプリキュアファンが数多くの議論を重ねた作品だったと思います。


 データを見る限り子どもたちの人気は例年並みには高かったのですが、そんな子どもたちを差し置いて、自分を含めた「いい大人たち」は、神様ブルーの行いに、恋愛の描かれ方に、キャラクターの行動原理に、毎週のようにアツい議論を交わしていました。


 今思えばなかなかに今とは違う感じでの「ファンの熱量」の高かった時代だったのかな、とも思います。


●商業的に苦戦したのは事実


 「ハピネスチャージプリキュア!」は、当時大躍進中だった「アナと雪の女王」「妖怪ウォッチ」「アイカツ!」「プリパラ」などの新規コンテンツに押され、関連商品の売り上げ的に大苦戦していたことは事実です。


 この「映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ」も、興行収入的には、前年「映画ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス」に比べ55.8%にまで落ち込むなど大苦戦してしまいました。


 しかし、プリキュアファンが一つだけ口をそろえて言うことがあります。


 「映画のハピネスチャージプリキュアは、最高オブ最高」だと。「プリキュア映画で一番好き」というファンも多い、名作中の名作映画なのです。


 プリキュア映画って30作以上もあるので、「どれを見たらよいか分からない……」ってなる人も多いと思うのですけど、トップクラスでおすすめできる映画です。


 未見の方、あまりにももったいない。プリキュアを知らなくても開始早々のバトルで「誰がどんなキャラなのか」が分かる新設設計。初見でも大丈夫。


 「ハピネスチャージプリキュア!」10周年のこの機会にぜひ見てはいかがでしょうか。


●映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ


 本映画の監督は今千秋氏。プリキュア映画では初となる東映アニメーション以外の外部からの監督が起用されました。またキャラクターデザイン、作画監督も外部の大田和寛氏が務めるなど、テレビアニメ本編とはやや雰囲気が異なり、映画ならではの「特別感」を前面に押し出した作品となっています。脚本はテレビアニメ本編と同様に成田良美氏が務めています。


 この映画は、プリキュアの「ヒーロー的な側面」が強調され、ヒロイックで熱い映画となっています。家に「大切なぬいぐるみ」がある人、絶対に見た方が良いと思います。


●足が不自由な少女の物語


 ストーリーラインは「原因不明の足の病気で踊れなくなってしまった少女つむぎが、偽りの幸せの世界「人形の国」にプリキュアを招き入れる」といった成田氏お得意な重めのお話。


 「ハピネスチャージプリキュア!」は「幸せ」がテーマの作品でもあり、裏返しとしてこの映画では、つむぎちゃんに対して、悪役が残酷なまでな「不幸」を与えてきます。


 この映画の中盤、愛乃めぐみ(キュアラブリー)は大きな壁にあたります。


 軽率に「あなたを助ける」と言ってしまったキュアラブリー。しかし、プリキュアにはつむぎちゃんの足を治すことはできません。


 つむぎは言います。「何もできないくせに、助けるなんて簡単に言わないで」


 世界を救う活躍をみせるプリキュアでも、苦しんでいるたった一人の少女を救うことは出来ない。そんな現実を突きつけられたとき、プリキュアたちはどんな答えを出すのか?


 そこが本映画の根幹となっています。


●影のMVP、白雪ひめ


 この映画、キュアラブリーとつむぎちゃんを中心に物語が進むのですが、脇を固めるキャラの立ち方がとても良いのです。特に白雪ひめ(キュアプリンセス)がとても良い。テレビアニメ本編同様に、映画でも「恋愛」が描かれるのですが、こちらは「カラッとした明るい恋愛模様」となっています(テレビアニメ本編の恋愛はやや重たいのです)。


 ひめちゃんとイケメン王子、ジーク様との淡い恋愛模様は、本映画の見どころの一つです。暗くなりがちな物語を明るく引っ張るコメディーリリーフとして大活躍。それでいて絶望しかけたキュアラブリーに進むべき道を示してくれたりと、影のMVPは間違いなく白雪ひめちゃんだと思うのです。


●プリキュアだって怒るときは怒る


 あと、本作の敵キャラ「ブラックファング」が倒すべき純粋な悪役として描かれているのも僕の好きなところです。


 「敵にも悲しい事情があって〜」みたいなことは一切なし。もう普通に悪いヤツで極悪非道なことをやります。だからこそスカっと倒すことができるのです。


 その悪の所業にプリキュアたちがきちんと怒るのも良い。


 「もう怒ったんだから!」とガチギレするキュアラブリー。プリキュアだって怒るときは怒るのです。


 あの温厚なキュアハニーも怒ります。「世の中にはね、やっていいことと悪いことがあるの……」と大真面目に敵に説教してからの「人を不幸におとしいれて、それを食い物にするなんて、全くいただけないわ!」と食に絡める辺りのキュアハニー節も最高です。キュアハニーが怒るレベルの悪行、なかなかないのですよ。


●挿入歌からのラストバトルが見どころ


 この映画の最大の見どころは、挿入歌からのラストバトルです。これが「歌」と「演出」が相まって最高にカッコイイのです。


 ちなみに、この挿入歌「勇気が生まれる場所」は、プリキュア20周年のときに公式で開催された楽曲総選挙「胸アツ!勇気が湧いてくる曲」部門で1位を取るなど、いまだに多くのファンに愛されている名曲です。


(※ここから少しだけラストバトルの展開に触れます)


 ここしかない、という絶妙なタイミングで流れ出すイントロ。ミラクルライトを振るアナウンス。劇場で見ていたときは「プリキュアーがんばれー」の子どもたちの声と共に、曲が徐々に盛り上がっていく。


 AメロからBメロへ。思いを込めるキュアラブリー。片膝をつきながらラブリーを見上げるキュアプリンセス。立ち上がるハニーとフォーチュン。子どもたちの応援が、プリキュアをよみがえらせるのです。


 サビに入ると同時にキュアラブリーは「スーパーハピネスラブリー」にフォームチェンジ。翼が大きく描かれる圧倒的なスタイル! カッコイイ! このフォーム本当にすてきです。


 そして、挿入歌2番をバックに大ボスとのラストバトル。


 敵の主張を受け止め、いなし、真っ向から否定し、立ち向かう。待ってましたのプリキュア問答。


 これぞ「映画プリキュア!」というアツい展開。挿入歌はラスサビ。畳みかけるように歌う4人のプリキュア。愛をぶつける4人のプリキュア。


 「私は、私たちは、幸せをあきらめない!!」


 「歌の進行」と「物語」が完璧にシンクロした最高のラストバトルなのです。挿入歌からのバトルシーンは、なぜにこんなにも私たちを高揚させるのでしょうか。


 アツい挿入歌が流れたとき、プリキュアは絶対に負けないのです。


●「勇気が生まれる場所」


 この映画でも示唆されているように「プリキュアにだってできないことはある」のです。


 では、この映画でプリキュアは何をしたのか?


 自身の弱さを乗り越え、他人に寄り添い、その幸せを守るために戦う。


 できないこともある。でも、寄り添うことはできる。友達を思うことはできる。


 つむぎちゃんに寄り添い、立ち向かっていく姿がつむぎちゃんに「勇気」を与えたのです。


 プリキュアは問題を解決してくれません。


 いつだって問題を解決するのは自分自身です。


 でも、友達のためにひたむきに戦うプリキュアの姿が「勇気」をくれる。


 あなたの心に「勇気が生まれる場所」ができる。


 だからどうか、あなたも大切な人に寄り添ってほしい。直接的に救えなくても、その思いはきっと友達の力になる。


 そんなことを、プリキュアたちが背中で語っているように僕は感じました。


●ど直球のプリキュアイズム


 さて。この映画、ラストの展開だけはいろいろ言いたい人もいるかもしれません。


 これが「大人向け映画」だったら、ラストは違う展開になっていたかもしれませんね。だけどこれはプリキュアです。プリキュア映画は子どもを笑顔にするものです。だから僕はこの映画の終わり方が大好きです。あとエンディングのダンスが超カッコいいので最後まで見逃せません。


 一切の変化球なし。ど直球ストレートのプリキュア節。


 プリキュアでも解決できない圧倒的な現実と向き合い、乗り越えていく物語。


 一人の少女を真っ向から救う話。


 「ウムム、プリキュアとは何ぞや……」「プリキュアの多様性とは……」なんてことを考える必要もありません。それは他のプリキュア映画に任せましょう。


 「手をつなぎ、友達を思い、大切な人のために戦う」


 それを「プリキュアイズム」と言うのなら、71分間ずっと良質なアクションとともに、アツい「ど直球のプリキュアイズム」を全身に浴びさせてくれます。


 壁にぶつかったとき「プリキュアの勇気」が僕の背中を押してくれる。「そっと」じゃなくて、「ガツン」と背中を押してくれる。


 「私たちハピネスチャージプリキュアの生きざまを見て!」と言わんばかりに必死に戦うキュアラブリーの背中に、勇気が生まれてくる。勇気が生まれる場所。


 僕にとって「プリキュア」はどんな存在なのかを気付かせてくれる。そんな映画なのです。


 あなたの心にも、きっと「勇気が生まれる場所」が見つかるはずです。


 「ハピネスチャージプリキュア!」10周年、おめでとうございます。


 奇跡のような映画を、本当にありがとうございます。


●著者:kasumi プロフィール


プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。


このニュースに関するつぶやき

  • 映画は良かったけどね、いかんせん妖怪ウォッチとアナ雪に散々食われてたからハピプリは冷遇されまくり展開が乏しかったね。まだ上映館もずっと少なかったし。
    • イイネ!4
    • コメント 3件

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