「３２年間、あっという間」＝若田さん、ＪＡＸＡ退職会見

　宇宙航空研究開発機構（ＪＡＸＡ）を今月末に退職する宇宙飛行士の若田光一さん（６０）が２９日、東京都内で記者会見した。若田さんは「選抜されて記者会見したのがきのうのよう。３２年間はあっという間に過ぎ去った気がする」と振り返り、「今後は経験を生かし、民間から有人宇宙活動の発展に貢献したい」と語った。

　若田さんは１９９２年、宇宙開発事業団（現ＪＡＸＡ）の宇宙飛行士候補に選抜。９６年に米スペースシャトルでの初飛行以来、５回宇宙に行き、通算で５０４日余りと日本人最長の滞在記録を保持している。２０１４年には、日本人として初めて国際宇宙ステーション（ＩＳＳ）船長に就任。１８年には、宇宙飛行士出身では初のＪＡＸＡ理事も務めた。

　これまでで印象に残ったこととして９６年の初飛行を挙げ、「初めて見る地球の美しさ、大気層の薄さが見えた時は、最も印象的な瞬間だった」と振り返った。

　退職後の具体的な予定は「４月以降に公表される」と詳細を語らなかったが、「生涯現役で頑張っていきたいという目標にぶれはない」と強調。６回目の飛行について問われると、「可能性は分からないが意欲はある。６回目と言わず、７度でも８度でも」と笑顔を見せた。