中村時蔵、間もなく萬壽襲名で心境 『松尾芸能賞』大賞受賞で「時蔵の集大成の年になった」

1

2024年03月29日 19:51  ORICON NEWS

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ORICON NEWS

間もなく萬壽襲名で心境を語った中村時蔵 (C)ORICON NewS inc.
 日本の文化・芸能の保存、向上に寄与した人物を表彰する『第45回松尾芸能賞』の贈呈式が29日、都内で行われた。歌舞伎俳優の中村時蔵(68)が大賞を受賞した。

【集合ショット】古田新太、由紀さおりら『第45回松尾芸能賞』各賞受賞者が勢ぞろい

 贈賞理由は「歌舞伎界の名門 四代目中村時蔵の嫡男に生まれ、4歳で三代目中村梅枝を名乗り初舞台を踏むが6歳の時に父が急逝した。そのため苦境に立ったが、先輩の六世中村歌右衛門、七世尾上梅幸、七世中村芝翫に教えを請い女形の修業を重ねてきた。1981年に26歳で五代目中村時蔵を襲名し『本朝廿四孝』の八重垣姫、『鎌倉三代記』の時姫、『仮名手本忠臣蔵』のおかる、『妹背山婦女庭訓』のお三輪、『鏡山旧錦絵』の尾上、『八重桐廓噺 嫗山姥』の荻野屋八重桐、『彦山権現誓助剱毛谷村』のお園など、古典歌舞伎の女形大役を次々に演じて歌舞伎界を代表する女形になった。近年は尾上菊五郎の相手役として『人情噺文七元結』の女房お兼、『雪暮夜入谷畦道直待』三千歳、『新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎』のおはま、『神明恵和合取組め組の喧嘩』のお仲など、江戸前の世話狂言で持ち味を発揮。また、菊五郎劇団の数々の復活狂言でも活躍した。一方『寿曽我対面』の曽我十郎祐成、『助六由縁江戸桜』の白酒売新兵衛など、江戸和事の役まで幅広く実力を示した。古風な中に艶やかさと鷹揚さがありどのような役を演じても時蔵ならではの味わいがある。2023年は9月国立劇場『妹背山婦女庭訓』にて初役で太宰後室定高を演じたが、情理を弁えた演技で立女形の風格を見せた。また、11月歌舞伎座『鎌倉三代記』では三浦之助義村をこれも初役で演じ、凛々しさの中に義太夫歌舞伎らしいコクを表現した。国立劇場歌舞伎俳優研修主任講師として後継者育成にも力を注いでいる」という内容だった。

 6月に時蔵は、初代中村萬壽を襲名する。壇上のスピーチで「今年の6月、私は名前を息子に譲り、名前が変わりますが、 名前が変わりましても、今以上に芸道を精進いたし、このいただいた大賞に恥じぬよう努めてまいる所存でございます。どうか、これまで以上の叱咤激励、よろしくお願いいたします。本当に今日はありがとうございました」と話していた。

 また、授賞式後には取材も実施。名前が変わる心境を問われると時蔵は「息子に譲ろうと思ったのは3年ぐらい前。昨年やっと松竹と話が固まって、襲名披露ということになりました。だんだん、だんだん近づいてきて、そしてこの『松尾芸能賞』大賞をちょうだいしまして、お祝いの言葉が襲名のお祝いなのか、わけがわからずで(笑)。お祝いの品を贈ってくださる方がいて、これはどっちのお祝いなのかなと思うこともあります」と笑う。「43年間守った時蔵最後の年にこのような素晴らしい賞をちょうだいして、時蔵の集大成の年になったなと思っております。この後は新しい名前を自分で、いちから築いていかなきゃいけないなという気持ちで今はいっぱいです」と晴れやかに語っていた。

■『第45回松尾芸能賞』
【大賞】中村時蔵(演劇)
【優秀賞】豊竹呂勢太夫(文楽)、古田新太(演劇)、米川文清(邦楽)、佐藤B作(演劇)
【新人賞】中村児太郎(演劇)
【特別賞】由紀さおり(歌謡)
【功労賞】林与一(演劇)
    ニュース設定