息子の入学式から始まった不倫…駆け落ちした45歳妻が最後に選んだ道は/結婚人気記事BEST

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2024年04月04日 16:50  女子SPA!

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 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「結婚」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2019年3月26日 記事は取材時の状況)

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 何らかの事情で一度関係の壊れかけた夫婦でも、思わぬきっかけで再生することがあります。男女関係や不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが、夫婦の“再生物語”をレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)

◆義父が急逝、実家の商売を継ぐと決めた夫

 首都圏のとある町で、夫とともに個人商店を営むハルコさん(仮名・47歳)が、駆け落ちをしたのは今から2年前。

「夫とは東京で知り合ったんです。夫も私も会社員で、共通の友だちの結婚式で話をして意気投合。そこから半年もたたずに結婚しました。29歳だったかな」

 共働きでひとり息子を育てていたが、結婚して10年たったころ、夫の父親が急逝した。以前は手広く商売をしていた義父だが、そのころは店もかなり小さくなっていたという。

「それでもパートさんをふたりくらい頼んでいるようなお店だったんです。ただ、お義母さんはその店をもうやっていけないとパニックになって。夫は次男ですが、長男は商社マンで当時海外にいたんですよ。そこで夫が実家に帰ると言い出したんです」

 ハルコさんは大反対だった。会社を辞めたくなかったし、それまでの生活を変える気もなかった。ただ、夫の決意は固かった。

「じゃあ、とりあえずは別居でやってみよう、と。夫は店を継いで実母と暮らす。私は都内で息子と暮らす。それほど遠いわけではないから、会おうと思えばいつでも会えるし」

◆義母も倒れてしまい、家族で夫の田舎へ移ることに

 ただ、その後、義母が倒れて入院。夫からはひっきりなしにSOSが届くようになった。息子が中学生になるとき、彼女も決断をせざるを得なくなった。

「息子が、『いいよ、向こうにいっても。一緒に暮らさないと無理でしょ』と大人びたことを言ってくれたので、私も諦めました。家族は一緒にいなければいけないと思ったわけでないけど、夫の憔悴(しょうすい)ぶりが気になっていたので」

 義母は自力で歩けないわけではないが、左半身が不自由なため付き添いが必要だった。

「店をやりながら義母の世話をして、息子にも目を向けて。忙しい日々が始まりました」

 それでも夫の必死の努力のかいもあり、店の売り上げは義父の晩年のころより少しよくなっていた。

「夫は商店街のつきあいもあって、店が終わるとよく飲みに行っていました。義母の世話なんてしたこともない。義母は気むずかしい上に、同居してからは何でも私を頼るようになって、自力で生活するのがむずかしい状態。私はストレスがたまっていきましたね」

 中学を卒業した息子は、遠方の全寮制の高校に入りたいと言い出した。家から出たかったのだろうとハルコさんは推測する。

◆息子の入学式で、運命の人に出会って

 その息子の入学式に付き添ったときのことだった。保護者の席で隣に座っていた男性と目が合い、会釈した。そのあと、男性が話しかけてきて、「保護者同士」として話をした。

「息子はもうそのまま寮に行くというので別れて、ひとりで最寄り駅まで歩いていたんです。そうしたら後ろから声をかけられて。さっきの男性でした」

 暖かい日だった。彼は土地鑑があるので、少し散歩でもしませんかと言ったが、彼女は店と義母の世話がある。そう言うと、じゃあ、軽くランチでも。そのくらいはいいでしょと彼は笑った。

 ランチをとりながら話してみると、彼はその高校がある県の出身。妻に先立たれ、ひとりで子どもふたりを育ててきたそうだ。長男が寮に入るので、これからは中学生の娘とふたり暮らしになると少し寂しそうに語った。

「その日は連絡先だけ交換して帰ったんですが、私はなんだかその彼のことを忘れられなくて。翌日、彼から連絡が来て、ぜひまた会おうということになったんです」

 明らかに恋に落ちた自分を感じたとハルコさんは言った。夫と出会ったときとは違う、もっとしっとりした柔らかい感情だった。

「これが本物の恋。そして彼は運命の人」

 彼女はそう思った。お互いに時間をやりくりして会った彼も同じことを言った。ふたりは言葉を交わさずホテルへ行った。したいことは同じだったのだ。

◆ひっそりと逢瀬を続け、ついに駆け落ちまで

「そこから息子の学校へ行く用をわざわざ作ったり、学校へ行くと嘘をついては家を抜け出して彼のもとへ。その年の夏休みですね、彼が『息子は部活で合宿、娘は友だち一家の別荘に行く』と聞き、いてもたってもいられず彼の元へ。このままふたりでどこかへ行ってしまおうということになって」

 駆け落ちである。行き先も決めず、彼の車でふたりは遠くへ遠くへと走り出した。海岸沿いを走っているとき、このまま死んでもいいかなと思ったと彼女は言う。

「好きな人とふたりきりで死ねたら、それはそれで幸せだと。彼も『誰も知らないところへ行きたい』とつぶやいた。あのまま彼がブレーキをかけずに海に向かって車を飛ばせば、私は今、ここにはいなかった」

 ただ、彼はすんでのところで理性が効いたらしい。車はダイブしなかった。それから3日間、ふたりはずっと一緒にいた。夫からはひっきりなしに電話が入る。だが彼女は、「無事だけど探さないで」とメッセージを送った。4日目、彼が疲れた顔で、「友人の別荘に行っている娘が体調を崩したと連絡がきた」と言った。

「子どもには勝てないね」

 ふたりは顔を見合わせた。同じ頃、ハルコさんの夫からも「話を聞くから、とにかく帰ってきてほしい。オレも生活を改めるから。頼む」と下手に出たメッセージが来た。少し心が揺さぶられ、4日目の夜、ふたりはそれぞれの家に戻った。

◆浮気を疑う様子もない夫

「帰宅すると、夫は私の浮気なんか全然疑ってなくて、ただの家出だと思っていた。それは救いでもあると同時に、やっぱりこの人は私をちゃんと見ていないとも感じましたね。だけどそのおかげで、義母を施設に入れることになり、私はかなり心身ともにラクになりました」

 義母の施設は、息子の全寮制の学校から比較的近いところに決めた。彼と会いたかったからだ。ただ、駆け落ち騒動後から半年、彼とは別れた。

「騒動後、夫が何を思ったかかなり変わったんですよね。店を改装し、隣の空き家を買い取ってカフェを始めたいんだけどどうかなと相談してきたり。人生後半期だからこそ、思い切って勝負したいと言う夫をかっこいいと思いました」

 今は店を夫、カフェをハルコさんが協力しながらではあるが仕切っている。まだまだ経済的には大変だが、ふたりで力を合わせてがんばっているという実感がある。

「今年に入って夫がぽつりとつぶやいたんですよ。『オレ、今がいちばん幸せだな』って。もしかしたら、夫は私が駆け落ちしたことを知っているのかもしれないとふと思いました」

 夫が知っていたという証拠はないし、もちろん問いかけてみるつもりもない。だが今、心が寄り添っているからこそ、ハルコさんにも夫の心の底がちらっと透けてみえているのかもしれない。

―夫婦再生物語 Vol.4―

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio

このニュースに関するつぶやき

  • ヒマなんだな。わたしも明日、こどもの入学式だけどね。役員の用がゴッテリあって、浮気どころか入学式の感動に浸る余裕も無いよ。
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