「命つなぐ」動物も広域避難=設備被災、ジンベエザメなど犠牲―のとじま水族館

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2024年04月06日 07:31  時事通信社

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能登半島地震による漏水などで水位が低下したジンベエザメの水槽=1月2日、石川県七尾市ののとじま水族館(同館提供)
 能登半島地震で、石川県七尾市にある「のとじま水族館」も被害を受けた。設備が故障し、熱帯魚やジンベエザメなど約5000匹が次々と死んでいった。「命をつなぐためにできることを」。境谷仁館長ら職員はイルカやアザラシなどを県内外の施設に広域避難させた。

 同水族館では1月1日の地震でボイラーや循環装置などが故障、配管も損傷し水温や水質、水位を維持できなくなった。床は水浸しになり、感電の恐れがある中、職員らは館内に短時間入っては応急処置を試みたが、熱帯魚やクラゲなど温暖な海域に生息する約40種がほぼ全滅。日本海側の施設で唯一飼育していたジンベエザメも、地震8日後にオスのハチベエが、その翌日にはメスのハクも死んだ。

 「生き残った動物だけでも安全な場所へ避難させよう」。境谷館長らはイルカやアザラシ、ペンギン、ウミガメなどの飼育継続は困難と判断し、全国の施設に受け入れを打診。2月上旬までの約1カ月間に9種63匹を移送した。

 移送中の負担を減らすため日本海側を中心に7都府県の9施設を受け入れ先に選んだが、カマイルカは生活環境の変化が原因で死んだという。境谷館長は「移送のストレスなどを考えると苦渋の決断だったが、命をつなぐにはそれしかなかった」と振り返る。

 アザラシを担当していた高橋勲さん(50)は、受け入れ先から送られてきた写真を見て「元気そうで安心している」と語る。ただ、1歳から10年間過ごした「相棒」のゴマフアザラシ、サントスとも離れ、「姿を見られないのは悲しい」とこぼした。

 境谷館長は「再開のめどは立っていない。避難した生き物たちが一刻も早く帰ってこられるよう復旧に努める」と話した。 

避難先のプールで泳ぐ、のとじま水族館のゴマフアザラシ、サントス(右)とニーナ=1月4日、石川県能美市のいしかわ動物園(同園提供)
避難先のプールで泳ぐ、のとじま水族館のゴマフアザラシ、サントス(右)とニーナ=1月4日、石川県能美市のいしかわ動物園(同園提供)


能登半島地震で被災したのとじま水族館(石川県七尾市)からいしかわ動物園(同県能美市)に移送されるゴマフアザラシ=1月4日(同園提供)
能登半島地震で被災したのとじま水族館(石川県七尾市)からいしかわ動物園(同県能美市)に移送されるゴマフアザラシ=1月4日(同園提供)

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  • このような事例を踏まえて普段から各施設の緊急時のネットワークを構築しておく事も大事な事なのかも知れないと思った。流石にこんな事まで平時には思いつかないもんねぇ…。
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