柳葉敏郎『一世風靡』メンバーから「田舎のオヤジ役がハマる希少な俳優」になれた“40代の決断”

0

2024年04月07日 21:00  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

柳葉敏郎

 柳葉敏郎が好調だ。

 3月29日に最終回を迎えたNHKの朝ドラ『ブギウギ』ではヒロインの父親役を熱演。また『踊る大捜査線』シリーズの新作映画が彼の演じる「室井慎次」を主役として製作されることも公表された。

40代での「決断」がカギだった柳葉敏郎

 ちなみに、このシリーズの主人公は織田裕二(56)が演じる現場たたき上げの刑事・青島俊作。警察庁のエリート官僚でもある管理官・室井との掛け合いが見どころのひとつだ。ただ、織田は「青島」のイメージがつきすぎるのを嫌がり、新作への出演に消極的だとされる。

 一方、柳葉も「室井」の芝居が苦手だと公言してきた。本来、熱く動き回る気さくな役が得意なため、クールで重厚な気難しい管理官はやりにくいというわけだ。

 実際、役者としてもエリート系ではない。

 織田がいきなり映画の準主役でデビューし、その後も『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)をはじめとする主演ヒット作を連発していったのに対し、柳葉の原点はオーディション番組『スター誕生!』(日本テレビ系)に落選したこと。

 そこから路上パフォーマンス集団『劇男一世風靡』の一員として名を上げ、バラエティー番組『欽ドン!』(フジテレビ系)出演で顔を売りながら、役者としての実績をコツコツ積み上げていった。

 また、私生活でもかなりの苦労人だ。生活費を家に入れなかった実父は早くに他界し、実母が再婚した継父の名字を名乗ることに。『ファミリーヒストリー』(NHK総合)では、腹違いの姉の存在も明かされた。織田との関係は、童話『うさぎとかめ』のようでもあるが、ではなぜ、柳葉は巻き返すことができたのか。

 そのポイントは、2006年のUターン移住だろう。長女の小学校入学を機に地元・秋田に戻り、そこで8割方、生活するようになった。

 町内会の副会長をやったり、学校行事にも積極参加。先日は「室井」の姿で秋田刑務所の前に立った写真に、

《今日の現場。。。『しったげ、さびがったー』》

 と、方言でコメントをつけ、新作映画のPRをしていた。

田舎のオヤジっぽさを売りにできる芸能人

 洗練された都会っぽさを志向する人が多い芸能界で、こうした生き方は異彩を放つ。また、田舎暮らしに憧れる人はいても、現実はなかなか厳しい。それだけに、地元に根を張った彼の生き方は羨望や郷愁をもたらし、役者としても新たな味になっているのではないか。

 よく考えてみたら、田舎のオヤジっぽさを売りにできる芸能人はいまや希少価値。彼は吉幾三の後継者的ポジションともいえる。和田アキ子にすら心配されるほどのやんちゃな酒癖も『ブギウギ』の芝居ではよい感じに生かされていた。

 芸能界では藤あや子や佐々木希らと『秋田県人会』を立ち上げ、故郷の魅力をアピール。3人で出演した『ボクらの時代』(フジテレビ系)では、まだスキャンダル前だった佐々木の夫・渡部建(アンジャッシュ)について「いいやつ」だと褒めていた。もはや、洗練された都会っぽい路線など不可能な渡部も、妻ゆかりの秋田で出直せばなんとかなるかもしれない。

 筆者の地元・岩手でも「エロ詩吟」の一発屋・天津木村(出身は兵庫)が移住してきてメイン番組を持ったり、CMに出たりしている。田舎は都会からの流れ者に、わりと優しいのだ。

 なお、柳葉の妻は当初、秋田移住に乗り気ではなかったらしい。それも彼の仕事が順調なことで、結果オーライとなりそうだ。

宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。

    ニュース設定