桜の名所として知られ、「能登さくら駅」の愛称もある石川県穴水町ののと鉄道能登鹿島駅で、桜が満開を迎えた。同駅は能登半島地震の被害を受け、6日に復旧したばかり。13日は県内外の多くの花見客でにぎわった。
ホームの両脇に植えられたソメイヨシノは、駅を覆うように咲くことから「桜のトンネル」と呼ばれる。同日午前、くぐり抜けるように列車が入ってくると、人々は一斉にスマートフォンやカメラを向けた。
富山県氷見市から車で訪れた80代女性は「満開の時期に復旧を間に合わせるのは大変だったと思うが、おかげでこんなにきれいな桜が見られた」と笑顔。のと鉄道のファンで、毎年見に来るという浅川亜沙美さん(47)=金沢市=は、家族とともに七尾駅から同鉄道に乗った。「車窓からは屋根にブルーシートを掛けた建物も見えたが、桜は変わらない」と語った。
石川県志賀町の実家に夫と帰省していた会社員石井三幸さん(51)=埼玉県狭山市=は「桜が少しでも観光客が来るきっかけになれば」と願った。
能登鹿島駅に咲く約100本のソメイヨシノは1932年の旧国鉄七尾線の開通を祝って植樹された。樹齢は100年近いという。