石原さとみ、7年前の「変わりたい」衝動を告白　『ミッシング』完成に瞳潤ませる

　女優の石原さとみが16日、都内で行われた映画『ミッシング』完成披露試写会に、中村倫也、青木崇高、森優作、小野花梨、細川岳、吉田恵輔監督と共に出席。本作への強い思い入れを語った。

【写真】映画の完成に涙を浮かべる石原さとみ

　吉田監督が脚本も手がけた本作は、雑音あふれる世の中で生きる中で抱える問題をえぐり出し、失ってしまった大切なものを取り戻していく人々の姿を、リアルにかつ繊細に描いた作品。娘の失踪により徐々に心を失くしていく母親・沙織里を石原が演じる。

　冒頭のあいさつから声を震わせ、本作への強い思い入れをうかがわせた石原は「私の、本当に夢が叶った作品です。こうしていち早く皆様にお届けできることが心の底からうれしいんですけど、怖い部分もあります」と吐露。「7年前に『今のままじゃいけない』と。『変わりたい』と。『自分を壊してほしい』と。そういう衝動にかられまして、『私を変えてくれる人は誰だ』と色んな作品を観ながら吉田恵輔監督の作品に出会って、『この人だったら私を変えてくれる』『絶対に学びがある』と直感で（思った）」と目を潤ませながら打ち明けた。

　続けて「人づてに『吉田恵輔さんを知りませんか』と色んな人をたどってプライベートでお会いさせていただいて、『出させてほしい』と直談判しに行きました」と告白。一度は断られたというが、「『連絡先だけでも交換させてください』とお願いして、3年間まったく音沙汰なかったんですが、3年後に『脚本を書きました』と連絡をいただいて。飛び跳ねるようにうれしかった」と製作の背景を明かした。

　一度断った理由を聞かれた吉田監督は「石原さんって華がすごい。俺の映画ってもっと地味。下町とか郊外が舞台の映画が多いので、石原さんはなんか港区臭が強すぎて、『ちょっとごめんなさい』って（笑）」と苦笑。「でも新しい本で石原さんをこっちの世界に引きずり込めないかなというある種のギャンブルというか。一緒に努力して、みんなが知っている石原さとみさんじゃないものを作る自信はあります」と今作をアピールした。

　役作りの話題では、石原が「美容師さんに『一番髪の毛を傷ませる方法はどうすればいいですか』って。髪の毛を染めたまだらな状態をボディソープで洗うとどんどん傷んでいくとアドバイスいただいて、毎日洗っていったら、すごく痛みました。おすすめです（笑）」と告白。その他にも「肌荒れだったり、体の緩さだったり、爪の汚さだったり、いろんな部分で自分のことがなりふり構わない状態を作り上げる準備をしました」と役作りを振り返った。

　また、石原と19年ぶりに共演したという中村が「（石原と）同い年で同じ誕生日で同じ血液型なんです」と明かす場面も。本作での共演は特に感慨深かったそうで「『石原さとみの背中を追いかけてたんだな、俺』とまじで思ったんですよ」と話した中村は「僕がこの仕事を始めた時に、もうさとみちゃんは仕事をされていて、同世代のトップを走っていた感じがあった」と言い、「いつか何かご一緒したいなと思っていたんですけど、ここまでかかった」と喜びの大きさを口にしていた。

　映画『ミッシング』は、5月17日より全国公開。

※吉田恵輔監督の「吉」は「つちよし」が正式表記