広瀬アリス主演の『366日』（フジテレビ系）も第3話が22日に放送されました。
このドラマは、HYが16年前に発表した「366日」から着想を得たというラブストーリー。今さら公式ホームページのイントロダクションを読み返してみると、「1年前位に、YouTubeを見ていたら偶然『366日』のPVが流れてきました。何回も何回も聴くうちに（後略）」というプロデューサーの談話が載っていました。
この人個人がYouTubeを見ていたら偶然この曲が流れてきて、という視聴者や世情には関係のない取っ掛かりからドラマが生まれているということです。もちろん関係なくてもいいんだけど、ドラマを作って世の中に発表するということは、作品と視聴者の間で関係を築くということでもあるので、「なんで今さら366日なんだろう？」とは思ったんです。当時の別のドラマの主題歌でもあったし、歌詞もさんざん解釈されてきたのに、今さら「何回も何回も聴くうちに」って言われてもなぁと。
1曲の歌からドラマを立ち上げるという方法論も決して珍しいものではないので、全然いいんです。一青窈の「ハナミズキ」とかSUPER BUTTER DOGの「サヨナラCOLOR」とか、歌がモチーフになった映像作品もたくさんあるしね。でも、「366日」は始まってみると、歌詞の世界観ともあんまり関係ないように見える。
この曲は失恋の未練を歌っているんですよね。
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「いつしかあなたは会う事さえ拒んできて」
「別れているのにあなたの事ばかり」
拒んできて、ってかなり強い言葉です。明確な意思を持って会わないことを選んでる。「366日」を聞いてて思い浮かぶ風景は、この「強い拒絶」と「未練」なんだよなぁ。このドラマで描かれているのとは別の種類の切なさというか、歌詞とドラマがあんまり関係ないように見える。
あと、ホームページに「うるう年」という言葉がたくさん書いてあって、いかにも今年発表する意味がありますよというメッセージを出しているけれど、「366日」のタイトルは「365日愛しても足りないから」という意味だと仲宗根泉さんが言っていたので、これも関係ない。
なんか、いろいろ関係ないんです。
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■別に関係なくてもいいでしょう
別に関係なくてもいいんですけど、今回の第3話を見ていて、ずっと「関係ないんだよなぁ」と感じていたんです。
知らない人たちが出てきて、ずっと昔話をしてる。高校のとき誰が好きだったとか、仲良し5人組だったとか、その中で誰と誰がケンカしてたらしく、今はあんまり会ってないとか、実に関係がない。
ストーリーとしては、初回で頭を打って眠ったままのハルトくん（眞栄田郷敦）がプロデュースする予定だったイタリア料理屋があって、それをハルトくんの同僚が引き継ぐことになった。
ハルトくんはその店にとあるアートを飾りたいと言っていたけれど、それがなんだかわからないと同僚は困っている。
アスカちゃん（広瀬）はそれが、ハルトと仲違いしている仲良し同級生・カズキ（綱啓永）の撮った写真だと突き止め、その写真を入手して店に飾ることになった。めでたしめでたし。
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まず、その写真がどんなものなのかをしばらく“隠し”にされるんですが、関係ないので興味が持てない。
明らかになったその写真は、みんなの母校に植えてあった桜の写真でした。カズキにとっては高校時代の思い出の桜の木で、その写真で地元のコンテストに入賞したこともある。ハルトもすごく気に入っている。
でも、これもイタリア料理屋に来る客には関係ないんです。チーズとワイン、ピッツァやタリアテッレを楽しみながら、日本のどっかの高校に生えてる桜の写真を見たい人がいるんですかね。同じ風景写真でもフェッランディーナやクールマイヨールとか、イタリアの景勝地の写真のほうがいいんじゃないですかね、と思っちゃう。
自分のプロデュースする店だから、世界観に関係なく高校の同級生が撮った写真を飾っちゃう。それで、仲間内だけで喜んじゃう。
このあたりのシーンの「客に関係ないんだよなぁ」感が、そもそものコンセプトの「視聴者に関係ないんだよなぁ」感に重なってしまって、全体的に仕事におけるエゴの出しどころを間違えてるドラマだなという印象になっていると感じました。「関係ないんだよなぁ」は「興味ないんだよなぁ」と同じ意味ですからね。クリエイターにエゴは絶対必要なものだとは思うけど、成り立ちと内容から、このドラマは「本来、飾られるべきでない場所に飾られている桜の写真」みたいに見えてます。
でもまぁ、まだ第3話ですからね。仲良しグループの中にも彼氏が既婚者っぽい人もいるし、肘を壊してる実業団野球の人もいるし、カズキはアスカちゃんのこと好きみたいだし、今後は昔話だけじゃなく現在も語られていくことになるかもしれません。とりあえず見守りましょう。
（文＝どらまっ子AKIちゃん）
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