金曜ドラマ主演、29歳女優のドン底時代。“屈辱”と“試練”を乗り越えたサクセスストーリー

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2024年04月25日 16:00  女子SPA!

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(画像:川口春奈 Instagramより)
舐めた辛酸はかなりのものでしたが、彼女がどれだけのドン底にいたかを知らない人も少なくないでしょう。

ドラマにCMに引っ張りだこの川口春奈さん。彼女が主演で木南晴夏さん&畑芽育さんと三姉妹役を演じるヒューマンラブストーリー『9ボーダー』が、4月19日からスタートしたばかりです。

今回は年間・約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、山あり谷ありだった川口春奈さんの役者人生を振り返っていきます。

◆“低視聴率女優”のレッテル

川口さんは2022年に主演した恋愛ドラマ『silent』(フジテレビ系)の大ヒットにより、それ以前からも高い人気を誇っていましたが、さらにもう一段階上に登りつめた感があるのはご存知のとおり。

『silent』は視聴率(世帯平均視聴率)こそ一度も二桁に乗せられていませんでしたが、「TVer」での再生数が全話累計7300万超えというとんでもない記録を打ち立てており、歴代最高を記録。社会現象化して名作の仲間入りを果たしました。

そんな名作に主演して絶頂期を迎えている川口さんでしたが、18歳のときに主演した作品が打ち切りの憂き目に遭っていたのです。

2013年の主演ドラマ『夫のカノジョ』(TBS系)。第5話で3.0%という低視聴率を叩き出してしまい、ほかの回でも3%台を何度も出してしまったこともあり、放送回数が8話に短縮されて打ち切られてしまいました。

“低視聴率女優”のレッテルを貼られ、川口さんはブログで≪視聴率、視聴率、、今はすべてが数字で判断される時代なのかな?悲しいな…≫と吐露するほど、打ちのめされていたのです。

◆沢尻エリカの代役が転機に

それから長いこと連ドラ主演からは遠ざかることに……。

2017年の『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)や2018年の『ヒモメン』(テレビ朝日系)などで、2番手キャストのヒロインは演じていましたが、主人公を演じることはありませんでした。

しかし、そんな彼女に試練であり、チャンスともなった転機が訪れます。2020年放送の大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)への緊急オファーです。

重要な役どころの帰蝶(濃姫)役だった沢尻エリカさんが薬物逮捕で降板し、急遽その代役を務めたのが川口さん。今月7日に放送された『日曜日の初耳学』(TBS系)でインタビューを受けた際、ターニングポイントとして『麒麟がくる』を挙げていました。

◆川口で大丈夫か…という空気感

川口さんいわく、オファーが来たのは撮影までたった6週間しかないという段階で、「時間がなくて、迷ってる時間がなかった」、「その1年間はずっとプレッシャーでした」と述懐。

実際、忌憚なく言わせていただくと、ドラマファンの間では“川口春奈に沢尻エリカの代役が務まるのか?”という、懐疑的な空気感が漂っていたほど。

ですが、川口さんはその下馬評を見事覆します。華も毒も持ち合わせた唯一無二の存在感を放つ“女優・沢尻エリカ”の代わりでも臆せず、強くしたたかな“織田信長の正妻”を演じきったのです。

こうして肝の据わった役者魂や演技力が評価され、2021年に『着飾る恋には理由があって』(TBS系)で、連ドラとしては約8年ぶりに主演に返り咲き。そして2022年の『silent』に繋がるのです。

◆『silent』後の秀逸チョイス

『silent』後の川口さんには主演オファーが舞い込んでいたことが予想されますが、次に出演した連ドラのチョイスが実に秀逸でした。

川口さんが出演したのは、『半沢直樹』(TBS系)などで知られる池井戸潤氏の同名小説が原作で、昨年7月期に放送された『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)。中村倫也さんが主演で川口さんはヒロイン役だったのです。

ネタバレになるため詳細は伏せますが、『ハヤブサ消防団』は日本のドラマではなかなか描かれないテーマを扱った社会派問題作で、川口さん演じるヒロインは演技力が問われる作品の核を担う役どころでした。

そして『ハヤブサ消防団』もスマッシュヒットしたことで、彼女が出演のドラマは当たるということ、彼女の演技力はやはり確かなものだったということを、ドラマ業界やドラマファンに知らしめたのでした。

◆最新主演作の見どころは会話劇

主演最新作の『9ボーダー』は川口さん、木南さん、畑さん演じる三姉妹の会話劇が大きな見どころのひとつ。川口さんの演技の新たな一面が引き出されていきそうで楽しみです。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。
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