「僕、殺人犯かクズの役が多いんです」39歳”道兼”俳優、SNSの声に対する素直な思い|NHK大河『光る君へ』

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2024年04月28日 09:10  女子SPA!

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NHK大河ドラマ『光る君へ』が好調だ。

戦国時代や幕末ものに人気の偏る傾向のある大河ドラマで、平安時代を描くことに抱かれた当初の懸念はどこへやら。長編小説『源氏物語』を執筆した紫式部=まひろ(吉高由里子)を主人公に展開するストーリーに、視聴者は一喜一憂している。

その一翼を担うひとり、衝撃展開で初回から話題をさらった藤原道兼役の玉置玲央さんに話を聞くと、「クズ役は“お手の物”なんです」と告白。吉高演じるまひろと対峙した唯一のシーンについても語った。

◆クズ役に、脚本の大石静から「玉置くんにぴったりの役がある」と

 まひろと藤原道長(柄本佑)の叶わぬ恋に切なくなった次の瞬間、血なまぐさい権力闘争に慄いたりと、ゆったりした平安絵巻のイメージを裏切り続ける『光る君へ』。その衝撃は第1回「約束の月」から始まった。道長の兄・道兼が、まひろの母・ちやは(国仲涼子)を殺めるというラストで視聴者の度肝を抜いたのだ。

「僕、結構クズの役が多いんですよ。殺人犯かクズの役を結構やっていて」と玉置は笑う。

 玉置といえば、昨年放送のNHKドラマ10『大奥』Season2「医療編」で演じた黒木役の好演が残る人も多いだろう。その印象とのあまりのギャップに驚かされたのではないだろうか。しかし玉置本人の言う通り、これまでに映画デビュー作にして高い評価を受けた『教誨師』の死刑囚のような殺人犯から、NHKのよるドラ『伝説のお母さん』での愛嬌あるクズ夫まで、実にバラエティ豊かにさまざまな“クズ役”を演じてきている。

「だから、言い方はあれですけど、“お手の物”なんです。脚本の大石(静)先生からも、“今回、玉置くんにぴったりの役がある”とお墨付きをいただいていた役なので、“よし、やるぞ!”という気持ちでした。それで蓋を開けて台本を見たんですが、これが“なかなかじゃないか”“これ、やるんか”と(苦笑)」と、正直、想像を上回るヒールっぷりに驚いたそう。

 しかし初回の放送後、その衝撃の強さゆえにドラマ自体の注目度がさらに高まり、「道兼に引き込まれた」との高評価が飛び交った。

「“本当!?”ってすごく驚きました。自分で見てても、“うわ、こいつ怖っ”って思ったので。役のプレッシャーというより、2〜3回続けて見ていただければいいけれど、初回のあのラストのせいで、“こういう話が続くようなら今回は見なくていいや”となってしまう人が出るのは嫌だなという意味でのプレッシャーがありました。僕は100人見られる環境の人がいるなら、100人全員に見てもらいたいと思うんです。なるべく妥協したくないし、そこに至れるなら、なんでもやろうと思う性質で。

あのラストで、第2回から100人の視聴者が99人になったら、減ったのがひとりだとしても嫌だと思ってしまうんですよね。ただあの出来事は物語の流れとして、まひろの運命としてものすごく大事ですし、共演者のみなさん、スタッフのみなさんがものすごく肯定してくれたので、僕としてはありがたかったです。あとは視聴者の方、それこそSNSの反応ですね」

◆SNSは得意じゃなかったけれど、やってみてよかった

放送を見ながらリアルタイムでX(旧Twitter)に投稿したり、放送後にXのスペースで感想を語ったりと、SNSをうまく活用している玉置だが、実は「本当はSNSってそんなに得意じゃないんです」と苦笑いする。

「嫌な面も見えちゃうし」と明かしつつ、それでも「利用してくださっている方たちとのリレーション次第では、ポジティブに捉えられるものなのかなと。やってみてよかったというか、いい試みをしたのかなと思えて嬉しかったです」と思いを口に。そして続けた。

「このドラマの表現していることに意図はあると思います。演出家の方、作家の方、俳優側と。ただ、受け取ってくださる視聴者の方の数だけ、正解というか、導き出された何かが存在するんだなと。分かっていたことでしたが、思っていた何倍も何十倍も何百倍もの反響、反応があるし、導き出されたものがある。

こんなにもみなさん、受け取ってくださっていて、なおかつそこに自分の意思や考えをきちんと乗っけてこちらに伝えてくれたりする。そこに頼り切ってはだめですけど、本当に今の時代だからやれる、コミュニケーションツールだなと学べたのは、目からうろこでした」

◆普段仲の良い吉高由里子とだから撮れた、まひろとのあのシーン

さて、これまで成長したまひろを演じる吉高と直接対峙したのは第8回「招かれざる者」のみ。まひろにとって道兼は、母を殺した憎き仇だが、道兼はまひろがあのときの幼き少女だとは知らない。道兼はまひろの父・藤原為時(岸谷五朗)を胸襟を開ける相手と思い、その家を訪れる。琵琶を手にまひろが道兼の前へと姿を見せたシーンは、言いようのない緊張感が続いた。

「僕はプライベートでの関係性を存分にお芝居に乗っけたほうがいいと思うタイプなんです。由里ちゃんとは、すごく仲がいいと思っていて、仲がいいからこそ、あの画が撮れたところがあるんじゃないかなと思っています。

まひろと道兼が一緒の画に収まっているシーンって、本当にない。そこでふたりの関係性というか、説明を一気に詰め込もうとすると情報過多になってしまう。でも出来る限りの情報は伝える必要がある。そのためにも、物語以上の、見てわかる、画から感じ取れるものがないといけなかった。その辺は意識しながら演じました。

あのシーンの道兼って、“お前、この人の母親を殺してるのに、何してるんだよ”という愚かさがすごくある。そしてまひろが葛藤しているシーンですよね。普段の吉高由里子って天真爛漫な、素敵な女性なんです。もちろんまひろも素敵な女性ですけど。あのお芝居ができるのはすごいなと、やっぱり思いました。いや、本当に“すげえな”って思いました」

◆『光る君へ』はやっぱりまひろと道長の物語

そして改めて、『光る君へ』はまひろと道長の物語だとした。

「やっぱりここにはまひろと道長が描かれていて、ふたりの物語がドラマチックに、彩り豊かになればと思ってやっています。いろいろな登場人物がいて、いろいろな物語が描かれ、出世したり、亡くなったりしていきます。けれど究極、ふたりの物語だと僕は思っています。特に序盤はそれが如実なので、彼らの起爆剤とか、彼らの家族の起爆剤になれればなと思っていました」

とはいえすでに道兼は、起爆剤以上の存在として、視聴者を引き付けている。父・兼家(段田安則)との関係に縛られていた道兼だったが、第14回「星落ちてなお」でその父も死に、長男・道隆(井浦新)が関白に。もぬけの殻のようになった道兼だったが、ここから道長との関係が大きく変わっていった。

「これまで道長に対してひどいことをしてきた。でも第15回(「おごれる者たち」)で、ベロベロになっている道兼のところに道長は来てくれて、声をかけてくれるんです。“変われますよ。兄上は変われますよ”と。避けず、逃げず、きちんといま道兼に必要な言葉を、弟である道長がぶつけてくれるというのは、すごいエネルギーのいることだし、道長の中でも乗り越えなきゃいけないことがいっぱいあるやり取りだったと思います。道兼の中で、あそこで道長に対しての感情がガラッと変わったんです」

道長との関係が大きく変わった道兼は、その生き方自体を大きく変えていった。

<取材・文/望月ふみ>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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