産業廃棄物に新たな命を=「アップサイクル」で社会貢献―民間企業

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2024年05月01日 15:01  時事通信社

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時事通信社

自動車部品メーカーの豊田合成の主力製品であるエアバッグの廃棄されるはずだった布地と、再利用して作ったバッグ=3月6日、愛知県清須市
 廃棄予定のエアバッグや制服に新たな命を―。捨てられるはずの商品や素材に新たな価値を加えて再生する「アップサイクル」が民間企業に広がっている。廃棄量が減らせ環境に優しいだけではなく、社会貢献や収益化などのメリットもある。

 自動車部品メーカーの豊田合成は、2018年から主力のエアバッグを再利用したバッグなどを製作。エアバッグ用の布地は品質基準が高く、少しの傷や汚れでも廃棄されてきたが、23年度は約1800メートル分の廃棄量削減につなげた。障害者就労支援施設に加工を依頼、地元大学とも連携して商品開発を行っている。

 名古屋鉄道は、使用しなくなった従業員の制服の上着をショルダーバッグに再生している。これまでは産業廃棄物として業者に依頼し、有料処分していた。昨年12月に行われた鉄道イベントでは、鉄道ファンに人気が高い駅長らの制服で作ったバッグ20個が即日完売。バッグ以外の商品化も検討中だ。

 東海理化は、シートベルトの製造工程で出る1日300キログラムほどの端材を活用してバッグやポーチなどを製作。丈夫で長持ちするのが特長で、ペンケースはこれまでに約1万個を売り上げた。他の企業にも呼び掛け、ビニールカーテンやテント生地と組み合わせたかばんなど商品の幅を広げている。

 同社ニュービジネスマーケティング部の荒河修里さん(41)は「付加価値を付けて、役に立つものを作るのは素晴らしいこと」と話している。 

自動車部品メーカーの東海理化が端材のシートベルトを活用して作ったペンケースやかばん=3月13日、愛知県大口町
自動車部品メーカーの東海理化が端材のシートベルトを活用して作ったペンケースやかばん=3月13日、愛知県大口町
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