バイク名車列伝 第9回 ホンダのレーサーレプリカ「VFR400」に今から乗るなら? バイク王に聞く

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2024年05月02日 11:31  マイナビニュース

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レーサーレプリカが全盛だった時代、4スト400ccクラスの頂点に登りつめた1台に数えられるのがホンダの「VFR400」だ。当時のホンダが技術の粋を注ぎ込んだVFR400の性能はいったい、どれほどなのか。このバイクに今から乗るなら、いくらくらいで買えるのか。バイク王に話を聞いた。


レーサー譲りのピーキーな走りが魅力



1980年代から1990年前半にかけて、日本のバイクシーンはまさにレーサーレプリカ全盛の時代だった。



1975年の二輪免許の区分改正を受け、国内市場における主力カテゴリーが400cc以下へと移るなか、国内各メーカーの間では、よりハイスペックな2スト250cc、4スト400ccの開発競争が勃発していた。



各メーカーのレースでの実績がレーサーレプリカの販売台数に直結していた当時、ホンダが投入したのが「VFR400」だ。「全日本ロードレース選手権TT-F3クラス」(2スト250以下と4スト400以下の市販車モデルをベースとしたマシンが争うクラス)を連覇(1985年〜1986年)したワークスマシン「RVF400」のレプリカである。



VFR400の初代(NC21)は1986年、2代目(NC24)は1987年に登場。1989年には再度のフルモデルチェンジを経て3代目(NC30)となった。異例のスピードに当時の開発競争の熾烈さが伺えるが、中でもNC30はシリーズ最高販売台数を記録するなど大ヒットモデルとなった。


当時のホンダが技術の粋を注ぎ込んだモデルだけに、VFRのスペックは破格だ。搭載するエンジンはRVFと同型(量産仕様)の399cc水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒エンジン。最高出力は(59ps/12,500rpm)、最大トルクは(4.0kg・m/10,000rpm)となっている。



量産市販車で初めて小径点火プラグ(直径8mm)を採用したNC30は、吸・排気バルブが大径化したことで充填効率が向上。V4エンジンの持ち味であるトルク感あふれる出力特性と中・低速域における俊敏で力強い応答性を両立させた。極太の「目」の字構造を持つ異形五角断面材を使った独自の「アルミ・ツインチューブ・フレーム」を採用することで、高剛性化にも成功している。


次に足回りを見ていこう。



フロントは直径41mmの初期荷重調整機構付極太フロントフォークとワイドサイズアルミキャストホイールに大径のフローティング式ダブルディスクブレーキと異径対向4ポットキャリパーを組み合わせる。



リアは代名詞であるプロアーム(片持ち式スイングアーム)に初期荷重と伸び側減衰力の調整機構付ダンパーユニットを装備したプロリンク・リアサスペンションを採用している。

NC30の生産はマイナーチェンジ(1990年)を経て1993年まで続いた。後継モデルは1994年に登場した「RVF400」だ。

コンディション維持が高難度?



バイク王茅ヶ崎絶版車館の岡本拓也さんによると、VFR400の2023年の買取台数は約30台。やや減少傾向にあるそうだが、買取車両にはある特徴が見られるという。



「マフラーやキャブレターを交換されていることはよくありますが、足回りに関してはそもそものポテンシャルが高いこともあってノーマルのままということが多いです」(以下、カッコ内は岡本さん)



バイク王での店頭販売価格は150万前後だが、ここ数年、価格はさほど変動していないそうだ。



「店頭販売しているのは主にNC30で、NC21やNC24はほとんどありません。年間で5台ほど販売していますが、買取台数から考えれば売れる割合は高いと思います。数年しか販売されていなかったNCの中でも厳選したものになるので、店頭販売のバイクはコンディションのいい車両だと考えていただいて大丈夫です」



ただし、コンディション維持の難易度は非常に高いと岡本さんは話す。



「専門店があるとはあまり聞かない車種ですから、すでに手に入らないパーツがあるかもしれません。その上で10〜20年先のことを考えると、不安はあります。例えば、レーサーレプリカの大きな特徴はカウルだと思いますが、転倒や経年劣化で割れてしまった時には、ワンオフで作るしかないということになるかもしれませんね」


■Information

取材協力:バイク王茅ヶ崎絶版車館

【場所】神奈川県茅ヶ崎市下町屋1-10-26

【営業時間】10:00〜19:00

【定休日】水曜日

【備考】記載の情報は取材時のもの。車両の在庫状況や現車確認を希望の場合は0120-222-393まで要問い合わせ


安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。 この著者の記事一覧はこちら(安藤康之)

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