一歩進んで立ち止まり 真っ白保護犬の散歩は牛歩状態 ゆっくり成長しながらついに幸せを掴んだ

5

2024年05月09日 17:40  まいどなニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

まいどなニュース

多頭飼育崩壊現場出身のイレブン。極めておとなしくやや内向的な性格のワンコです

2021年、奄美大島のある民家でワンコの多頭飼育崩壊が確認されました。地元では「ワンコ屋敷」として知られていたそうで、その数は60匹。

【写真】2021年に発見された奄美大島の多頭飼育崩壊の現場の様子

発見以降、保護団体が家主に交渉。懇意の別団体などの協力を経て、1匹ずつ引き取り、幸せな犬生へとつないでいます。

東京・足立で保護・譲渡を活動を行う保護犬猫カフェ・PETSでも、ここ3年ほどで奄美出身のワンコたち、通称「奄美―ず」を複数匹幸せに導きました。2023年も、この奄美の多頭飼育崩壊現場から生まれた子犬を引き取りました。後に「イレブン」と名付けられた真っ白のミックス犬のオスです。

強い警戒心を持つ一方、攻撃的な素ぶりは皆無

奄美大島から空輸でやってきたイレブン。まだ生まれて間もなくしてケージに入れられ、飛行機の轟音や初めてみる人間を見て、さぞ恐ろしい思いをしたのでしょう、引き取ったスタッフに全く目を合わせてくれませんでした。

こういった際、警戒心の強さから噛み付いたり、吠えたりるワンコもいますが、イレブンはただただ伏目がちなだけで攻撃的な様子はありません。ビビりながらも穏やかで優しい性格であるように映りました。

ただただジッと一点を見つめて過ごす

やがてPETSの環境に馴れると、当初よりずっと表情が柔らかくなりましたが、他のワンコとの触れ合いをさほど好まず、いつもひとりで過ごしていました。周りのヤンチャなワンコはイレブンに「遊ぼうよ!」とばかりちょっかいをかけてきます。それでも吠えることはなく、一点をじっと見つめて過ごしていました。

ワンコごと性格が違うのは当たり前です。ただし、せめて散歩くらいはマスターしてもらうため、スタッフはイレブンに散歩トレーニングを実施することにしました。

だるまさん転んだ状態の散歩トレーニング

散歩に不馴れなワンコは、ハーネスをつけるだけで大暴れしたり、なんとかして連れ出しても真っ直ぐ歩いてくれなかったり、あるいは固まったりします。

イレブンは伏目がちではありつつも、ハーネスはさほど嫌がらず、そして散歩に連れていくことも極度には嫌がりませんでした。そして、勘をつかむのも早く、早い段階で真っ直ぐ歩いてくれるようになりました。しかし、その動作があまりにゆっくりなのです。

一歩進んで立ち止まり、また一歩進んで立ち止まる。これもまたイレブンのペースなのです。

他のワンコとはちょっと性格が異なるものの、イレブンらしく成長していって欲しいと願うスタッフは、イレブンが一歩進んで立ち止まるたびに自分も一緒に立ち止まり、だるまさん転んだ状態で帰路につくのでした。

イレブンがついに「ずっとのお家」を掴んだ

PETSに来て7カ月、イレブンの表情に変化が現れました。緊張しているようないつもの目とは違って、おっとりとした目で周囲を見つめているのです。これは確かな成長です。繊細な性格のイレブンに悟られないよう、スタッフは密かに喜びました。

他のワンコたちと積極的に遊ぶそぶりは見せませんが、ワンコ同士のコミュ術も学び、「リラックスして過ごして良いんだな」「僕は僕のままでも良いんだな」と悟ってくれたようにも映りました。

そして、さらに嬉しいことが。「イレブンを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。もちろんこれまでの様子を十分承知してくれている方で「たっぷりの愛情を注ぎ、イレブンのペースを最優先にする」と言ってくれました。イレブンはこの方の元でついに「ずっとのお家」を掴むことができました。

長い期間イレブンに寄り添い続けたスタッフは大いに喜びました。まだまだ成長中のイレブンですが、これからは優しい里親さんの元で、1日も長く幸せな犬生を送って欲しいと願うスタッフでした。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

動画・画像が表示されない場合はこちら

このニュースに関するつぶやき

  • あー可愛い!すごく可愛い。でも遠慮がちな色々悟っているお顔している。わんこ特有の主さん大好きの満面笑顔になってほしい。
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

ランキングIT・インターネット

前日のランキングへ

ニュース設定