岩橋玄樹 30代目前の“ありのまま”をとらえた1st写真集「僕が自然に浮かべた表情をおさめてもらった」

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2024年05月11日 15:40  リアルサウンド

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 元King&Princeのメンバーであり、現在はソロアーティストとしてアメリカと日本を拠点に活躍する岩橋玄樹が、1st写真集『Labneh(ラブネ)』(講談社)を発売した。異国の地・ドバイで何を感じ考えながら撮影に挑んだのか、30代を目前に今どんな未来を思い描くのか、一冊となった写真集を振り返りながら話を聞いた。


(参考:【写真】岩橋玄樹の魅力的なカメラ目線や本を読む自然体のカット


■どんな人にもリスペクトを忘れない


――初の写真集、撮影場所にドバイを選んだのは岩橋さんご自身なんですよね。


岩橋玄樹さん(以下、岩橋):前々から、行ってみたいなと思っていたんです。もともとはアブダビの一地域に過ぎなかったのに、移住した人たちが独立して国(首長国)となった場所でしょう。どんなカルチャーが育っているんだろう、と気になっていたし、その場所で僕はどんな表情を浮かべるんだろう、と興味もありました。


――笑顔というよりは、素の瞬間をとらえたような表情が多いですよね。


岩橋:意識的に、そういう写真を集めました。あまり決めカットはつくらないようにしよう、とフォトグラファーのラシャさん(※)とも話していたんですよね。撮影中、他にもスタッフはたくさんいたけれど、二人だけで行動することも多くて、そのやりとりの中で自然と僕が浮かべた表情をおさめてもらいたいな、って。だから僕自身、「こんな顔してたっけ」と驚くものもあって、できあがった写真集を見返すと新鮮な気持ちになります。


※Rasha Mosa。ハリウッドで活躍するフォトグラファー。


――とくに印象的な写真はありますか?


岩橋:バザールを歩いて、店の中で撮影した写真は、わりと緊張しているなって(笑)。「好きなもの適当に選んで」ってラシャさんに言われて、ふつうに買い物する感じで撮ってもらったんですけど、現地の人にめちゃくちゃ注目されたんですよ。あたりまえですよね。向こうはただ買い物をしに来ているんだから。


――誰? ってなりますね。そんな特殊な環境での撮影、どんなことを意識していましたか?


岩橋:わからないけど尊重する、ということでしょうか。中学生のときから人前に立つ仕事をしてきて、自分の言葉がどんなふうに相手に届くか、それによって相手がどういう反応をするかを学んできました。その中で、何があっても大きな心で包み込めるようになるのが一番大事だな、と思ったんです。悔しくても、腹が立っても、それも一つの意見なのだと受け止める。理解できなくても、そういうこともあるんだ、と受け容れる。広い視野で客観的に物事を見るまなざしが必要だな、と。


――それって、すごく難しくないですか?


岩橋:難しいですね。それはみんな同じだからこそ、揉め事や争いはなくならない。だからせめて僕は、どうすれば問題が起きないかを考えて、常に行動したいんです。もちろん、自分一人ですべてを解決することはできないから、わからないことや困ったことは、ちゃんと周りに頼ることも必要だなと思います。


――それは、アメリカと日本の二拠点生活をすることで、異なる文化に触れる機会が多いからこそ、感じることでもあるんでしょうか。


岩橋:それもありますが、僕はまず、どんな人に対してもリスペクトを忘れない人間でありたいんです。何歳でも、どんな立場にあっても、人にはそれぞれ役割があって、支え合うことで社会が成り立っている。我を主張してばかりじゃ、絶対にうまくいくものもいかなくなるでしょう。


 アメリカに行ったばかりの頃、何もわからなかった僕にいろんな人が手を差し伸べてくれたし、たくさんの人たちに支えられて今、僕は仕事することができています。だから僕も、誰かが困っていたら手を差し伸べられる人でありたいし、そうすることで受けた恩を返していきたいと思っています。ファンに歌を届けることも、その一つですね。


■砂漠を眺めながら毎朝ランニング


――岩橋さんは「自分を愛する」ということもインタビューでよくおっしゃっています。それは、一人で何もかもをこなせるわけじゃない、とわかっているからこそなのでしょうか。


岩橋:そうですね。どんなに順風満帆に見える人でも、その人なりのストレスや不安を抱えていると思うし、失敗なく完璧に生きていける人なんていません。自分を愛する――“Love Yourself”を合言葉にしている僕でさえ、落ち込むことは当然あるし、自分をきらいになったりもする。それでも、多様な価値観に揺れる今の時代だからこそ、自分という存在をまるごと愛するためにどうすればいいか、問いかけることも必要なんじゃないかと思います。そうしてみんなが自分に愛を向けることができれば、世界も平和になるんじゃないのかな、って。


――自分をきらいになったとき、どんなふうに立ち直っているんですか?


岩橋:そうだなあ。とりあえず、外をダッシュしますね。身体を動かすのはすごく大事。これはA.B.C-Zの戸塚(祥太)くんに教えてもらったことなんですが、人間の足裏と脳って神経が繋がっているらしいんですよ。足の裏に刺激があるだけでドーパミンが分泌されてリラックスもできるんだ、って。それを聞いてから、落ち込んでいるときじゃなくても、走るように心がけています。


――じゃあドバイに行っていたときも?


岩橋:どんなに朝早くてもホテルのジムで走っていましたね。今回の撮影旅行でお願いしていたのが、ジムのあるホテルに泊まることだったんですよ。もう4、5年の習慣なので、走らないと一日がスタートした気になれないんですよね。毎日、撮影前に一時間、必ず走っていました。砂漠のど真ん中にあるホテルに泊まったので、一面砂しかない光景を見ながら。


――それは気持ちよさそう。


岩橋:気持ちよかったです。走って筋トレして汗を流すとむくみもとれるし、体の中に滞っている悪いものが全部出ていくから、デトックスにもなります。


――ドバイでベストコンディションを整えるのも大変そうですしね。ものすごく乾燥していたんじゃないですか?


岩橋:すごかったです。僕は乾燥肌で、すぐカラカラになっちゃうんですよ。初日が砂漠での撮影だったんですが、目の中にも口の中にも砂が入るんですよね。撮影の翌日は上手に瞬きができなくて、一日中、目薬を差していたくらい。これまで砂漠に行く機会なんてなかったから、想像以上にすごい場所だなって思いました。


――そんな状態で撮影されたとは思えないほど、写真は美しいですよね……。


岩橋:そこはもうメイクさんの力でカバーしていただきました。砂漠だけでなく、いろんなことが初めてづくしで新鮮でしたね。食事にはラム肉がよく出てきて。ホテルのビュッフェにも必ず置いてあるので、いつも食べていました。脂身はくどくないし、臭みもないし、おいしかったなあ。あと、豆の産地が近いからかコーヒーもコクが深いんです。スタバですら、日本とは味が違った気がする。


――岩橋さんは、どんな国に行ってもすぐに馴染んでしまうと別のインタビューでおっしゃっていましたが、走ること以外に、旅先でも必ずすることってありますか?


岩橋:うーん、なんだろう? 飛行機の中ではiPadで歌詞を考えたり絵を描いたりしています。気圧の影響か、離陸するとすぐに眠くなるんですけど、雲の上を飛ぶ頃になると、妙に頭が冴えるんです。ふだんよりひらめきが降りてきて、頭が良くなったんじゃないかと思うほど作業が進む。僕のつくる歌詞は、ほとんど雲の上でつくられています。


■異次元の存在感を発揮していたい


――ソロになってこの3年、お仕事の幅も広がったと思いますが、何がいちばん変わりましたか?


岩橋:自分で決めることが増えたことでしょうか。歌詞を書くこともそうですが、どういうトラックをつくるか、どんな衣装にすればファンのみんなが喜んでくれるか、一つひとつをしっかり考えるようになりました。もちろん以前も考えてはいたけれど、誰かにお膳立てしてもらうわけじゃない、自分でゼロからつくりあげる責任を負うんだって意識で仕事をするようになったのが、いちばん変わったことですね。おかげで、以前よりもファンとの一体感を感じられるようになった気がする。プレッシャーはあるけど、その分、とても楽しいです。


――逆に、変わらないことは?


岩橋:ファンのために何ができるかを考えること。セルフプロデュースだからって、自分のやりたいことばかりを押し通すのではなく、ファンが見たいもの、聴きたいものを想像して、期待に応えたい。そのうえで自分らしさを表現していけるよう、挑戦していきたいと思っています。


――20代も残りわずかですが、30代になるまでに挑戦したいことはありますか?


岩橋:なんだろうなあ……。僕、早く30代になりたいんですよね。いっそ、35歳くらいになりたい。今この瞬間や明日のために頑張るのではなく、未来のなりたい姿を思い描いて、そのために何ができるか逆算していきたいんです。大谷(翔平)選手も、野球選手になるために高校時代からやるべきことを考えていたっていうじゃないですか。それと同じで、今挑戦したい何かがあるというより、いずれ大きな姿を見せるために試行錯誤しているさなか、という感じです。


――では、30代半ばでどんな人間になっていたいですか?


岩橋:存在自体が幻みたいだ、って思われるような人になっていたい。……って、わかりにくいかもしれないけど(笑)、なんていうんだろうなあ、みんながその存在を知っているし、愛してもいる。でも本当に同じ世界に存在しているのかなってふと不思議になってしまうほど、異次元の存在感を発揮していたいですね。それがスターということだと思うから。その姿をお見せできるよう、頑張っていきたいです。


(文=立花もも)


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