Arloブランドの「Essential屋内用カメラ(第2世代)」を試す Ringの屋内カメラとの違いは?

0

2024年05月15日 12:31  ITmedia PC USER

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia PC USER

Arlo Technologiesの「Essential屋内用カメラ(第2世代)」

 家庭向けのネットワークカメラを手掛けるメーカーは数多く存在するが、ラインアップの中にドアベルが存在しているブランドとなると、選択肢は限られる。有名なのはGoogleの「Nest」、またAmazon傘下の「Ring」が挙げられるが、この2社に続く存在といえる老舗が、ネットギア傘下のArlo Technologiesが展開するホームネットワークブランド「Arlo」(アーロ)だ。


【その他の画像】


 今回紹介するのは、そんなArloから新たに登場した、第2世代のネットワークカメラ製品のうち、屋内用の有線カメラ「Essential屋内用カメラ(第2世代)」だ。コンセプトがほぼ同じAmazon Ringの屋内カメラ「Ring Indoor Cam(第2世代)」と比較しつつ、その特徴を紹介する。


●ごく一般的な屋内用ネットワークカメラ 壁面取り付けにも対応


 本製品は屋内利用をターゲットにした、ごく一般的なネットワークカメラだ。屋外で使わないため防じん/防水には非対応で、電源供給もバッテリーではなくUSBケーブルを用いて行うシンプルな設計となっている。


 外見はいかにもネットワークカメラらしい形状で、Ringの屋内カメラと同じく、据え置きに加え壁面への取り付けにも対応している。室内を見下ろすようなアングルでの設置も可能だ。ただし壁面取り付けはネジ止めになるので、設置先が賃貸物件である場合は注意したい。


 パッケージにはカメラ本体とスタンド、壁面取り付け用のネジ類一式が付属している。ケーブルは本体直結なため、断線した場合などは手持ちのケーブルに取り替えて使うことはできず、本体ごと修理に出す必要がある。


 専用アプリを用いたセットアップの手順は、この種のネットワークカメラとしては一般的な項目ばかりで、特に迷うところはない。同社のホームネットワーク製品は種類が多いため、モデル名を特定する時点で多少手間取るが、後は一般的なフローで、アップデートを含めても10分もかからず完了する。


 なお、こうしたネットワークカメラならではのアクティビティーゾーンなどの設定は、セットアップが一通り完了した後に行う。とにかく早く使ってみたい場合には適した仕様だが、そのままでは実力を発揮できないので、事後に忘れないようにこれらの設定を行う必要がある。


●Ringの屋内用カメラとの違いをチェック


 続いて、使い勝手について見ていこう。今回は、本製品とコンセプトがよく似た、AmazonのRingブランドの屋内用カメラ「Ring Indoor Cam 第2世代」と使い比べてみよう。いずれのモデルも、有料プランを契約した状態での比較となる。


 まず視野角については、ほぼ同等と言ってよいレベルにある。画面の色味は、かなり赤みがかっているRingに対して、本製品の方が和室の畳の色などを忠実に再現できているように見えるが、このあたりは好みにも左右されるだろう。


 夜間撮影については、映像全体に自動的にレベル補正がかかるようで、一部に明るい部分があると他が暗く沈み込む傾向がある。設定で調整すればRingのように全体を明るくすることも可能だが、それだとどの映像も明るくなってしまうのが困りものだ。もう少しインテリジェントさが欲しいと感じる。


 機能で見ていくと、動体検知による録画、手動での録画および撮影、マイクとスピーカーによる応答、録画映像のダウンロード機能など、ほぼ互角だ。また3つのモードの切り替えなど、アプリ側のインタフェースもRingに非常によく似ている。


 細かい違いとしては、録画した映像を、モーションや人検知などイベントのタイプ別に絞り込めるRingと異なり、本製品は日付での絞り込みにしか対応しないことが挙げられる。大量の記録から特定の条件に合致する映像を絞り込みたい場合には、やや不便だ。


 撮られたくない時にカメラのレンズをカバーで物理的に覆う仕組みは、どちらの製品にも搭載されているが、Ringはカバーを手で物理的に回転させて覆う形なのに対し、本製品はアプリから制御する仕組みを採用している(プライバシーシールド)。設定によっては、ビュワーを閉じることで自動的にカバーを閉じることも可能だ。


 つまりカバー開閉のためにカメラの前に足を運ばなくて済むのだが、言い換えると開閉に必ずアプリが必要になるので、例えば家庭内でこれらカメラのアプリを扱えるのが夫だけで、妻や子供がカメラのある部屋で着替えるので一時的にカメラを見えなくしたいという場合、Ringに比べると対応に手間がかかる。このあたりは一長一短という評価になるだろう。


 個人的にやや気になったのが、ライブ映像を表示するまでにかかる時間だ。比較対象であるRingのカメラや、Google Nestのカメラは、レビュー画面をタップしてライブ映像に切り替わるまでおおむね2〜3秒で済むが、本製品は7〜8秒かかることもある。急いで映像を見たい場合は少々困りものだ。


 また映像自体も、遅延が3秒程度発生する。同じネットワーク環境でRingのカメラを使った場合、USBで直結していると言われてもおかしくないほど遅延が少ないのとは対照的で、マイクを使ってのやりとりでは支障をきたしてしまう。


 このあたり、映像を中継しているクラウドの経路の問題なのか、カメラ自体のパフォーマンスの問題などかは定かではないが、少なくとも筆者の利用環境では、LAN経由でもモバイル回線経由でも明らかにワンテンポ遅い。この辺を重視するユーザーは、少々気をつけた方がよさそうだ。


●最大のネックは機能よりも実売価格か


 以上のように、Ringの屋内カメラと比べても機能はおおむね同等であり、本製品にしかない便利な機能もあるのだが、パフォーマンス面でやや遅れを取っている印象だ。本製品しか使っていなければ「こんなものだろう」で済むかもしれないが、使い比べる機会があると、首を傾げることになるだろう。


 そんな中、最大のネックといえるのが実売価格だ。同じ屋内用カメラで比較した場合、Ring製品が4980円(税込み、以下同様)なのに対して、本製品は1万4480円だ。千円差でも迷うところだが、3倍も違ってしまっては致し方ない。実売1万2300円の「Google Nest Cam(屋内用/電源アダプター式)」とならようやく比較になるといったところだ。


 本製品と同時に発表されたArloの屋外カメラやドアベルは、他社同等品と比べても価格面でよい勝負をしており、決して割高ではないだけに、まとめ買いの可能性がある本製品でのこの価格差は、Arloでカメラ環境を統一しようとした場合に大きなネックになる。価格にまつわる調整は、なによりも急務と言えそうだ。


    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定