「神経を逆撫でする人」が身近にいたら? 大雑把な言動で義実家を出禁になった“がさつ妻”も

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2024年05月15日 22:10  All About

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料理ですこし大きな音がするときに「怒ってるの?」と聞いてくる夫。人が大事にしている皿を割ったときに「形あるものは壊れる」という妻。神経を逆撫でする人が家族にいたら、イライラは絶えない。
夫が「シャレだよ、シャレ。いちいち怒るなよ」とは言うものの、妻のほうは何気ない言葉にいちいち神経を逆なでされるのだ。

そこにはそれまでのさまざまな蓄積があるから。だが夫はそんなことは理解していない。似たような事態はどこの家庭にもあるようだ。

「余計なひと言」で妻を苛立たせる夫

6歳の長女が「みたらし団子が食べたい」と言い出した。マリさん(38歳)は、よく子どもにお団子を作っているのだ。休日の風景、夫は3歳の次女と遊んでいた。

「前日が雨だったので、その日は洗濯物がたまっていたんです。3回目の洗濯機を回しながら、このあと夫が掃除機でもかけてくれないかな、そうすれば私はお風呂とトイレをきれいにするのにな、その前にとりあえずお茶でも飲むか……と考えていた。

でもお団子を食べたいと言われれば、そりゃ長女の笑顔を見るほうが先だわと、『いいよー、今作るね』と立ち上がりました」

次女も「お団子、お団子」とマリさんにまとわりついてきた。はいはい、危ないからパパと遊んでいてねと言ったとき、すでに夫はソファに寝転んでいた。次女を見ててよと声をかけながら、マリさんは団子を作る準備を始めた。

「長女も手を洗って、自分も作るアピールをしていました。それを見たら次女も作りたくなるんですよね。しょうがない、ふたりに手伝ってもらうか、結果、もっと手間がかかることになるけど、ふたりが楽しければいいやと作り始めました。

粉をよく練ったほうが優しい食べ心地になるので、まずは私が練ります。その後、空気を抜くためにボールに練った粉の固まりを打ちつけていたとき、夫が『すごいね、ママ、怒ってるみたいだから、ふたりともこっちにおいで』と言ったんです。

『なんかイライラしてるようだねえ、ママ、怖いねえ』と立て続けにディスる。何なの、それと思わず大きな声を出してしまいました」

だって、物に当たってるからさと夫は言う。あのね、団子の空気を抜いているだけなの、どうしてそういうこと言うかなあとマリさんは苛立った。

調理中の音に反応「怒ってる?」

そういえば以前、ハンバーグの空気抜きをしているときも、夫は「怒ってる?」とリビングから声をかけてきたことがある。いつもと違う音がすると、すぐにマリさんが怒っていると思うらしい。

「そういう言葉を発するからムカつくんだよね。あなたは料理をしないからわからないの。わかりたければ自分でやってみなさいよと言ってしまいました」

ふだんからキッチンに入ろうとしない夫に自分はイラついているのだと、マリさんはそのとき初めて自分の気持ちを理解したそうだ。

大雑把でがさつな妻

似たような事例を、夫側からの立場で考えると、また別の風景が見えてくる。

「こういう言い方をすると怒られるかもしれないけど、うちの妻はけっこうがさつなんですよ」

ケンジさん(40歳)は笑いながらそう言った。がさつで大雑把な妻は学生時代からの友だち、気楽な関係でふだんは仲がいいそうだ。

「ただ、大雑把はいいけどがさつすぎるところがあるので、ちょっと困るんです。たとえば食器の扱いとか。結婚して8年、どれくらい皿を割ったことか……。今は100円ショップの皿しか買いません」

義実家でも妻のがさつスイッチON

家でならまだいい。ケンジさんの実家に行くと、気軽に「手伝いますよ」とキッチンに行くのだが、あるとき母の大事にしていたお皿を欠いてしまった。

「皿が重なっていて、そこから1枚取り出すときに、いったん全部出してから目当ての皿を取ればいいじゃないですか。それを妻はそのままの状態で、皿を抜こうとするんですよ。そりゃ落ちたり欠けたりしますよね」

あらあ、いけると思ったのにと妻が言ったとたん、母親の顔色が変わった。大事なお皿なのに、ずっと大事にしてきたのにと。

「『そんなに大事なお皿なら、こんなところに置かないでしまっておいたほうがいいですよ』と妻が言ったんです。それは正論すぎて、父が吹き出してしまった。でも母にとっては火に油状態。その日、母は料理を途中でやめて寝室にこもってしまいました」

妻に悪気はなく、とっさに言ってしまった一言だったのだが、母が傷ついたこともケンジさんには理解できた。その後、妻も自分が至らなかった、何重にもお義母さんを傷つけたと謝ったのだが、母の怒りはなかなか解けなかったという。

「失敗したらひたすら謝る。これが基本ですよね。失敗しておいて相手に非があるような言い方をしたら、そりゃ相手は怒るはず。妻にはその気遣いが欠けているんです。僕はわかっているからいいけど、僕以外の人間にそれをやってはいけないよと諭しました。

『うっかりした』と反省していましたが、妻は物にこだわりがないタイプ。形あるものは壊れるといつも言っている。それも正しいけど、物を大事にすることも教育上は必要だから気をつけたほうがいいとは言いました」

物へのこだわりがある人に、壊しておいて形あるものは壊れると言ったら激怒されるに決まっている。価値観は人によって違うのだから。

「それ以来、母からは『彼女は来なくていいから』と言われるようになってしまいました。ときおり僕は子どもだけ連れて実家に行っています。でも妻は行かなくてすむようになってホッとしているみたい。どこまでも大雑把(笑)。いいのか悪いのかわかりません」

ケンジさんは困惑したように少し笑った。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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