『虎に翼』で“最強の愛され男”を演じる31歳俳優。人気を爆上がりさせた“2つの条件”は

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2024年05月22日 09:00  女子SPA!

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画像:戸塚純貴スタッフfeat.戸塚純貴 公式Instagramより
久しぶりにX(旧Twitter)上で「#俺たちの○○」タグが発生しました。○○に入る人物は、現在放送中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』に登場する、主人公・寅子(ともこ/伊藤沙莉)の同級生「#俺たちの轟」こと轟太一(とどろき・たいち)です。演じているのは、我らが戸塚純貴! 轟役をはじめ、数多くの役柄において、キャラクターの造形がとにかく秀逸な俳優・戸塚純貴の魅力を解説します。(※以下、5月16日放送の第34話までのネタバレがあります)

◆「#俺たちの○○」タグが作られる“2つの条件”

そもそも「#俺たちの○○」タグがトレンド入りするほど注目されたのは、おそらく2021年が最初。同じくNHK朝ドラ『おかえりモネ』でヒロイン・百音(清原果耶)の相手役・若手医師の菅波光太朗(坂口健太郎)を「#俺たちの菅波」と盛り上げました。登場時は理屈っぽくて細かい理系男子だった菅波ですが、物語が進むにつれて彼の誠実な優しさ、不器用さが魅力的に描かれた結果、多くの視聴者を惹きつけ「#俺たちの菅波」というタグが生まれたのです。

筆者の分析では「#俺たちの○○」タグがつく条件は2つ。まず1めは、最初の印象に反し“ギャップが愛おしい”ことです。

戸塚演じる轟も初登場では「笑止! 男と女が分かり合えるはずはないだろう」「人類の歴史を見れば分かる。男が前に立ち国を築き、女は家庭を守るもの」と、現代では非難されそうな価値観を披露しました。しかし、そんな当初の印象とは裏腹に、轟は徐々に人間的な魅力を醸し出していくのです。

「#俺たちの菅波」のギャップが“不器用な優しさ”とするならば、「#俺たちの轟」のギャップは“素直な正義感”ではないでしょうか。相手が男性であっても女性であっても、いいものはいいし、悪いものは悪い。損得勘定ではない、潔い轟の在り方は、とても魅力的です。

5月16日に放送された第7週第34話では、寅子と関係を深めていながら別の女性と婚約した同級生・花岡(岩田剛典)に真正面から向き合った轟の姿に、大きな反響がありました。

◆愛おしすぎるぜ! #俺たちの轟

「#俺たちの○○」タグがつくもう1つの条件は、俳優がそのキャラクターを“好感度高く演じている”ことにあると思います。

菅波・轟、両名ともに脚本家によるキャラクター設計・セリフ・構成の秀逸さは大前提としてありますが、「#俺たちの○○」タグがつくには俳優の力が必要不可欠といえるでしょう。菅波を演じた坂口は、理屈っぽさが嫌味にならない絶妙な調整力と、繊細な表情変化と仕草をもって、菅波の“不器用さ”からくるキャラクターの愛らしさを引き出しました。轟を演じる戸塚においても、見た目の無骨さだけでなく、声のトーンや表情で、轟ならではの“正義感”を細やかに表現しています。

◆轟の“寄り添い”が素晴らしかったシーン

前述の花岡とのシーンでは、特に演技の緩急が素晴らしかった。はじめ轟は「(寅子へ婚約について)もっと誠意のある伝え方があっただろう。俺の知るお前は、もっと優しい男のはずだ」と冷静に諭します。

しかし花岡が寅子の将来を考えて、違う女性・奈津子を選んだことを聞くと「花岡ぁー! それで猪爪(寅子)に何も言わずに婚約を?! きちんと話もせずにか?!」と激昂。その後「それで本当に幸せになれるのか? お前がやっていることは、猪爪も奈津子さんも侮辱する行為なんじゃないのか」と、花岡自身にも誠実に寄り添いました。

その表情からは、自分の正義感に反する花岡への憤りだけでなく、長い時間積み上げてきた花岡に対する友愛の情も感じました。下手をすると暑苦しく自分本位に見えてもおかしくないキャラクターの轟。脚本や演出の力もさることながら、ここまで好感度を爆上げしているのは、戸塚の功績といえるでしょう。

◆コメディセンス抜群! 戸塚が演じた“クセ強”キャラたち

これまでにも数多くのドラマで“クセ強”キャラを演じてきた戸塚。『親バカ青春白書』(2020年、日本テレビ系)ではYouTuber大学生、『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(2021年、同)での主人公のヤンキー友だち、そして『スーパーのカゴの中身が気になる私』(2023年、中京テレビ)では、売れない俳優をしながらスーパーでアルバイトをする主人公・十文字雄三役。さらに、植田まさし氏の漫画『かりあげクン』が初の実写ドラマ化(2022年、BS松竹東急)した際には主人公・かりあげ正太を演じるなど、まさにキャラの強い役を担ってきました。

なかでも、多くのドラマファンに注目されたのは『だが、情熱はある』(2023年、日本テレビ系)におけるオードリー・春日俊彰の役ではないでしょうか。

そもそも春日俊彰その人が、独特な風貌や代表ギャグ「トゥース!」など、インパクトの強いキャラクター。実在の“クセ強”キャラを演じるのは容易なことではないはずです。しかし戸塚は作品のなかで、「まさに、春日!」として存在していました。顔も体型も決して似てはいませんが、春日氏ご本人のもつ佇まいや在り方をリアルに再現しているのです。それは、戸塚の高い演技力と圧倒的コメディセンスがあってこそ!『虎に翼』の轟役でもその力は大いに発揮されており、登場回が楽しみでなりません。お願いだから退場しないで〜!!

◆1話だけの登場でも泣かせる! 存在感がもはや眩しい

戸塚の武器は、決して“クセ強”キャラだけではありません。現在放送中のドラマ『肝臓を奪われた妻』(日本テレビ系)では、轟とはまた違った魅力を発揮中。ヒロインを支える好青年・小栗健を演じています。

小栗は、元夫の家族に復讐をもくろむシングルマザーの主人公・優香(伊原六花)が働く花屋のビルのオーナー。健気に働きながら子育てする優香に惹かれていきます。優香のことを本当に心配し、戸惑いながらも彼女の運命を受け止めようと向き合う誠実さが、戸塚の柔らかな演技により際立っています。轟とのギャップもたまりません。

また今年2月から放送されたドラマ『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』(NHK BSプレミアム4K・NHK BS)の第4話では、ゲスト出演で好演。辞書の挿絵を担当する画家の息子・夏川颯太役を担い、1話だけの登場ながら視聴者の涙を誘いました。幅広い役柄を主演であっても、脇であっても、ゲスト出演であっても作品の質を押し上げる存在感が眩しい戸塚。これからの映画界・ドラマ界において不可欠なバイプレイヤーとして、ますますの活躍が期待できそうです。

<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>

【鈴木まこと】
tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201

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