元女囚が考える「デジタルタトゥー問題」――死んでも消えないネット転載の怖さ【知られざる女子刑務所ライフ:最終回】

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2024年05月26日 20:01  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける瑠壬(るみ)さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

目次

一度ネットに出ると消えない「デジタルタトゥー」
30年前に出演したポルノ映画を無断で配信
「女の子が嫌がってるんだから、やめてあげたら?」

一度ネットに出ると消えない「デジタルタトゥー」

 「デジタルタトゥー」ってご存じです? 最近、よく聞きますよね。

 自分のエッチ動画とか犯罪歴とか、いったんネット上に出されると、まるでタトゥーのように、なかなか消せなくなってしまうことらしいです。「若気の至り」でついやらかしてしまうこと、ありますよね。

 瑠壬もエッチ動画はないですが(笑)、裁判で有罪判決を受けたとか、ムショに行ってたとかの過去をカミングアウトしてきました。そのおかげでメディアからもお声がかかるんですが、そうゆう人ばっかりと違いますよね。普通は隠しておきたいことです。

 もし自分のエッチ動画とか、逮捕当時の報道とか、どんどんネットで転載されて削除しきれへんようになったらどうします?

 インターネットのない生活はもう考えられないですが、怖い部分もあるんです。これからは「デジタルタトゥー」について、もっと考えないとですよ。

30年前に出演したポルノ映画を無断で配信

 少し前に、現役ストリッパーの有賀美雪さんの裁判の記事が出てました。有賀さんが30年くらい前に出演したポルノ映画が、今もネットで配信されてるそうです。そして、なんとダマテンでノーギャラです。

 有賀さんはサイトの運営会社に対して、今後の配信の差し止めとデータの廃棄と、150万円の損害賠償を求めてます。単なる「削除要請」(=会社への「お願い」)でなく、最初から裁判にした理由は、有賀さん以外にも勝手に配信されて泣き寝入りしてる人が多いから。

 昔はポルノ映画に出てても、今は普通の主婦で、裁判をするお金もない人とか、たくさんいてますよね。有賀さんは、会社に「お願い」しなくても、誰も無断で配信されない「判例」を作りたいそうです。

 記者会見で、弁護士の諸橋仁智先生は、「有賀さんは当時ストリッパーとして活動しており、舞台で踊って表現をするアーティストであって、わいせつな動画には本来出演したくなかった。しかし、30年ほど前に若かったこともあり、知人からの誘いを受け劇場作品のポルノ映画に出演することを承諾。当時は特定の映画館でしか上映・鑑賞されないと聞いており、そういう承諾しかしていなかった」と説明されてます。

 30年前って、やっとインターネットが出てきた頃で、自分の出た映画がネットでダマテンで配信されるなんて、想定外でしたよね。

「女の子が嫌がってるんだから、やめてあげたら?」

 まあ「ストリップは芸術で、ポルノ映画はワイセツ」って話はどうかなと思わないでもないですが、瑠壬はストリップけっこう好きです。きれいですよね。

 前回もご紹介した懲役太郎さんは、この件をYouTubeで「(ワイセツの議論はともかく)女の子が嫌がってるんだから、やめてあげたら?」とお話しされてて、なるほどと思いました。

 あと、「自分がしたいことをするのはいいけど、いったんネットに出てしまったら、取り返しのつかないことにもなりかねない。よく考えて行動しないとね」みたいに言うてました。つまりこれが「デジタルタトゥー」です。やっぱり懲役さんは男前やなと思いました。

 この裁判、どうなりますかねえ。

 さて、この連載もこれが最終回になります。しょもないことばかり書いてたのに、ずっと読んでくださってありがとうございました。

 第1回は、2016年12月でした。それからなんと8年、196回も書かせていただいて、感謝しかないです。本にもまとめてもらいました。

 瑠壬が経営してるラウンジにも「サイゾーウーマン見てます」「本、読みました」とおっしゃって来てくださる方も多く、たくさんのご縁をいただきました。

 サイゾーウーマン編集部の皆様、読者の皆様には感謝しかないです。今まで本当にありがとうございました。連載が終わるのは寂しいですが、これからも本とか書きたいので、よろしくお願い申し上げます。

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