嵐・松本潤、氷川きよしほか…芸能人の独立ラッシュが芸能界に及ぼす知られざる影響

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2024年05月28日 15:01  日刊サイゾー

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(c)日刊サイゾー

 活動休止中の人気グループ・嵐の松本潤が、5月末をもってSTARTO ENTERTAINMENTを退社することが明らかになり話題となっている。

 さらに先日には、23年1月から休養している歌手の氷川きよしが24年間所属していた事務所から独立し、新会社を設立して活動を再開することを発表するなど、昨今は芸能人の独立ラッシュが止まらない状況だ。

 そうした中、実業家の顔も持つグラビアタレントでインフルエンサーのくりえみによる、今年4月に配信された堀江貴文氏のYouTube番組『HORIE ONE』での自身の独立に関する発言が注目を集めた。くりえみは過去に所属していた芸能事務所から独立した時を振り返り、「すごい圧力がありまして」と告白。その上で、「潰すぞみたいな感じで言われていたんですけど、私はその時、その罵声を全部録音していたので。辞めた後に周りの第三者から圧力があると聞いた時に、その録音テープを持って事務所に行って、『これをツイッターで流します』っていう風に言ったら、そっからパタっと止まりました』と明かした。

 スポーツの芸能担当デスクは語る。

「くりえみさんが過去に所属していた芸能事務所といえば、業界でも大手として知られています。最近系列の事務所が休業を発表したことも話題になりましたし、その影響もあるのかもしれませんけど、芸能人自ら“圧力”を受けたことを告白するなんて、ひと昔前なら考えられない発言ですよね」

 近年の度重なる芸能人の独立を受けて、巷ではその要因としてインターネットやSNS、YouTubeの登場により芸能人の活動の多様化や大手芸能事務所の代替わりなどが取り沙汰されているが、実際のところはどうなのか? 大手芸能事務所のマネジャーは明かす。

「大手芸能事務所の代替わりについては、ホリプロやワタナベエンターテインメントなど会社の創業社長からその親族へ経営陣が移行しても、それなりにうまくいっているケースもありますから、一概にそれが要因とは言えないでしょう。ただ、インターネットやSNS、YouTubeの登場によってテレビの存在価値が落ちたという点は無視できない。結局のところ、既存の芸能界のビジネスモデルはテレビに拠るところが大きかったですからね」

 コンサートやイベントなどの興行、銀幕と呼ばれた映画の時代を経て、昭和の時代から日本の芸能界は長らくテレビを中心に回っていた。

「芸能人が大きな収益を得るためには、テレビ番組やテレビCMに出演するのが何よりの近道でしたからね。ギャラの高さはもちろん、テレビに出演して知名度を得ることで営業の仕事をゲットしたり、イベントの集客アップに繋がったりと他の仕事のプラスアルファになる部分も大きかったですし。こうした背景もあり、テレビ局とパイプを持つ大手芸能事務所が業界で大きな影響力を誇示できたわけです。大手芸能事務所の中には自社で番組制作会社を持っているところもありますし、そもそも『干す』、『消える』といった業界用語自体が、テレビでの露出を前提とした表現ですからね」(同芸能事務所マネジャー)

 それが今では芸能人がテレビに出演せずとも、SNSやYouTubeを活用して収益をあげたり、動画配信サービスの映像作品に出演してギャラを稼いだりすることが可能に。
それに付随したテレビ業界の凋落により、“テレビ局とのパイプ”という最強の武器が弱体化しつつある芸能事務所の存在意義が問われているというわけだ。

 他方、前出の芸能事務所のマネジャーは昨今のやたらと芸能人の独立を肯定するような世間の風潮には疑問を呈する。

「米国などとは異なり、日本の芸能事務所は単純なマネジメントだけでなく、発掘や育成、プロモ―ションといった業務も兼ね備えています。大半の芸能人に対しては売れるまでの間に公私両面でサポートして莫大な投資をしているわけで、“売れたらすぐ独立”というのはあまりにも節操がなく、身勝手だとは思います」

 そのうえで、芸能事務所の衰退により既存の芸能界の仕組みが瓦解することの悪影響についてもこう警笛を鳴らす。

「いわゆるこれまで芸能界に浸透していた暗黙のルールやタブーが無効化したら、さまざまなトラブルが多発するでしょう。それにギャラのダンピング合戦が激しさを増し、結果的には大半の芸能人が食えなくなるかもしれません。そもそもテレビ番組しかり、CMしかり、営業しかり、芸能活動への対価、つまりギャラの価格設定には確固たる根拠や正当性もなく、既存の芸能界の枠組みの中での前例や感覚などを基にある程度の相場が定められているにすぎないわけですからね」

 芸能人の独立ブームの裏で、芸能界の存在そのものが大きな危機を迎えているようだ。

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